
|
|
 |
 |
|
 |
上野先生に聞いてみたい事、番組の感想など何でもお寄せください。
〒530-8304 MBSラジオ
「上野誠の万葉歌ごよみ」 |
|
 |
|

|
|
|
【2019年6月22日 放送分】 |
2019年6月22日 |
【巻】3・283
【歌】…住吉(すみのえ)の榎津(えなつ)に立ちて見渡せば 武庫(むこ)の泊(とまり)ゆ出づる船人(ふなびと)
【訳】…住吉の榎津に立って見渡せば、 武庫の泊から漕ぎ出していく船人が見える
【解】…すみのえは、現在の住吉のこと。住吉は港で、榎津という地名があったようで、 そこに立って遠くを見渡している様子。 武庫は現在の武庫川のあたりのことで、泊ゆの“ゆ”は、〜を通って、〜からという意味。 当時は住吉から武庫の方まで見えていて、船の出入りを見ていたいたようです。 船人まで見えたかは定かではありませんが、船の出入りを見ていると、そこに乗っている人のことを考えている。 作者の高市連黒人(たけちのむらじくろひと)は、旅の歌が多く、その中でも漁場のことを歌っていて、景色を風景画の様に見ているので、船の出入りをみて、この港にはこういう人がいて、船で出ていったのだなあなどというように船人の様子までも景色に加えているのです。 当時はおそらく、住吉から船が出て一番最初に泊まるのが武庫川だったのでしょう。高市黒人自身も全国を旅していたとされていて、その旅の時の感慨深い思いを歌にのせているようです。 優雅な船の旅を想像しながら詠みたい歌です。
|
|
|
|