第1375回「『春一番』にご注意」
オンライン:元・気象庁主任予報官 気象予報士 永澤義嗣さん

立春を過ぎて初めて吹く強い南風を指す「春一番」。2月から3月にかけて吹き、その名称から春の訪れを告げる風物詩のように感じられますが、実は季節外れの強い南風による災害への注意も必要です。
突風を伴って雷や竜巻を発生させたり、気温上昇に伴い雪崩や急激な雪解けを誘発する可能性があります。日本海で発達した低気圧が北日本を直撃し、大雨、大雪、高潮などをもたらすこともあり、大陸から黄砂を日本列島に運んでくることもあります。
今年はすでに九州北部と四国で「春一番」が観測されました。福岡県久留米市では春一番とみられる強風が原因で、文化施設の鉄製の門扉が倒れ、近くにいた新聞配達員が足を挟まれて骨折する事故もありました。
気象庁で主任予報官を務めた永澤義嗣さんに、防災の観点から「春一番」について語っていただきます。数十年に一度というレベルの災害が頻発する時代の気象予報の役割についても話を聞きます。
 
西村愛のひとこと
『春一番』というとキャンディーズの歌を思い出す方もいらっしゃるのでは?私もそうです。その『春一番』が、まさか災害を引き起こすような注意すべき風だったとは!!春一番が吹かない年もあるというのもびっくりしました。今年は、近畿地方で春一番が吹くのでしょうか。どうぞみなさん、ご注意を!

第1374回「津波バルーンプロジェクト」
ゲスト:東北大学大学院工学研究科 成田峻之輔さん

津波警報や津波注意報が出たとき、どこに避難したらいいか、すぐに判断することはできますか?市町村が指定している津波避難ビルなどはありますが、出張先や旅行先など土地勘のない場所にいた場合、指定の避難場所にすぐに避難することは難しいのではないでしょうか。
番組では、「稲むらの火」の現代版ともいえるプロジェクトを紹介します。「稲むらの火」とは、1854年の安政南海地震による大津波が、今の和歌山県広川町をおそった時、濱口梧陵という男性が、稲わらを積み上げた「稲むら」に火をつけて、暗闇の中で逃げ遅れていた村人を安全な高台へと導いたという実話です。
現代版「稲むらの火」はアドバルーンを使います。津波警報などが発表された時に、アドバルーンを掲げて避難先を伝える「津波バルーンプロジェクト」。考案者は東北大学大学院で津波工学を専攻する成田峻之輔さん(23)です。成田さんに発想の原点とプロジェクトにこめた思いを聞きます。
  
西村愛のひとこと
『津波バルーンプロジェクト』はVRを使った仮想空間での実験も取り入れています。「避難行動に関してはVRの方が、津波が迫ってくる映像を見てリアルに感じて動くことができるのでよかった」コロナ禍だったからこそVR実験を始めて、その良さに気づいたそうです。逆境もプラスに変える成田さん。今後の展開も注目ですね!

第1373回「トルコ・シリアで大地震~現地の状況は」
オンライン:AAR Japan[難民を助ける会]東京事務局 プログラムコーディネーター 栁田純子さん

トルコ南部で6日未明に発生した大地震では、死者数が隣国シリアと合わせて2万人を超えました。行方不明の被災者の生存率が下がるとされる「発生から72時間」が過ぎた後も、懸命の救助活動が続いています。しかし、大規模な建物の倒壊が広い範囲で起こり、冬の厳しい寒さも影響して、作業は難航しています。現在、日本のNPO法人などが被災者支援に動いています。
AAR Japan[難民を助ける会]は、トルコで緊急支援物資の配布など救援活動を始めました。AAR Japanは1999年のトルコ地震で支援活動を行い、2012年からはトルコに避難してきたシリア難民の支援を続けています。今回の地震が発生した後はすぐに、イスタンブール事務所の現地職員らが被災地に入り、トルコ南東部のシャンルウルファ県内で、被災者に毛布や子ども用おむつなどを配布しました。プログラム・コーディネーターの栁田純子さんは「現在は生き延びるための物資面での支援だが、今後はコミュニティの復興や心のケアなど長期的な取り組みが必要になる」と話します。現地の状況と私たちができる支援について、栁田さんに話を聞きます。
  
AAR Japan[難民を助ける会]
https://aarjapan.gr.jp/
   
西村愛のひとこと
「被災地へ物資を届けよう!」という車が渋滞を引き起こしてしまって、物資の到着が遅れている現実がある、とのこと。私たちが募金をして、現地の商店で購入してもらうと現地の方の収入にもなるし、物資をスムーズに届けることもできますね。古本やCDの寄付で募金ができることも初めて知りました!

第1372回「阪神・淡路大震災28年【5】~災害時の公衆電話」
電話:喫茶店カーナ店主 岡本美治さん

携帯電話の普及で利用する人が減り、街角から姿を消しつつある「公衆電話」。しかし、公衆電話は停電が起きても使うことができて、通信障害の影響を受けにくいので、災害に強い電話です。
今回の番組ゲストは、神戸市須磨区の喫茶店「カーナ」の店主・岡本美治さんです。岡本さんのお店は、阪神・淡路大震災で全焼しましたが、その2週間後には、焼け野原になった店舗跡地にビーチパラソルを立て、青空喫茶店をオープン。無料で被災者へ温かいコーヒーを提供しました。
そして、2か月後の仮設店舗オープン時には、NTTに掛け合い、店の前に公衆電話を設置。家族と連絡を取りたいという被災者が次々と集まりました。
今は使う人がほぼいない店先の公衆電話ですが、阪神・淡路大震災の教訓から、岡本さんは28年経った今も守り続けています。番組では、災害時の連絡手段として、その意義が改めて見直されている公衆電話について考えます。
   
西村愛のひとこと
離れて暮らす家族や友人との電話で、ほっとしたり、涙を流し語り合う。被災後の大変な暮らしの中で心の支えになる公衆電話の存在は大きいですね。私も子どもたちと公衆電話を探して"防災さんぽ"をしてみました。実際に、番号をプッシュして祖母に電話をかけてみると新鮮だったようで、楽しんでいましたよ。