2023年

10月 1日

社員が自ら売りたい製品を企画販売

今週のゲストはゼンスイ株式会社の専務取締役 吉原章悟さん。
どんなお仕事をされているのか伺っていきましょう。
「観賞魚用の冷却器、水槽用クーラーの製造販売をメインにしています。
観賞魚といっても様々です。
熱帯魚は冷却器の必要がありません。
冬場は温めることが必要です。
弊社の商品が必要なのは海水魚。
海水魚は水温が25℃以上になってしまうと死んでしまいます。
他にもお寿司屋さんなどの水槽にある活魚にも使っていただいています。
お店の水槽にいる魚だと20℃以下。
海老とか貝類は12℃、蟹だと5℃だったりします。
現在、地球温暖化で日中の気温が上がっています。
ある程度、暑さに強い魚でも室内に水槽を置いて水温が35℃を超えてくると、熱帯魚でも耐えることができません。
そういった環境でも弊社のクーラーを使っていただいています。
エアコンで24時間、部屋全体の温度を保つといいのですが、それもなかなか...。
弊社の水槽クーラーは値段がお高いものもあります。
お安いものでいうとファンを回して気化熱で冷やすシステムもあるのですが、それだと水がどんどん蒸発していって管理も大変です。
魚の生活環境を一定の温度で保つのは難しいんです」。

観賞魚用冷却器はシェア日本一だそうですね。
「自社調べではありますが、小型のものから全て合わせると年間10000〜12000台。
他にも同じような製品を作っている会社はありますが、クーラーの専門メーカーという形を自負しておりますので、1つの水槽の大きさに対して価格などニーズに合わせて2〜3機種作っていますので、かなり種類があります。
製造国別でお客様へご案内もします。
いちから自社工場で作っている日本製、中国の提携工場で作ったものもあります。
韓国で作ったもの、去年ぐらいからはイタリアのメーカーの取り扱いもありますので、かなりの数がありますね」。

それぞれ性能が違っているのでしょうか?
「どの機械ももちろん全て冷えます。
そこに細かい1℃単位で設定温度ができるものから、0.1℃単位の細かい設定ができるものだとか様々な性能、ラインナップがあります。
他のメーカーさんからすると"なんでそんなことするの"と思われているかもしれません。
ひとつの機種を大量に作った方がコストも下がりますし管理もしやすいです。
ほとんどのメーカーさんは年に何回かの製造で売れたら売り切り。
製造も管理も大変なんですが、弊社はクーラー専門メーカーとして年間作り続けています。
ラインナップを減らそうとは考えていないですね。
とにかく、うちの社長は"水槽用のクーラーは日本一になるんだ"と強調しています」。

水槽用以外の製品もあるのだとか。
「ここ最近ですと、園芸用の製品で植物を育成するライトです。
弊社のLEDの技術を使っています。
植物の中にはとても高価なものもあって、生育のためにしっかりと太陽光を浴びせたい。
冬場もしっかりと成長させるための専用の育成ライトがあります。
あと爬虫類に関するライトや湿度管理する製品もあります。
他の会社と違うポイントなんですが、昔は社長や私も海外で商品を見つけて販売に力を入れていましたが、最近では新商品は社員が売りたいものを企画して、それを採用して販売しています。
爬虫類の製品でいうと、私は爬虫類も飼ったことがありませんし、社長も爬虫類が嫌いで(笑)。
それでも社員がぜひやりたいということで製品ラインナップが増えました。
植物用育成LEDも入社1〜2年の若い社員の企画です。
商品企画部という部署がありませんので、営業がプレゼンしてくれます。
会社として利益の最低ラインだけを伝えて、値段から製造元に交渉まで責任を持って売ってくれることですね。
新入社員もベテランも年齢やキャリアも関係ないです」。

ゴルフ用の製品もあるのだとか。
「うちの社長、ゴルフが大好きで(笑)。
経緯でいいますと、ゴルフ仲間の方がおひとりでゴルフ用品の商社をされていました。
後継者がいないので辞めようかという話が出た時に、だったらうちの会社でやったらどうか...という流れです。
クーラーに関しは日本一を目指していますが、それ以外は "絶対これじゃないと"という強いこだわりがないですね。
仕事は好きな人が自由にやってください、という社風です」。

サウナブームの中、水風呂も。
「サウナと水風呂のセットをご希望されます。
家庭用となるとある程度しっかりとした機械をつけないと水風呂が楽しめませんでした。
弊社の商品は元々水を冷やすということに特化していますので、水風呂でも使っていただけるということでお問合せいただいています。
一般的な浴槽の水の量はおよそ200lぐらい。
夏場の水道水は28℃ぐらいの水温。
水風呂はそれを15℃にしたい。
水道水と氷を使って、200lを15℃にする時に氷はどれぐらい必要だと思いますか...?
理論上でいうと23kgも必要なんです。
そのぐらいの氷を入れると一気に水温は下がるんですが、しばらくすると水温が上がってくる。
それが1℃上がるごとに4kgの氷が必要なんです。
自分の手で氷でやるととても大変なんですよね。
だから家庭用の水風呂なんです。
弊社の水風呂は過去、プロ野球チームの2軍の寮にアイシング用としてつけたいなどニーズがありました。
ここ2年前ぐらいから急にお問合せが増えましたね」。

会社の歴史は次週に続く...。

竹原編集長のひとこと

キャリアや年齢も関係なく、作りたい製品を作って最後まで責任を持って販売する。
やりたいことができる会社は素晴らしいですね。