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〒530-8304 MBSラジオ
「上野誠の万葉歌ごよみ」 |
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【2019年7月13日 放送分】 |
2019年7月13日 |
【巻】…15・3579
【歌】…大船(おほぶね)に妹(いも)乗るものにあらませば 羽ぐくみ持ちて行かましものを
【訳】…大きな船に恋人を乗せることが出来たなら、羽で包むように大事に大事に連れて行くことができるのに
【解】…船旅は、海の上で非日常を楽しめる人気の旅ですが、古代の船旅はそういうものではありませんでした。船に乗るとすれば、使節として中国や朝鮮半島へ渡航する時か、防人として赴任地へ向かう時。いずれも命の危険と隣り合わせで、現代の船旅とは、かけ離れた気分だったことでしょう。 この歌は、天平8年に新羅へ遣わされた遣新羅使人の作品で、恋人(妻)と別れる時に詠んだものです。いつ帰って来るのか、また、生きて帰って来れるのかも分からない船旅ですから、もしかしたら永遠の別れになるかもしれません。大切な恋人を一緒に連れて行きたいと思うのも、無理のないことでしょう。実際に、この時の遣新羅使人たちは、大勢が道中で亡くなったとのこと。でも、この作品の恋人たちは後に再会できた、と信じたいものです。
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