第960回「法律相談から見えた復興の課題」
ゲスト:弁護士 岡本正さん

東日本大震災では、直後から弁護士たちが被災地に行き、無料の法律相談を行いました。避難所や仮設住宅、電話相談による相談件数は、1年余りで4万件を超えたといいます。そこから浮かび上がったのは、「二重ローン」や「相続」などの問題です。被災した家のローンが残っているために、新たにローンを組んで家を建てることが出来ず、なかなか生活を再建できない人。震災直後の混乱の中で、遺産を相続するか、放棄するかの選択を迫られる遺族。当時の制度では、そうした被災者のニーズにこたえることができませんでした。
そこで、弁護士たちは、法律相談から得られた「被災者の生の声」をデータ・ベース化して、解析し、政府に法改正や制度の新設を働きかけたのです。
今週のネットワーク1・17では、相談事例のデータ・ベース化を行った、岡本正弁護士をゲストに、災害と法律の問題についてうかがいます。

第959回「地震・津波から命を守りたい〜中学生が取り組む『新庄地震学』」
取材報告:新川和賀子ディレクター

「逃げてくれ 後でかならず 会えるから!」「死にたくない 生き続けたい 逃げ切りたい」。これらは、中学生が制作した「防災カルタ」の読み札です。
南海トラフ巨大地震が発生すると、最大で12メートルの津波が町を襲うとされる、和歌山県田辺市。田辺市立新庄中学校では、3年生が、様々な角度から防災について学ぶ、「新庄地震学」という取り組みを、2001年度から行っています。国語班は「防災カルタ」の制作、社会班は地域を襲った過去の津波被害の調査、保健体育班はダンスで覚える防災など、教科ごとの担当班に分かれて時間をかけて取り組みます。また、小学校に出かけて防災カルタで一緒に遊んだり、年に一度、地域と合同の津波避難訓練を行うなど、学校の授業だけにとどまらない、地域ぐるみの活動を続けています。
昨年度、活動に取り組んだある生徒は、「新庄地震学に取り組んでから、家族と津波避難について深く話せるようになった。」と言います。
今年で15年目に入る、「新庄地震学」の取り組みについて、取材したディレクターが報告します。

第958回『子どもと親に知っておいてもらいたい防災』
ゲスト:料理研究家 坂本廣子さん

料理研究家の坂本廣子さんの長女は阪神・淡路大震災で棚から落ちてきた書籍などに埋まり呼吸が止まってしまいました。たまたま心肺蘇生の講習を受けていた坂本さんが、心臓マッサージを行い、長女は息を吹き返します。その時、坂本さんは、災害時の備えがいかに大切かを実感しました。それから、坂本さんは災害時に、そばにいる人ができること、そして、自分で命を守る行動ができるよう子どもとその親に防災を伝えています。保育園では、子どもたちと遊びながら災害時の避難行動を身につけるよう工夫しています。例えば、地震が起こったら、急いで机の下に隠れる「おおいそぎかくれんぼ」、煙を吸い込まないように低い姿勢で逃げる「赤ちゃんはいはい」など。坂本廣子さんにスタジオに来て頂き、子どもと親に知っておいてもらいたい防災のノウハウを聞いていきます。

第957回 「20年スペシャル〜防災を次の世代へ」
ゲスト:NPO法人「プラス・アーツ」理事長 永田宏和さん

「ネットワーク1・17」は、今年4月で放送20年を迎えます。応援してくださったみなさんに感謝し、防災への思いを次の世代に引き継ぐため、4月4日に「子ども防災イベント」を開催しました。東日本大震災のとき、岩手県釜石市の子どもたちが「率先避難者」となり、家族や近所の人にも避難を呼びかけて、多くの命を救ったことからもわかるように、子どもたちに防災意識を伝えることは、社会を守ることにつながります。
イベントでは、自宅避難の際に必要なグッズ16品目をクイズ形式で覚える「防災なるほど講座」や、中学生による防災学習の発表、阪神淡路大震災から生まれた曲「しあわせ運べるように」の合唱、さらに、大阪市北消防署の協力で、消防車に乗っての記念撮影や、AEDの使い方を体験できる講習も行われました。
きょうは、「防災なるほど講座」の講師を務めたNPO法人「プラス・アーツ」理事長の永田宏和さんを、スタジオにお迎えします。放送時間を1時間半に拡大して、「子ども防災イベント」の模様と、子どもたちに知ってほしい防災知識を、たっぷりお伝えします。