|
|
|
 |
 |
|
|
上野先生に聞いてみたい事、番組の感想など何でもお寄せください。
〒530-8304 ＭＢＳラジオ
｢上野誠の万葉歌ごよみ｣ |
|
|
|
|
|
|
|
| 【2019年12月14日 放送分】 |
2019年12月14日 |
【巻】…2・104
【歌】…わが丘の龗（おかみ）に言ひて降らしめし雪のくだけし そこに散りけむ
【訳】…私の丘の竜神様に言って降らせた雪のかけらが、そっちに散ったのではないかしら
【解】…天武天皇が藤原夫人に贈った歌を前回ご紹介しましたが、藤原夫人がそれに返したのがこの歌。
天武天皇が、「わたしの里には雪が降りましたが、あなたの古びた里に降るのは後のことでしょうね」とからかったのに対して、「その雪は、私が竜神様に言って降らせた雪のかけらです」と藤原夫人は負けていません。
しかも、竜神は丘のようなところにいるとされていたので、自分の方が竜神に近いんだというニュアンスも含んでいるのでしょう。ただ、天武天皇がいた場所と藤原夫人の里は、距離にしてせいぜい４００メートルしか離れておらず、実際に、雪が降ったのが先だとか後だとかいうことはなかったと思われます。
つまりは、久しぶりの雪に胸が躍った二人が、じゃれあって歌を交換したといったところでしょう。公式の場では、妻は当然ながら天皇を立てる言葉遣いをするでしょうが、この歌からは、日常の仲睦まじい関係性がそのまま出ています。このような人間的な場面を味わえるのも万葉歌の魅力といってもいいでしょう。
|
|
|
|
|
