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5月 4日
今週のゲストは株式会社FiberMedicineの代表取締役 粟井寛儀さんです。
■健康的な社会を構築! その研究と技術
「株式会社FiberMedicineを作ったきっかけは社会実装です。この社会実装とは、大学の研究所で生まれた技術を大学の中だけで閉じ込めていては世の中にイノベーションが起きない。世の中のためになるにはどうしたらいいのか、それが社会実装という概念。いわゆる製品化しなきゃいけないんですよね。大学と民間企業が一緒になってベンチャーを立ち上げたという形です。これは東北大学のベンチャーで医学部と歯学部の連携プロジェクトがあり、病気の患者さんの唾液をいただいて解析することで、病気の予兆がわからないか研究が始まっていたんです。そのプロジェクトに興味をもちまして2015年に起業しました。専門的なことになると私は医学の門外漢なので専門的なお話しはできませんが、結論は製品第1号として唾液と健康診断のデータと組み合わせることで、歯周病の予兆がわかるようになったということです。年1回健康診断での歯周病検査の際、尿、血液の採血以外に唾液をもらってセットで解析してアルゴリズムを回すことに。我々はその後、製品化に向けて、日々研究開発していったという形ですね」。
大阪市西区にある粟井機鋼株式会社の代表である粟井社長。大学発のベンチャーとの出会いは?
「実は粟井機鋼という会社は私の祖父が作った会社なんです。一緒にやっている東北大学歯学部の齋藤正寛教授は私の実の兄。兄が研究開発した技術を製品化するのに、祖父の会社をベースに製品化に向かって動き出したのが2015年。10年前の話なんです。近年歯周病と全身疾患の関連性がいわれ始めて、我々の唾液で歯周病を解析するやり方が注目されるようになったのかなと思います。
■万博で健康チェック!? 唾液で歯周病リスクを診断
「我々の製品はアルゴリズム、計算式なんですね。その計算式を乗せたアプリケーションを開発しました。各クリニックで我々のアプリケーションを使っていただく。そこに患者さんのデータをアルゴリズムに入れてもらうと、歯周病のリスクが判定されて、通知されるという形なんです。それを使って早期発見、早期治療に持っていこうという流れなんです。万博出展のテーマはそもそも"歯周病とは何ですか"っていうのが1つのテーマなんです。2つ目は我々のアプリを使っていただくことで簡単に歯周病がわかるということ。これを訴求したい。万博会場では体験できないので、アニメーションを作りました。キャラクターが動くアニメーションを作って一連の流れをアニメ化します」。
歯周病を知るきっかけになりますね。
「そのきっかけ作りの中で最近いわれてるのが、歯周病が全身の病気の元になっているということ。ただ単に口の病気で歯が抜けるっていうものだけじゃない。全身の健康につながっているといわれています」。
現在、歯周病の検査はどのようなものなのでしょうか?
「歯医者さんの歯周病検査で歯と歯茎の間にある歯周ポケット、歯茎の深さを測ってレントゲンを撮ります。ところが時間がかかったり痛みがあったり、そもそも行くきっかけも分からなかったり。だから皆さんが歯医者に行くきっかけが少ない。検診は今大体10数%ぐらいしかないと思います。それを簡単にするために私たちのアプリケーションを使って、分かりやすく治療化していくという取り組みをしております。歯周病は知らぬ間に進行します。実は私も1本歯を抜いちゃいました。このビジネスを始める前、口腔ケアに対して意識が低かったので、気づけば歯を支える歯槽骨が溶け始めていました。今は3ヶ月に1回、歯医者さんでメンテナンスして、歯磨きなどブラッシングを1日3回から4回やることによって維持されて、今は衛生士さんから褒められるようになりました」。
■未来の健康づくりは歯周病リスクの回避から
「まずは歯周病リスクの定量化。定量化によって早期発見・早期治療に持っていく。そうすることによって歯周病にさせない、全身の病気を予防していくっていう流れになると思います。それを今度の万博でアニメーションにまとめましたので、皆さんに見ていただくことによって訴求していきたいと思っています。歯周病のステージが1から4まであります。1が軽度、4が重度。歯周病の進行のスピードによってグレードがあり、A・B・Cです。Cが一番早い。我々独断で判断できないので、これは歯周病学会様の意見を聞きながら、日々製品の改良に励んでいます。我々FiberMedicineはコールセンターを持っていまして、どうしても分からない場合は歯科衛生士さんが答えられる範囲内はお返事申し上げようと思っています。皆さん歯周病についての認識がなかなかございませんので、そこはきちんとサポートしていかなくちゃいけないと思っています」。
実装に関してはいかがでしょうか?
「東京・六本木に『東京ミッドタウンクリニック』という医療機関があります。そこの健康診断のオプションとして、おそらく今年の秋口ぐらいから採用していただける目処が立ちつつある感じです。1回実装してみて、まずはやってみようと。より早く歯医者さんに行っていただいて治療して、全身の健康をいつまでも維持する。特に80歳で20本歯を残さなきゃいけない『8020運動』もありますから。いつまでも美味しいご飯を食べていただくためには歯周病のケアをしていただいて、かつ全身の健康にもなれば、新しい動きになるのかなと思っています。岸田政権の特に閣議決定した骨太方針の中に国民皆歯科検診構想っていうのが載りました。そういう国の流れとも一緒になって、何とか広めていきたいと思っています。我々の世代はいつまでも歯を大事に全身疾患させないという着目点。20代の若い世代は歯周病になると口臭が出てくるんですね。口臭予防っていう意味で若い方にもいろいろ訴求していきたいなと。我々が作った万博向けのアニメは冒頭"お父さん、口が臭い"ってところから始まるんです」。
改めて大阪関西万博への意気込みをお願いします。
「まず1つ目は大阪の企業として大学の技術に対する社会実装のお手伝いをした成果。これをぜひ皆様に見ていただきたいです。2つ目は、それをアニメーションにしましたので、ぜひ私たちのブースにお越しいただいて、歯周病について認識いただければと思っております」。
6月3日から6月9日に大阪ヘルスケアパビリオンのリボーンチャレンジ内での出展となります。
歯周病の適切なケアが全身の健康にもつながるんですね。
健康寿命を伸ばすために心がけたいですね。