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〒530-8304 MBSラジオ
「上野誠の万葉歌ごよみ」 |
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【2023年12月30日 放送分】 |
2023年12月30日 |
【巻】…9・1695
【歌】…妹(いも)が門入(かどい)り泉川(いづみがは)の常滑(とこなめ)に み雪残れり いまだ冬かも
【訳】…妹が門を入るという訳ではないけれど、出ては入る泉川の常滑に、み雪が残っている。まだ冬なのかなあ
【解】…泉川(京都府木津市の木津川)で作られた歌。「妹が門」は恋人の家の門のこと。当時は通い婚の時代ですから、恋人に会うときはその門から入り、朝には門から出ていきます。この、「出る」というのが重要で、「出る」は「いず」と表現されるので、その「いず」が泉川にかかっているのです。つまり、泉川を引き出すために、「妹が門入り」があるのです。泉川を引き出したいのなら、別に妹の門でなくてもいいのですが、想像をかきたてるためにそうしたのではないでしょうか。常滑は、川の中にある岩盤のつるつるとした部分。この歌が詠まれた時は春になったばかりだったのでしょうが、常滑に雪が残っているのを見て、「まだ冬なのかなあ」と、移ろう季節の空気感を歌にこめたのでしょう。
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