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〒530-8304 MBSラジオ
「上野誠の万葉歌ごよみ」 |
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【2018年6月2日 放送分】 |
2018年6月2日 |
【巻】7・1370
【歌】…はなはだも降らぬ雨ゆゑ にはたづみいたくな行きそ 人の知るべく
【訳】…それほど降らない雨なのに 庭の水よたいそう流れていかないでおくれ 他人様に分かってしまうから
【解】…はなはだもとは、はなはだしいということ。庭たづみとは、庭の水のことで、 池や水たまりのことです。 いたくなとは、たいそうということで、いたくな行きそとは、庭の水が屋敷の外に流れてほしくないという意味。 この歌は、人に知られたくない噂があり、庭の中で噂しているのは良いけれど、庭の外に出て行ってみんなからあれこれと噂されるのは嫌だということを表しています。 古代は通い婚なので、女性のところに毎晩男性が来ているというのはスキャンダルとなる時代。水や空気のようにつかみどころのないもので、いったん流れてしまうとその流れを止めるのは難しいものです。 本当かどうかわからない、人に知られたくないことこそ多くの人が知りたいもので、それを歌にたくした雨の歌です。
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