2021年

12月26日

リバーレース 商品のこだわりは編む機械からも

ゲストは栄レース株式会社の代表取締役社長 澤村徹弥さん。
社名にレースという名前が入るだけに、服飾のレースですよね。
「笑い話ですが会社の近所に阪神競馬場がありまして競馬関係といわれることもありましたね(笑)。
実際は服のレース、特に下着に9割ぐらいですね。
いろんな種類のレースがあるのですが、その中でも主力は"リバーレース"というものを作っています。
産業革命当時、イギリスのノッティンガムの鍛冶屋のジョン・リバーさんが機械を発明しました。
実は誕生から現在までそのままの形でほとんど変わっていない機械なんです。
最盛期には世界中で5,000台稼働していました。
一方で"ラッセルレース"というものも生まれてそちらが増えてきました。
ラッセルレースは大変な高速回転で稼働しまして、生産規模も拡大しています。
一時、5,000台のリバーレースが現在では全世界で150〜200台になってしまいました。
そのうち87台を私たちが所有して稼働させています。
世界シェアのトップで7割ほどあります」。

リバーレースの用途はどこに?
「洋服、下着などなどラッセルとぶつかるところが多いです。
しかしリバーレースは柄の精密さ繊細さが違います。
実は某有名ブランドにもここ3、4年使われています。
実際にこのレースのデザインを描いた人がとても喜んでいますね。
自分のデザインしたレースが誰もが憧れる世界の高級メゾンに使われているわけですから」。

実際にリバーレースはどういった形で採用されるのでしょうか?
「ブランドでいうとこちらから提案したものが使われます。
その時のトレンドに合わせて年間700柄ぐらい製作します。
デザイナーは中国、タイ、フランスなど全体で40人ぐらい。
年間2000ほど図案を描いて、そのうちレースになるのが700ぐらいですね」。

レースの織機自体も歴史のあるものなのでは?
「使っている機械は60〜80年前のもの。
中古でアメリカから買ってきたものを自分たちで整備しています。
大きな部分は時間が経っても保てますが、細かい部品などは消耗していきます。
この部品も私たちが自分たちで作っています。
私たちが中国へ進出した時に、イギリスに2社あったメーカーさんから機械を買ってきて、その時にイギリスの方にお越しいただいて、現地の中国のスタッフに教えてもらったんです。
そのおかげでうちにある87台分のパーツを作り上げることができました。
このリバーレースのパーツを作っているのは世界でもうちだけです」。

歴史のあるリバーレース。
世界的に見てもパーツが不足しているのでは?
「パーツの発注をいただいて作ったことがあります。
機械によってサイズが微妙に違うものですからサンプルとして、現状のものを送っていただいたんです。
そうするとそのパーツはかなりすり減っていまして、よくこのパーツで仕事をしていたと驚きました。
すり減ったパーツで仕事ができるということは逆に考えると腕がいいということです。
そういった技術の高さという点でも驚きましたね」。

このリバーレース、いろんな展開もされているそうですね。
「60年ほどBtoBで主に下着などを作っておりました。
そんな中で直接リバーレースを楽しんで欲しいという思いがありました。
自社でストールを作りまして全国の百貨店でもポップアップショップとして展開しています。
現在の売り上げは下着が9割、ドレスが1割。
できれば下着が6〜7割、
アウターが2割、
さらにBtoCの商品も広げてもっとシェアのバランスを考えていきたいです」。

BtoCの商品ですが例えばどんな商品があるのでしょう?
「『コラーゲン配合繊維ストール』です。
コラーゲンを糸に練り込んであります。
後から加工すると洗濯などで落ちていきますが、時間が経っても柔らかい手触りが変わりません。
レースストールといえば、薄手ですが暖かいです。
かさばらないので持ち運びも良いです。
色も展開できるのが我々の強みでもあります」。

会社の歴史は次週に続く...。

竹原編集長のひとこと

リバーレース製造世界No. 1。
編む技術だけでなく機械にまでその繊細な心遣いをされています。
1番の理由はここにもありますね。