2021年

8月29日

"八百屋なのに"と"八百屋だから"

今週のゲストは引き続き、株式会社八百鮮の代表取締役 市原敬久さん。
改めて創業からのお話を伺いましょう
「28歳で起業しました。
お金はないままスタートしましたね(笑)。
最初は50万円からスタートで、まずはとにかくトラックを買おうと...。
買うと47万円かかりまして、残りは3万円でした(笑)。
思いだけで突っ走りましたね。
ただ日銭が入ってくる商売ですので、例えば仕入れ金に50万円、それを全部売り切って60万円に。 それを持って仕入れて次は65万円売る...という繰り返しです。
繰り返して10年、現在売り上げは30億を突破しました」。

お店のこだわりはどんなところでしょうか。
「"八百屋なのに"と"八百屋だから"を大切にしています。
"八百屋なのに"は求人のパンフレットなど見せる部分でかっこいいところ。
"八百屋だから"は鮮度を保つなどやらなければならないこと。
お客様に対して失礼のないようにしなければいけないことです」。

この10年を振り返ってみて成功の秘訣は?
「良き出会い、人材ですね。
社員にすごく助けられてここまでやってくることができました。
社員は70名、パートさんも合わせると130人になります。
1店舗あたり年間6億円ぐらいの売り上げになります。
うちは配達をしていなくて、来ていただいたお客様へ向けた店売りだけ。
業務は大変だと思います。
お客様と商品に対して目配り、気配り。
毎日、マーケティングを繰り返しています」。

創業メンバーとはいつからのお知り合いなのでしょう。
「大学の頃からですね。
その時から自分はいつか社長になりたいと言っていました。
大学の時のゼミ活動の中で障害のある方にボランティアで支援活動をしていました。
その時にこんな自分でも人にありがとうと言ってもらえる仕事があることに気づきました。
同じ思いを持った仲間がいまして、大学を卒業しても人の役に立っている実感を味わえる場を作れないかと...そんな話をしていた3人で創業しました」。

その3人の創業者との歩みは今も順調ですか?
「大学時代のボランティアの共有体験が軸になっていまして、その体験をもう一度するという根源的な思想が同じなんです。
『人のお役に立つ人生を』『喜ばれて喜ぶ人間になりなさい』と教えてくださった教授もおられました。
創業当時からご指導いただています。
目指すところは現在の倍、60億計画です」。

新型コロナウイルスの影響はいかがでしたか?
「おうち時間が増えたことで売り上げも増加しました。
当然、従業員としては不特定多数の方の応対をしますので、日々の感染対策が大変でしたね。
大きなお店ではないので入場制限をしたり、レジにシールドを作ったり。
狭い店だからこそ他社さんより大変だったのではないかと思います」。

これからの課題は?
「人のところだと思います。
人材を増やすこともありますが、どう育てていくか。
せっかく来てくれた若い人たちに商売をどう教えていくのか。
販売を任せているのですが季節が変われば商品も変わりますので、マニュアル化が難しいところです」。

そんな若い力を育てるにはどんな手段をとっておられますか?
「理念の研修などはしています。
店ごとにやり方や商品が違うので、現場で育てていきます。
各店長に任せていますね。
課題として基本は本部で教えて現場へ」。

社員の皆さんとのコミュニケーションはどうとっておられますか?
「オンラインで定期的に会議をしていますが、他に社内SNSを導入しています。
社員しか見ることができない、Twitterのようなものなんですが、社長のつぶやきや店長のつぶやき、店舗日報などそこに集約されていて社員やパートさんが見ることできます。
コメントが入ってきたりしてオンライン上でコミュニケーションをとっています。
同じ商品でも違う値段がわかったり、その日の店のレイアウトがわかったり。
支店の情報共有ができます。
"八百屋なのに"のところですね」。

これからのビジョンは?
「数字で言うと60億円。
最大の夢は八百屋という業界を"かっこいい仕事"にしたいですね。
就職したい仕事にランキングされるような。
八百屋のイメージを変えていきたいですね」。

古くて新しい。
八百鮮は新しい八百屋の形に挑み続けています。

竹原編集長のひとこと

八百屋ビジネスという新しい仕事です。
新たな業界が誕生する予感がしますよ。