
|
|
 |
 |
上野誠の万葉歌ごよみ
毎週土曜日 朝 5:30〜5:45
上野誠(國學院大學 教授)
上田悦子(MBSアナウンサー)
★上田悦子アナウンサーブログ
|
|
 |
上野先生に聞いてみたい事、番組の感想など何でもお寄せください。
〒530-8304 MBSラジオ
「上野誠の万葉歌ごよみ」 |
|
 |
|

|
|
|
【2022年8月6日 放送分】 |
2022年8月6日 |
【巻】…2・123
【歌】…たけばぬれ たかねば長き妹(いも)が髪 このころ見ぬに掻き入(れ)つらむか
【訳】…束ねればほどけ、束ねなければ長い妹の髪。このごろ会わないので、かきあげてしまったかなあ
【解】…古代では、男女が共寝をした翌朝は、女性は髪の毛を束ねなおしたりせず、乱れ髪のまま過ごすというルールがありました。男性が触れた髪をそのままにしておくことが、相手に対する礼儀だという意味合いがあったようです。この歌を作ったのは、三方沙彌(みかたのさみ)という仏教修行中の男性で、妻の園臣生羽の娘(そののおみいくはのむすめ)に贈ったもの。夫が次に訪ねて来るまでは乱れ髪のままでいるのが通例でしたが、三方沙彌は病になってしまって、長く訪ねていませんでした。ですので、「彼女は髪をどうしているのかなあ、もう束ねてしまったかなあ」と、心に占めた思いを歌にしたのでしょう。そのままでいて欲しいという、三方沙彌の願望がにじみ出ていますね。この歌に対して園臣生羽の娘は、「人は皆、すっかり長くなった髪を束ねたらいいのではというけれど、髪が乱れたとしても、私は束ねませんよ」と返しています。あなたを待っていますよ、というメッセージに加え、病気が早く治るようにという願かけの意味も含んでいるのでしょう。
|
|
|
|