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〒530-8304 MBSラジオ
「上野誠の万葉歌ごよみ」 |
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【2020年12月12日 放送分】 |
2020年12月12日 |
【巻】…10・2181
【歌】…雁が音(ね)の寒き朝明(あさけ)の露ならし 春日の山をもみたすものは
【訳】…雁が音の寒い夜明けの露であることよ、春日の山を色づかせるものは
【解】…雁は毎年、晩秋に日本へやって来ますので、雁の声を聴くと、「もう冬だなあ」と季節の変化を知ると同時に、条件反射のように寒さまで感じる人、多いのではないでしょうか。この歌では、そういう記憶を呼び起こすように、「雁が音」を「寒き朝明」にかけることで、より寒さが厳しい夜明けを想像させます。その上で「寒い夜明けの露に違いない」と詠む作者。何が「違いない」のかというと、春日の山を紅葉させた原因が露に違いない、とのこと。木々が紅葉する理由は、今でこそ学術的に説明できますが、古代では、露が葉を色づかせると思われていました。ですので、春日の山の紅葉を見た作者は、「雁が音が聞こえる寒い朝に降りた露。これ以外に、春日の山をこんなに美しく紅葉させるものは他にないだろう」と改めて実感したのでしょう。
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