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｢上野誠の万葉歌ごよみ｣ |
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| 【2023年4月15日 放送分】 |
2023年4月15日 |
【巻】…4・709
【歌】…夕闇は道たづたづし 月待ちていませ わが背子その間（ま）にも見む
【訳】…夕闇は道が心細い。だから月の出を待ってお帰りなさい、わが背子よ。その間にもあなたを見ていたいから
【解】…豊前の国（現在の大分県、福岡県）からやって来た、大宅女（おおやけめ）という女性が作った歌。「たづたづし」は、現在の「たどたどしい」という言葉に近く、おぼつかないとか心細いという状態を意味します。つまり、あたりか暗くなった夕闇の中で道を行くのは、とても心細く危険であると。だから「そんな時は月の光を頼りに進むのがいいから、月が出るまで待ちなさい」と声をかけているのです。状況としては、男性が帰ろうとしたところを女性が引きとめている場面です。「待っている間もあなたを見ていたいから」と言われた男性は、ドキッとするでしょう。この歌はおそらく宴席で詠まれたもので、宴会が終わりに近づいた時に、帰ろうとする人をひきとめるためのものと思われます。
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