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〒530-8304 MBSラジオ
「上野誠の万葉歌ごよみ」 |
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【2021年4月3日 放送分】 |
2021年4月3日 |
【巻】…10・1870
【歌】…春雨はいたくな降りそ 桜花いまだ見なくに散らまく惜しも
【訳】…春雨はたいそう降ってくれるなよ、桜の花をまだ見ないのに散ってしまうのが惜しいから
【解】…桜の花は、もちろん最盛期が一番美しいでしょうが、満開の時に必ず見られるとは限りません。見ようと思っていたら、雨や風で散ってしまったというのは、よくあることです。この歌も、そんなことにならないように、「春雨はいたくな降りそ」と詠んでいるのです。桜の花を惜しむ気持ちは、1300年前も今も同じで、反対に、いつでも満開の花を見られるなら、このような歌は生まれないでしょう。無常の美学がここにあります。今年は、新型コロナの影響で桜を満足に見られず、残念に思ってらっしゃる方は多いと思いますが、その惜しむ気持ちが大切なのかもしれません。
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