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「上野誠の万葉歌ごよみ」 |
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【2020年1月18日 放送分】 |
2020年1月18日 |
【巻】…10・1919
【歌】…国栖(くにす)らが春菜摘むらむ司馬(しば)の野の しばしば君を思ふこのころ
【訳】…国栖たちが春菜を摘んでいるのだろう、その司馬の野原。司馬の野原ではないけれど、しばしば君のことを思い出す今日このごろです
【解】…国栖とは、現在の奈良県吉野町に住んでいた山の民のことで、木の実や川魚などの採取が上手かったようです。その国栖の人々が春菜を摘んでいた場所に司馬という野原がありました。この司馬の野原は現在のどの場所かは分かりませんが、この歌では、後半の「しばしば」を引き出す序言葉として登場しているのです。つまり、歌で伝えたいのは、しばしば君のことを思い出すということなのですが、では、序の部分は全く意味がないかと言えば、そうでもありません。山の中の清らかな川が流れる地で、娘たちが若菜を摘んでいる・・そんな風景がほんのりと浮かんできます。もしかしたら、作者はそこで女性と出会ったのか、などと想像を喚起させる要素があり、単なる序というよりも、この歌の背景を浮かび上がらせる役割を担っています。
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