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「上野誠の万葉歌ごよみ」 |
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【2019年11月30日 放送分】 |
2019年11月30日 |
【巻】…8・1567
【歌】…雲隠り鳴くなる雁の行きて居む秋田の穂立(ほたち) しげくし思ほゆ
【訳】…雲に隠れて鳴いている雁がやって来て降り立つ秋の田の穂立ではないけれど、しきりにしきりにあの人のことが思われる
【解】…雁は、長い距離を移動するのに気流を利用するため、高いところを飛びます。ですので、日本にたどり着いたばかりの時は、雲に隠れて鳴き声だけが聞こえている状態ですが、その雁たちが落ち着いて地上に降り立つ頃の田は「しげし」、つまり穂がびっしりと立っている状態。作者は、その沢山の穂と同じように、何度も何度も、しきりに大切な人のことが思われると詠んでいます。つまり、歌の前半の雁のくだりは、「しげし」を起こすためのもので、後半の「しげくし思ほゆ」が本題です。そうなると、前半は訳さなくてもいいのでは、となりそうですが、雁が田に降り立っている、晩秋から初冬の風景があればこそ、切ない恋の心情が深く響いてくるのです。
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