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「上野誠の万葉歌ごよみ」 |
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【2017年11月4日 放送分】 |
2017年11月4日 |
【巻】…1・48
【歌】…東(ひむかし)の 野に炎(かぎろひ)の 立つ見えて かへり見すれば 月かたぶきぬ
【訳】…東の野に炎の立つ野が見えて 振り返ってみると月が傾いているではないか
【解】…これは万葉集で一番有名な歌で、皇子の成人用に柿本人麻呂が詠んだ短歌四首のうちの一つです。 炎とは、いろいろな説があり、有力なものとしては、朝になって気温と大地の温度差があるところにメラメラと立ち上がる空気が揺れているものをいいます。 また、狩りをするとき、一定方向に松明を持って進んでいくときの追い込み火ともいえます。 古代の時代では、狩りをする中で成人式を行っていて、 狩りは明け方にすることから、新しい時代がくることを示しています。 皇子の父は、即位を期待されながら亡くなったことから、 この歌には、父を思いながら、かつて父が狩りをした同じ場所で、 息子も成人になったという背景があるのです。 太陽が昇れば月が傾き、月が昇ると太陽が沈んでいくという、当たり前だけど、 雄大な自然の風景は地球そのものです。 皇子の成人という新しい時代が来ることと、朝の景色が重なっていることが感じられる歌です。
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