2021年

11月 7日

この坂は未来の農業へ繋がる "農業×環境"

先週に引き続きゲストは株式会社坂ノ途中の代表取締役 小野邦彦さん
先週は新規就農者を応援すると共に定番から少し珍しいお野菜をご家庭にお届けするお野菜セットや店舗、そして東南アジアの山間や森の中で作り上げる『海ノ向こうコーヒー』のお話などを伺いました。

今週は改めて創業から伺っていきましょう
このユニークな社名の由来は?
「環境への負担の小さい農業がテーマです。
そのためには何をしようと考えました。
どうも新規で就農される方は農薬や化学肥料に依存しない方が多そうだということが分かりました。
そういう方々が増えていくような活動をしたいなぁ...と思っていた時に会社の登記のタイミングが来たんです(笑)。
何をするかはっきり決めないといけないのに決まってないぞ...どうしよう...。
成長途上の皆さんのパートナーの雰囲気がでればいいなと思って『坂ノ途中』としました。
"の"が平仮名だと普通の日本語なのでカタカナに。
2009年の7月にできました」。

企業のきっかけは?
「学生の時から"農業×環境"で仕事をしたいと思っていました。
もともと環境問題に興味がありました。
いろんなきっかけや出会いが重なったこともあるんですが、大きいのはバックパッカーですね。
最長では上海からトルコのイスタンブールまで陸路で行ったことがあります。
半年かけて達成しました」。

ものすごい経験をされていますが、それが大きな経験に?
「バックパッカーの前に友達が始めた着物屋さんで働いていました。
高校生からいろんなバイトをしたんですが着物屋さんの仕事がとても面白くて。
今に再現できない昔の柄があったり、若い人たちに着物の提案をしたり。
仕事は時間の切り売りと思っていたけれど人を幸せにすることができると分かりました。
でもその一方で着物って大切にしているとずっと着られるんですね。
でも売り続けないとお店が成り立たない。
同じ人に何枚も売らなければいけない。
わだかまりが生まれまして、そこから休学して旅立つわけです。
事業をするのは面白そうだと思っていたのですが、自分の性格上、仕事面で負の側面を見つけてしまう。
あんなに楽しかった着物のお仕事もその側面を見つけてしまいました。
そのことばかりを考えていた旅でもなかったんですが(笑)」。

そんな小野さんの心を打った出来事はあったのでしょうか?
「色々と世界中をまわりながらも自分が心を打たれるのはチベットの標高高いところでのシンプルな暮らし、パキスタンでの自然と共にある暮らし。
そんなものを見ていくうちに次第に納得しましたね。
農業って人と自然環境の"結び目"だと思うんです。
現代農業で素晴らしいことはたくさんあると思うんですが、環境負荷を下げるということでは頑張らなければならないことがあると思っていました。
"農業×環境"というテーマを持って帰ってきました」。

さあ、帰国後早速そのテーマの実現へ...!?
「...なんですけど、着物屋さんをしている時に力不足を感じているところもありまして、ちゃんと勤めようと。
フランス系の金融機関に行って2年半働いていました。
先立つものも必要、金融の知識も必要。
本当は1年ぐらいで辞めようと思っていたのですが、デリバティブ(金融派生商品)の商品開発に就いていまして。
1年ぐらい経った時に雲行きが怪しくなってきてリーマンショックに...。
現場が急に戦場になって戦後処理的なこともしていました。
わずか2年とはいえ、前職の先輩と会うとその当時を懐かしんだ話ができます」。

そして現在のお仕事へ。
「3人ではじめてすぐ2人に。
一緒に始めた人が無限の体力を持つ人だったので配達などは任せて、僕は方向性などを考えたり。
役割分担ができていましたね」。

今度の展開、ビジョンは?
「考える間もなくしなければならないことはお客さんを増やす。
農業をされている方の中で最近規模拡大中の人が増えているんです。
新規就農の方って長続きしないイメージを持っている方もおられると思います。
でも僕らが一緒にお仕事をしている農家さんはとても優秀で経営的にも成り立っているんです。
経営が成り立つとそこに農地などの情報が集まってくる。
そうすると"来年は今の倍の量を作ろうかと思うけど買えるか?"という相談があるんです。
それはまさに環境への負荷が少ない農業が広がっているということなんです。
でもその相談に"倍は多いから1.2倍で..."という答えは寂しいじゃないですか。
その相談に良い答えを出すためにはお客さんを増やしていきたいんです。
コロナの動向もありますがレストランのご利用は多くなってきます。
お野菜の定期配達を契約していただくと解約が少ないんです。
きっと喜んでいただいているんだと思います。
どちらも増やしていければ良いですね」。

竹原編集長のひとこと

社名は「坂ノ途中」ですけどその坂は続いていて成長が止まりません。
若い方々の農業を支えていっていただきたいですね。