第1199回「台風19号~千曲川流域の被災地は」
ゲスト:被災地NGO恊働センター代表 頼政良太さん

台風19号では、長野県を流れる千曲川の堤防が決壊し、広範囲が浸水しました。長野市では、最大4.3メートルの深さの浸水があったとみられます。被災地NGO恊働センター代表の頼政良太さんは、今月15日から、長野市やその周辺の町に、支援に入っています。堤防決壊による水の勢いで家が流されてしまったり、1階が天井まで浸水し家じゅうが泥に覆われていたりして、現地に入ると改めて被害の大きさに驚くといいます。
家財についた泥を取り除き、廃棄物を処分し、床をはがして掃除し、乾燥・消毒するという気の遠くなるような作業が必要になります。避難所でも、トイレの整備や段ボールベッドの導入など、環境改善が必要ですが、ボランティアは全く足りていません。
被災地NGO恊働センターでは、長野の周辺からボランティアを乗せて支援に向かう「おたがいさまバス」を走らせることを決め、そのための寄付を募集しています。被災者の生活再建のために、一人でも多くの人が支援に入らなければなりません。長野県の被災地の状況と必要な支援について、頼政さんに聞きます。
 
 
「おたがいさまバス」寄付の振り込み先
 
郵便振替 
口座番号:01180-6-68556
加入者名:被災地NGO恊働センター
※備考欄に「2019年台風19号」とお書きください
 
被災地NGO恊働センター
http://ngo-kyodo.org/
 
 
千葉猛のひとこと
長野の被災地でいま一番必要なのは「人手」なんですね。洪水でドロドロの家の片づけが終わらないと生活の再建はできません。片付けの力仕事以外にも、ボランティアができることはたくさんあるということです。長野に観光メインで旅行に行き、そのうち1日、ボランティア参加するのもいいかもしれません。

第1198回「台風19号の被害拡大~茨城県水戸市を取材」
取材報告:新川 和賀子ディレクター

先週12日に東日本や東北地方を襲った台風19号の被害の全容は、まだ把握できていません。死者は70人を超え、行方不明者の捜索が続いています。64河川の111か所で堤防が決壊し、浸水面積は去年の西日本豪雨を上回ります。
茨城県水戸市では、那珂川とその支流が氾濫し、沿岸の広い地域が浸水しました。国土地理院の分析によると、常磐自動車道水戸北IC付近で最大7メートルを超える浸水深だったと見られています。水戸市では1986年にも洪水が起きています。近くに住む70代の男性は、上流の水位をインターネットのライブカメラで確認しながら備えていましたが、避難する際には膝上まで浸水していました。「5分くらいで水が来て、逃げるのが精いっぱいだった。以前の洪水の時よりも水の流れが速く、身の危険を感じた」と話します。男性の妻は避難の際に転倒して、膝を骨折しました。台風19号の被害と当時の状況について、水戸市の被災地を取材した番組ディレクターが報告します。
 
JNN・JRN「台風19号災害義援金」

三井住友銀行 赤坂支店
口座番号: (普) 9554894
口座名:「JNN・JRN共同災害募金」

お寄せいただいた義援金は、全額、日本赤十字社を通じて被災地に送られます。


西村愛のひとこと
33年前の那珂川の氾濫の経験を活かし、水害への意識が高い水戸市の方々。家をかさ上げしたり、那珂川の下流にある水戸市が氾濫危険水位になる時間を計算して備えたり。それでも那珂川より先に支流が溢れて、家が瞬く間に浸水。何が起こるかわからない。早めの避難が大切なんだなと改めて実感しました。

第1197回「食物アレルギーと災害」
ゲスト:LFA 食物アレルギーと共に生きる会 代表 大森真友子さん

大災害が発生すると普段食べている物が手に入りにくくなります。食物アレルギーを持つ人にとっては、口にできる食べ物がほとんど手に入らないこともあり命に関わる問題です。
 大阪にある食物アレルギーの患者会「LFA食物アレルギーと共に生きる会」(以下、LFA)は今年5月、「アレルギーっ子ママが考えた防災ハンドブック」を発行しました。キッカケは、昨年7月の西日本豪雨で、交流のあった広島の患者会からSNSで寄せられた「市はアレルギー対応食品を備蓄していないようで、個人の備蓄も底をつきそうです」という声。LFA代表の大森真友子さんは、西日本各地の患者会と協力して、被災地にアレルギー対応食品を送りました。危機感を感じた大森さんたちは、被災者の体験談を集めてハンドブックにまとめました。ハンドブックには、災害に対して自らできる備えに加え、「炊き出しでは使った食材を全部貼りだしてください」といった、避難所で必要な対応も書かれています。
全人口の1~2%(乳幼児は約10%)が何らかの食物アレルギーを持っていると考えられる現在。大森真友子さんをゲストに迎え、食物アレルギーと災害をめぐる実体験や対策について聞きます。
 

「アレルギーっ子ママが考えた防災ハンドブック」(LFA 食物アレルギーと共に生きる会)
http://lfajp.com/_src/2273/LFA_bousai_mihiraki20190530.pdf

千葉猛のひとこと
大森さんのお話で「食物アレルギー」のある人にとって避難所の食事の材料に何が使われているのかは、命にかかわる重要な情報だとわかりました。その情報を知りたいと思うのはわがままや好き嫌いではありません。災害時の食事は文字通り「死活問題」です。社会全体の理解が速やかに進むことを願います。

第1196回「台風被害のお金と備え」
ゲスト:ファイナンシャルプランナー 清水香さん

先月、台風15号が直撃した千葉県では、2万棟を超える住宅が被害を受けました。停電や断水が長期に及び、被害の実態把握が遅れたため、生活再建にも遅れが生じています。台風で住宅などに被害を受けたら、まず何をすればよいのでしょうか。
被災直後は、取り急ぎの修理と並行して、被害状況を写真に残すことが大切です。また、現金給付・減税などの被災者支援を受けるためには、「罹災証明書」が欠かせません。被害を証明することが、支援を受ける手続きの第一歩となります。
ただ、台風15号では、被害を受けた住宅のほとんどが「一部損壊」です。被害を証明しても、「一部損壊」では「被災者生活再建支援法」など公的支援の対象になりません。今回は、国が特例として工事費の一部を負担する措置を取りましたが、昨年の大阪北部地震と対応が異なることに対して不満の声も上がっていて、ルールづくりが求められています。
公的支援があまり期待できない現状で、頼りになるのは火災保険です。台風が来る前の「事前の備え」として、「火災保険」の補償に「風災」が入っているかに加え、「補償金額」も合わせて確認する必要があります。
台風に備えて、お金の面でどのような対策が必要なのでしょうか。災害と生活再建の問題に詳しい、ファイナンシャルプランナーで社会福祉士の清水香さんに聞きます。

西村愛のひとこと
台風で被災した直後、私ならきっと不安になり冷静でいられないかと思います。でも、そんな時こそ清水さんのアドバイスが心強い!まず、さまざまな角度から「被害状況を写真に残す」「罹災証明の調査に対して再調査の依頼ができる」さらに「事前に火災保険の確認を」清水さんの著書もわかりやすいですよ!