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「上野誠の万葉歌ごよみ」 |
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【2019年4月13日 放送分】 |
2019年4月13日 |
【巻】5・816
【歌】…梅の花 今咲けるごと散り過ぎず わが家(へ)の園(その)にありこせぬかも
【訳】…梅の花よ、今咲いているように咲き続けて咲き続けて散り過ぎず この家の庭にあり続けてほしいものだ
【解】…新元号「令和」は、万葉集 梅花の歌32首の序文から採られました。 令和は、序文の前半の部分から採られましたが、 今回はその序文の後半の部分についての解説です。 「加以(しかのみにあらず)、曙(あけぼの)の峯に雲移り、松は羅(うすもの)を掛けて蓋(きぬがさ)を傾け、夕べの岫(くき)に霧結び、鳥はうすものに封(こ)めらえて林に迷(まよ)ふ。庭には新蝶舞ひ、空には故雁(こがん)帰る。 ここに天を蓋(きぬがさ)とし、地を座(しきゐ)とし、膝を促(ちかづ)け 觴(さかづき)を飛ばす。言(こと)を一室の裏に忘れ、、衿(ころものくび)を煙霞(えんか)の外に開く。淡然(たんぜん)に自ら放(ほしきまま)にし、快然に自ら足る。」 それだけではないよ、朝焼けをみると、峰には雲があってきれいで、松を見ると、春がおぼろな時期であるために、霧が薄い着物のようにかかっていて、さらに、夕方になると霧が出てきて鳥たちが庭のところに飛んできて、そこには今年生まれた蝶が舞っている。ふと空を見ると雁がかえっていく、まさに春の訪れだ。 こんな良い日には宴会をしなくちゃね。どんなふうに宴会するかというと、 日よけのために偉い人に傘をかけるがその傘はこの美しい空、敷物は大地そのもので、盃が飛び交うようにみんなでお酒を交わし、衿をほどいてリラックスして飲んで気分がさっぱりした。 こんな楽しい宴会の日には、みんなで歌を作ろうよ、となってできたのが梅花の宴32首。 816番の歌は、小野老がわが家の園にとは、自分の家に庭を指すので、本来ならば、小野老の家の庭となりますが、これは、大伴旅人の庭で宴会している小野老が、まるで自分の家のようにくつろいで、リラックスして楽しんだから、このような表現をしている。 あまりにも居心地が良くて、みんなの庭のように感じてもらえることは、亭主にとっても喜ばしいことで、招いた側をほめている。 褒め上手で、亭主への気遣いが感じられる歌です。
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