2022年

6月26日

アウトバウンド 和菓子の材料を世界に 

今週のゲストは株式会社上野忠の代表取締役 上野晃富史さん。
実は竹原さんとは20年以上のお付き合い。
改めてお仕事の内容から伺っていきましょう。
「創業者は父で元々の生まれが寒天農家なんです。
その後に乾物屋で修行をしていました。
そこから独立するときに乾物で競合しないように寒天の仕事を。
寒天は羊羹に使いますからそこから現在の和菓子の原材料の仕事に繋がります」。

和菓子の原料というと例えば桜餅。
「桜餅の葉は先代から作っていました。
インバウンドがここまでになるとは思っていませんでした。
日本もビジネスとして世界に出て行かなければなりません。
"アウトバウンド"です。
フラグシップとして桜はどうだろう、と。
それならば桜の葉よりも花だということで、桜の花を中国で栽培しています。
やるならば徹底的に。
花のパウダーからミンチまで多くの桜の花を取り扱っています」。

大手のチェーン店にも出荷されているとか。
「コンビニで売られているコンビニスイーツにうちの製品が使われていないことはないですね。
コンビニエンスストアさんと直接お取引というわけではないですが、うちの営業マンが企画などで動いています」。

株式会社上野忠はメーカー機能と問屋機能の両輪で動いておられるとか。
「元々は商社、問屋なんです。
メーカーであれば自分のところのものを売りたいですよね。
それが問屋をやっていることで商品が今ひとつとならば、すぐにそれをやめて新たなものを仕入れることができます。
一般の問屋さんと比べてメーカー機能を持っているおかげでチェック機能があるということです。
値段交渉よりも品質を優先します。
大手の会社ならば工場を見て設備を見て...という判断をされます。
でも私は人を見ます。
この人が信用できるか、働いている皆さんを見ます。
例えば中国の工場の方に目線を送って、こちらを見てくれるとしますよね。
その時に手を止めてくれたらOKなんです。
手を動かしながらこちらを見たらいけません。
だってその間に何か紛れ込むかもしれないじゃないですか」。

最初からものづくりは上手く進んだのでしょうか。
「35年前に中国で柏餅の葉を作った時に思うように上手くいきませんでした。
2年目に工場の中に大浴場を作りました。
その当時、働いていた方はあまりお風呂に入る習慣がなかったんです。
身だしなみから替えてもらおうという考えです。
風が吹けば桶屋が儲かる。
習慣を変えると品質がグッと上がりました」。

スタジオに商品が登場しました。
「『お抹茶葛餅 もち食感ロール』
抹茶は問屋機能、お餅はうちのメーカーのもの。
東日本大震災の後に作ったものでテーマ"フードエコ"。
求肥の部分やわらび餅の部分は別に作って合わせます。
でもこれは粉を練ってスポンジ生地と合わせて焼くんです。
エネルギーコストを省く"フードエコ"。
今でいうSDGsですね。
『ピーナッツキャラメリゼ』はビーガン対応です。
キャラメリゼは手間がかかるものですが、ビーガン対応という付加価値をつけています」。

上野社長は絶えず世の中の流れを見ていらっしゃる。
「シミュレーションが好きなんです。
スポーツを観ていても"俺やったらこうするなぁ"とか(笑)。
だから小林製薬さんが大好きなんです。
"こうきたか"って思うんですよね。
うちの商品も『デキマース シリーズ』というものがあって、『わらびモチデキマース』や『求肥シートデキマース』『つつめマース』など。
『しぼれまーす』は粉状のきな粉をペースト状に変えたり。
大豆の粉なので舞うとアレルギーをお持ちの方には良くない。
ならば舞わない方法で...という発想です。
ある時に、きな粉をチョコレートやアイスクリームにも使っていただきたいと思ったんです。
でも舌触りが少しざらっとする。
もっと細かくできないかと考えましたが油脂があるので細かくならないんですよね。
うちの社員が考えて手間がかかってコストも高いですが冷凍窒素粉砕をしています」。

会社の歴史は次週に続く...。

<プレゼント>
上野さんからリスナーのみなさまへプレゼントを頂いております。
『おうちで作ろう!レンジDEねりきり』と『ピーナッツキャラメリゼ』のセットを5人の方にプレゼント!
≪ 宛先 ≫
メール:akarui@mbs1179.com
FAX:06−6809−9090
ハガキ:〒530-8304 MBSラジオ 「日本一明るい経済電波新聞」
「  上野忠 プレゼント 」係
*当選者の方の発表は商品の発送をもってかえさせて頂きます。

竹原編集長のひとこと

上野社長のあくなき探究心、そして発想の転換。
伝統的な素材が時代を超えて生きていますね。