2021年

7月11日

Logbeeを生み出すのは"かっこいい工場"

ゲストはチトセ工業株式会社の代表取締役 中西啓文さん。
どんなお仕事をされているのか伺っていきましょう。
「ひとつは金属プレス加工、ひとつは炉中ろう付け加工、そして『Logbee (ログビー)』と言う自社商品を開発・販売しています。
温度、湿度、照度、CO2を測るセンサーです。
電池駆動でして小さい方が無線で150m、大きい方が10kmも飛びます。
大きい方は遥か彼方に飛ぶように『Logbee Haruca』と名付けました」。

この『Logbee』はどんなシーンで活躍するのでしょう?
「コンクリート養生の現場でお使いいただいています。
コンクリートは乾いているかどうか確認せねばなりません。
徐々に乾いていかなければひび割れます。
見た感じでは分かりにくいのですが、『Logbee』を使うと数値で分かります。
乾きすぎると水を撒いたりして調整します」。

金属加工はどういったものなのでしょうか。
「ハイブリッド車や燃料電池自動車、EV車などの次世代自動車の電気パーツを手掛けています。
そして、ろう付け加工。
普通ろう付け加工というのは、トーチでろう剤を溶かして接合する方法です。
私どもは無酸化ろう付け加工。
水素ガスの無酸化の中で加工します。
普通、ろう付けは800度で接合。
無酸化ろう付け加工は1100度で接合します。
そうすることで母材に対して含浸させることでより高強度かつシャープにつけることができます」。

ヒット中の『Logbee』ですが、ご家族の力もあったのだとか。
「私の娘がロゴを作ってくれました。
カタいものを作っているものですから、社内的にもやわらかくしていきたいという思いがありました。
それならばと娘にマスコットを作ってもらいました。
蜂をイメージしたもので、"蜂(bee)が蜜を集めてくるように遠隔でデータ(log)を集めてくる"といったものです。
これを開発した2014年あたりはIOTはまだ広まっていなかったんです。
そこからおよそ2年後にお客さんから"LogbeeってIOTですよね"と云われて気づいたんです(笑)。
この『Logbee』は二酸化炭素の濃度も測れるんです。
二酸化炭素の濃度を高めると植物の生育が早まるということで農業系でお使いになられていました。
しかし、その方面ではあまり売れず...。
そんな中にコロナ禍になって換気の見える化が云われ出しました。
そこで気づいたんです。
"うちのLogbeeは二酸化炭素が測れたなぁ"と。
当初、農業用だったので防滴加工だったりしました。
遠隔で見るとなるとその場で見える、Logbeeがいいと思います。
見える化でいうとCO2は1000ppmを超えると少し眠くなってくるんです。
3000ppmになると能力が落ちるんですよ。
こういった換気の見える化でも役立てていただきたいですね」。

チトセ工業株式会社は2年前に新工場が操業しました。
「新社屋プロジェクトをキックオフしました。
どういうコンセプトで、どんなキャッチフレーズでいこうかと話し合いました。
その中で製造業が新しいものを作るということで"Cool Factory""かっこいい工場にしよう"という声が社員の中でありました。
若者や女性の部会を作りました。
その中で出された要望を出してもらい、叶うところは実現に向けて動きましたね。
こうして町工場が生まれ変わりました」。

前の工場はどういったものだったのでしょう?
「前の工場が50年ぐらいのもの。
環境も暑かったり寒かったり。
建物も継ぎ足していた工場だったので導線も悪かったです。
それも新工場では解消しました。
あと旧工場では手洗い場が外だったんです。
しかも水しか出なかった。
社員が冬場に油のついた手を冷たい水で手を洗っている...。
それが本当に申し訳なかったんです。
新工場では洗い場は室内でお湯も出ます」。

会社の歴史は次週に続く...。

竹原編集長のひとこと

人気の商品『Logbee』に"Cool Factory"といわれる新工場。
会社全体からの想いを感じますね。