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〒530-8304 MBSラジオ
「上野誠の万葉歌ごよみ」 |
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【2022年10月22日 放送分】 |
2022年10月22日 |
【巻】…3・270
【歌】…旅にしてもの恋(こほ)しきに 山下の赤(あけ)のそほ船沖へ漕ぐ見ゆ
【訳】…旅をしてもの恋しい時に、山下の赤いそほ船が沖に漕いでいたのが見えた
【解】…高市黒人の旅の歌8首のうちの1首。旅の途中、なんとなく恋しい気分になっている時に、ふと目に入ったのが、沖を進む一艘の船でした。その船は「赤いそほ船」、つまり、赤い塗料を塗った船で、遠くからでもその姿を確認できたのでしょう。どこに向かっているのか分からないけれど、一艘で大海を漕ぎ進む船の様子に、高市黒人は自身の気分を重ねたに違いありません。この時の黒人は何が恋しかったのか・・故郷のことか、故郷に残した恋人のことか、詳細は分かりませんが、黒人でなくても、旅というものは、孤独感やもの悲しい気分に包まれたりするもの。特に秋はそんな気分になりがちではないでしょうか。
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