第1216回「大学生が向き合う阪神・淡路大震災」
ゲスト:神戸大メディア研代表 森岡聖陽さん 副代表 長谷川雅也さん

阪神・淡路大震災で学生39人教職員2人が亡くなった神戸大学で、今年1月17日に行われた献花式には、多くの現役生たちの姿がありました。これは、昨年の献花式では見られなかった光景です。背景には、震災を知ってもらおうと1年かけて奔走した学生の活動がありました。
神戸大メディア研代表の森岡聖陽さん(大学院修士1年)はメンバーらと共に、昨年、震災で亡くなった神大生の9家族に聞き取りを行いました。震災を経験していない世代の現役生らに多くの先輩が犠牲になったことを知ってもらうためです。亡くなった学生の大学生活、震災に遭った時の状況、その後の遺族の心の動きなどを丁寧に聞き取り、ほぼ全文をブログに書き起こして発信しています。震災で亡くなった戸梶道夫さんの母・栄子さんは「当時のことを話すのは辛い時もあるけど、若い人たちの記憶に残るのは嬉しい」と話します。
神戸大メディア研代表の森岡聖陽さんと、副代表の長谷川雅也さんをゲストに迎え、活動内容や震災と向き合った思いを聞きます。
 

神戸大メディア研ウェブログ 連載「慰霊碑の向こうに」 
https://blog.goo.ne.jp/kobe_u_media/e/b81d5f93f24d4db312586b32da0838da

西村愛のひとこと
「"震災"と聞くと"東日本大震災"が浮かびます」と語るお2人。阪神·淡路大震災を経験していない、若き11人の学生さんが手がけたインタビュー。遺族の皆さんの気持ちや当時の様子が鮮明に伝わってきました。真摯な想いが多くの人の心を動かしたんですね。ぜひ、皆さんにも読んで頂きたいです!

第1215回「斜面はなぜ崩れたか」
電話:京都大学防災研究所 教授 釜井俊孝さん

今月5日、神奈川県逗子市で、道路脇の斜面が突然崩れ、通学途中の女子高校生が(18)が巻き込まれて死亡しました。斜面は高さが約16メートル、下半分は石垣で補強されていますが、上半分はむき出しになっていて草木が生い茂り、その一部分が崩れ落ちました。土砂災害は雨の多い夏場に発生しやすいのですが、今回は雨の少ない冬場に起きていて、現場の土砂は乾燥していました。国土交通省の専門家の現地調査では、火山灰が固まってできる凝灰岩が風化し、非常にもろくなっていたことがわかりました。
現場は土砂災害危険区域に指定されていますが、斜面の上に建つマンションの管理組合が所有する私有地で、行政による定期的なチェックはありませんでした。
斜面災害が専門の京都大学防災研究所教授の釜井俊孝さんは、「今回の崩落は特に珍しい現象ではなく、同じような斜面は数多くある」と話します。崩壊の危険性を事前に察知することはできないのか、同様の事故を防ぐためにどんな対策が必要なのか、釜井さんに聞きます。

千葉猛のひとこと
「楽しく防災を伝える」西村さんのイベント「ハッピーラッシュ」はまさにこれだなあと思いました。西宮花火大会もそうですが、楽しいイベントがずっと続いていって、若い世代に防災が伝わってくれるといいなあと願います。また神奈川のがけ崩れ事故については全国的な緊急対策の必要性を強く感じました。

第1214回「音楽にのせて伝える防災」
ゲスト:防災音楽ユニット「BloomWorks」KAZZさん、石田裕之さん

ポップソングにさりげなく防災のメッセージを織り交ぜて発信している、神戸発の防災音楽ユニット「BloomWorks」が注目されています。
ボイスパーカッションを担当しているKAZZさんは、大学生の時に阪神・淡路大震災で被災。音楽活動と並行して語り部として、長年、震災の経験を伝えてきましたが、最近は風化を感じていました。危機感を覚えたKAZZさんは、2017年に兵庫県立大学大学院・減災復興政策研究科に入学し、防災について学びました。
ボーカル・ギター担当の石田裕之さんは、東日本大震災の被災地に直後から通い続けて支援を続けてきました。被災者から聞いた災害の教訓をきちんと伝えるためには専門知識も必要だと感じ、2016年に防災士の資格も取得しました。
同じ思いの2人が出会って「BloomWorks」は生まれました。彼らの楽曲は、決してお堅い防災啓発ソングではありません。例えば、「171」というポップソングは、男性の平均身長である171センチの男性がもうちょっと背が欲しいと悩んでいる歌。曲の最後に「災害伝言ダイヤルも171」と伝える仕掛けです。
防災音楽フェスの開催や、おしゃれな防災アーティストグッズの開発など、さまざまな手法で、さりげなく防災意識が持てるアプローチを続ける彼らをゲストに迎え、お話を聞きます。
 
BloomWorks 公式WEBサイト
http://bloom-works.com/index.html

西村愛のひとこと
防災音楽ユニットと聞くと啓発ソングがメインかと思いましたが、防災の歌詞とは最後まで聴かないとわからないようなオシャレな曲の数々。日頃の生活の中に自然に溶け込んでいく音楽だからこそ、防災のメッセージが伝わってきました。4月開催の防災フェス、私も家族で参加するのが楽しみです!

第1213回「密集市街地の地震火災」
ゲスト:神戸大学 都市安全研究センター 教授 北後明彦さん

地震の後に発生する火災をどう防ぐかは、防災を考えるうえで大きな問題です。阪神・淡路大震災では、神戸市長田区などで同時多発的に火災が発生し、多くの命が奪われました。都市部にある木造住宅の密集地では、地震で大規模火災が発生する可能性があり、避難が困難になることが予想されます。大阪は、そんな危険な密集市街地の面積が2248ヘクタールと、全国で最も広いといわれています。
老朽化した木造建築を耐火建築物に建て替えたり、狭い道路を拡幅して延焼の危険を減らしたりして、まち全体を不燃化する対策が求められています。しかし、実際の整備はなかなか進んでいません。土地と建物の権利関係が複雑で交渉に時間がかかるうえ、「今のままでいい」という住民も多いからです。
家屋の解体費用の補助制度を導入するなど、自治体としても早急な対応を迫られる中、どのように整備を進めればいいのでしょうか。「大阪府密集市街地整備のあり方検討会」のメンバーも務めた神戸大学・都市安全研究センターの北後明彦教授に聞きます。

千葉猛のひとこと
時間がかかるように思えるけれど、地道に一戸一戸の耐火性を強めていくことが木造住宅の密集市街地の防災については重要なのだということが、今日のお話でよく分かりました。全国各地に少なからず密集地があります。阪神淡路大震災での地震火災を思い出すと、できるだけ早く進んでほしいと願うのですが。