|
|
|
|
|
|
上野先生に聞いてみたい事、番組の感想など何でもお寄せください。
〒530-8304 MBSラジオ
「上野誠の万葉歌ごよみ」 |
|
|
|
|
|
|
【2024年5月25日 放送分】 |
2024年5月25日 |
【巻】…10・1899
【歌】…春されば卯の花ぐたし わが越えし妹が垣間(かきま)は荒れにけるかも
【訳】…春になると卯の花をだめにして私が越えていった妹の家の垣根は、荒れてしまったなあ
【解】…万葉集は全部で20巻ありますが、巻の10では、春夏秋冬に分けてそれぞれに色々なテーマを設定しています。今回ご紹介するのは「花に寄す」というテーマの中に収められた1首。花に自分の気持ちを投影した歌です。「春されば」は、春が去ればでなく、春が来ればという意味。「卯の花ぐたし」の「ぐたし」は、「くたす」という動詞で、特定のものをダメにしてしまうということ。作者はかつて、垣根を越えて恋人に会いに行っていました。なぜ垣根を越えなければならなかったのか、その理由は分かりませんが、越える際に、卯の花をダメにしてしまったようです。垣根のそばに卯の花が咲いていて、越える時に踏んでしまったのでしょうか。詳しい事情は分かりませんが、その垣根も荒れ果てて、今はもう昔という無常観がこの歌にただよっています。家に住む人がいなくなって廃墟のようになっていたのかもしれません。
|
|
|
|