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上野誠の万葉歌ごよみ
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上野誠の万葉歌ごよみ
毎週土曜日 朝 5:30〜5:45

上野誠(國學院大學 教授)
上田悦子(MBSアナウンサー)
★上田悦子アナウンサープロフィール
utagoyomi@mbs1179.com
上野先生に聞いてみたい事、番組の感想など何でもお寄せください。
〒530-8304 MBSラジオ
「上野誠の万葉歌ごよみ」

【2024年7月20日 放送分】
【2024年7月13日 放送分】
【2024年7月6日 放送分】
【2024年6月29日 放送分】
【2024年6月22日 放送分】
【2024年6月15日 放送分】
【2024年6月8日 放送分】
【2024年6月1日 放送分】
【2024年5月25日 放送分】
【2024年5月18日 放送分】
上野誠の万葉歌ごよみ-歌ごよみ
【2023年9月30日 放送分】
2023年9月30日
【巻】…6・980

【歌】…雨隠(あまごも)り三笠の山を高みかも 月の出で来ぬ 夜(よ)は降(くた)ちつつ

【訳】…雨が降り、その上、三笠の山が高いからだろうか、月は出てこない。夜はもう更けてゆくのに

【解】…月が美しい季節です。万葉集には、月の歌が沢山ありますが、今回は、安倍朝臣虫麻呂(あべのあそみむしまろ)の歌。雨が降っていると月は雲に隠れてしまいますし、山が高いと、月が顔を出す時刻が平地よりも遅くなります。どちらも、月の姿を見るには妨げになることばかり。また、「降(くた)ち」は、盛りが過ぎた状況のことで、「夜が降ちつつ」は、夜が更けて朝が近づいていることを表します。つまり、月が見られると期待していたのに、夜が更けても姿を現さないと嘆いているのです。この歌の場合、「月」には大切な人を重ねていて、「もっと早くに来てくれると思っていたのに、朝が近くなっても来ない」というのが本当の意味でしょう。ただ、古代の恋愛では、男性が女性の家を訪れるのが一般的でしたから、男性である安倍朝臣虫麻呂がこのような歌を詠んでいるのは、恋愛というより、宴会の席などで、待ち人来たらずということで歌ったものでしょう。