2025年

8月10日

仕事にも心にも母港を 港が生み出す仕事

今週のゲストは、早駒運輸株式会社の代表取締役社長 渡辺真二さんです。

社名には"運送"とありますが...。
「トラック業界の会社と間違えられ、荷物運んでくださいと云われるんです。
父の代の時、株式会社にした際に早駒運輸という名前にしまして。
元々あった早駒運輸でやっていきたいので名前を変えずにいます。
ポートサービス業で明治時代からやらせてもらっています。
業務内容はたくさんありますが、原点は綱取、繋離(けいり)船業です。
船はプカプカ浮いてて、そこから走って物を運んだりします。
そこで岸壁に着いて物を運んだり、荷物を陸に上げたりするには固定しておかなければいけない。
固定するのにロープを掛けますが、掛ける場所がビットという鉄の塊。
昔は石原裕次郎さんがそこに足をかけてました(笑)。
出発する時はロープを外す。
いつでもできる仕事なんですけど、朝昼晩、嵐の日があれば雨の日もある。
昭和の40年代は4、5社ありましたが、今は神戸港の全てを弊社がやっています」。

繋離船業の他にもあるそうですね。
「クイーンエリザベスなどのクルーズ船に関係する仕事ですね。
あのクルーズ船がついた時のタラップ。
そのタラップの付け外しをしてお客様が乗っていくわけですが、タラップの付け外しは神戸では弊社です。
あと給水ですね。
昔は神戸市がやっていましたが、水を船会社さんが船に積んだりします。
クルーズ船の場合は9.11のアメリカのテロ事件から非常に厳しくなりまして、一般の方が貿易港の船の乗り場には来れなくなったんです。
クルーズ船が寄港する時はフェンスを張って誰も入らないようにする。
そのフェンスの付け外しも弊社がやっています。
タグボート、いわゆる曳船ですけども、これも弊社が担当しています。
大きな船を着岸するということは車で言うと駐車するようなものです。
船をタグボートで押したり引いたりして位置調整して着岸させます。
タグボートが日本にできてきたのは昭和の30年代後半なんです。
戦前戦後はタグボートがありませんでした。
つまり時間がかかっていたんですよ。
そのうち物流に時間の短縮を求められるようになって、早く着岸させて荷物を運ばないといけないというところでタグボートという仕事が増えてきたんですね」。

時代と共にお仕事も変化。
「我々は明治18年、1885年から創業していますけども、神戸港での仕事も時代と共に様変わりしています。
交通船、リバティボートっていう仕事がありまして、これは海のタクシー。
一般の方を乗せる神戸シーバスっていうものを弊社でやっていましたが、この交通船っていうのは乗組員さんや代理店の方々、つまり沖に停まっている船と陸を繋いでいました。
この仕事で、大正時代に7社ぐらいやっていまして、とても儲かっていました。
そのお金を元にしてタグボート作ったところもありました。
それが今、現在、売上では月15万円しかないんです。
だからそのボートを利用して今、最初のロープを取るのにこの小さな船を使っています。
要は船の人が綱を投げる、そこにうちの小さいボートが来て、綱を取る。
それでだんだん岸へ寄せてくる。
そしてビットに留める」。

さらに時代を読んだビジネスも。
「次の時代に行く時にやっぱりBtoBだけではいけないと思いました。
次の代に進めるためにもBtoCの観光船やメリケンパークの施設管理、人の賑わい、人が集まる港を創出する。
それをするための1つとしてグッズを作っています。
クルーズ船『boh boh KOBE』をブランド化しまして様々なグッズを展開しています。
元々はプロの方を乗せていましたが、一般の方を乗せようとなったのが1993年4月。
神戸シーバスという、海上バスですね。
神戸で初めてのシーバスをうちがやらせてもらっています。
その1年半後に阪神淡路大震災。
最初に始めた六甲アイランドの遊園地であるとかが閉鎖されまして、この海上バスっていうのはちょっと手を出さなくなったので観光船にしようと。
震災の時は本当に市民の方に乗っていただきましたね」。

港のお仕事以外もされていることが...。
「佐渡裕さんと仲良くさせてもらっていまして、うちのboh boh Tシャツを演奏の時など着ていただいています。
ある時、600枚のTシャツが欲しいとおっしゃるので、なんでやろ...と思ってたんですが、聞けば会場にいる市長も和尚も校長も生徒も幼稚園児もみんな同じTシャツを着て、一緒の気持ちでやるっていうのが佐渡さんの考えだったんです。
2017年は神戸港150年でした。
そこでも何かしたいなと思いまして、始めたことがありました。
佐渡さんが芸術監督を務めておられる『スーパーキッズ・オーケストラ』は18歳で卒団なんです。
その後も世界にどんどん羽ばたいて欲しい、そんな集まるような場所を作りたいという思いから、『スーパーストリングスコーベ』というスーパーキッズ・オーケストラのOB・OGで結成された弦楽オーケストラを作りました。
女子ラグビーチーム『神戸ファストジャイロ』も主宰しています。
一般社団法人を作って僕が代表です。
協賛会社さんは最初、10社ぐらいだったんですけど、僕がどんどん声かけさせてもらったら、今50社を超えました。
女子ラグビーチームは大学にはあるのですが、年齢を重ねてもラグビーをしたい人、さらに強豪となると関東にしかない。
それならば関西でチームをと思いまして作りました。
うちの会社に7名の社員で選手がおりまして、そのうちの3人は日本の協会が選んだ合宿にも行かせてもらっています。
アーティストもスポーツ選手もマザーポート、帰って来れる母港を作ってあげたいという気持ちですね」。

ラグビーにこだわりは?
「息子がラグビーを始めたことが大きいですね。
京都産業大学のラグビー部にいまして、関西リーグで優勝、関西の選抜チームにも選ばれて、大学選手権は準決勝まで。
24歳で引退しましたが、話は遡って彼が中学1年生の頃です。
僕は昔から"ミスター・ラグビー"平尾誠二さんと仲良くさせていただいていました。
ある時、ゴルフの後にバーベキューをしていまして、家族がラグビーボールを持ってきていたんです。
そうすると平尾さんが、しゃあないなぁと言いながら、息子とキャッチボールしてくれたんです。
実はその場所に後にiPS細胞でノーベル賞をとられる山中伸弥さんもおられたり。
山中さんは平尾さんとの交流から『友情』という本を書かれていますが、2023年にドラマ化されまして。
10秒ほどですがそのキャッチボールのシーンが出てきました」。

<プレゼント>
早駒運輸さんからリスナーの皆様にプレゼント!
『boh boh KOBE』の乗船券ペアのセットとミニトートバッグを3人の方にプレゼント

≪ 宛先 ≫
メール: akarui@mbs1179.com
FAX:06−6809−9090
ハガキ:〒530-8304 MBSラジオ 「日本一明るい経済電波新聞」
「  早駒運輸プレゼント 」係
当選者の方の発表は商品の発送をもってかえさせて頂きます。

竹原編集長のひとこと

港の様々なお仕事はもちろん、発信する文化にも力を入れておられます。
いずれも『母港』というキーワード。
帰って来れる場所があるのは素晴らしいですね。