第1366回「外国人防災アドバイザー」
オンライン:箕面市国際交流協会 バイサさん
      外国人防災アドバイザー 畢微さん

日本に住む外国人の中には、母国で地震や台風を経験したことがなく、災害に対して強い不安を持つ人もいます。そんな外国人に防災の知識を学んでもらい、コミュニティに情報を発信してもらう「外国人防災アドバイザー」という取り組みが各地で広まっています。
大阪府箕面市がこの取り組みを始めたきっかけは、2018年の大阪北部地震でした。市内の小学校に想像を超える130人以上の外国人が避難しましたが、言葉の壁から地震速報や避難情報を読めない人がたくさんいました。避難所の場所や災害時にとるべき行動を教わったことがない人もいて、さらに食事や宗教など外国人特有の困りごともありました。
それを受けて、箕面市は2020年から「外国人防災アドバイザー」制度をスタート。市内に住む外国人から希望者を募り、防災に関する研修で「災害時にどんな行動取るべきか」をワークショップで学んでもらいます。市の定期的な企画会議にも参加してもらい、実際に困っている当事者の声を吸い上げて防災対策に生かしています。
日本に住む外国人にどんな支援が必要なのか?取り組みを始めた箕面市国際交流協会のバイサさんと、アドバイザーとなった中国人の畢微(ひつび)さんに聞きます。
 
箕面市国際交流協会
https://mafga.or.jp/news/bousai_videos2021/

西村愛のひとこと
大阪北部地震のとき、災害に対しての知識がなく不安になった外国人の方々の想いを初めて聞きました。言葉の不安を抱えて来日した同じ立場だからこそ、寄り添える。課題を見つけることができる。気持ちをわかってくれる人がいるのは、心強いですね。この取り組みが、全国に広がるといいなぁと思います!

第1365回「カセットこんろとボンベの備え」
ゲスト:岩谷産業 カートリッジガス本部西日本営業部 吉川涼太さん

急に冷え込んできて、鍋ものがおいしい季節になりました。テーブルで鍋をあたためるときに活躍するのが「カセットこんろ」ですが、災害時に欠かせないアイテムでもあります。ライフラインの中でも、ガスの復旧には特に時間がかかるからです。東日本大震災ではガスが9割復旧するまでに約1カ月を要しました。
カセットこんろとボンベを備蓄する際、注意しなければならない点があります。まずは使用期限です。カセットこんろは製造から10年、ガスボンベは製造から7年です。また、こんろとガスボンベは正しい組み合わせで使用しなければ、火力が落ちたりガスが漏れたりする可能性があります。
ボンベの備蓄は、気温10度の場合、大人2人が1週間、食品の温めや湯沸かしに使うとすると9本必要になるそうです。必要な量は季節によってかわります。
今回の放送では、カセットこんろの業界シェア1位の「岩谷産業」の方に、カセットこんろとボンベの備えについてお話を聞きます。災害時にオススメのレシピも紹介します。

西村愛のひとこと
冬に大活躍のカセットこんろ!鍋料理だけではなく、ポリ袋調理やアウトドアでもおススメとのこと。季節を問わず普段からカセットこんろを活用すると、災害時でも食の楽しみが広がります!大切な備えだなと実感しました。オール電化の家でも、停電することを考えると、カセットこんろを準備しておくことが大切ですね。

第1364回「情報防災訓練~正しい情報を発信するには~ 」
オンライン:静岡大学 教育学部 准教授 塩田真吾さん

災害時の不安や混乱に乗じて、誤った情報を流して不安を煽る、いわゆるデマやフェイクニュース。熊本地震の時には、「動物園からライオンが逃げた」というフェイクニュースがSNSで拡散され、問題になりました。
以前、番組では、SNSに出回る情報の見極め方をお伝えしましたが、今回は、災害時の「正しい情報発信」の方法について紹介します。
災害時には、被害情報の把握や救助活動のために「情報」が必要です。誰でもSNSを使って情報発信できる現代だからこそ、正しい情報を発信することができれば、子どもたちも「防災」や「減災」に貢献することができると期待されています。 
正しい情報を発信するためのキーワードは、「あ・ま・い」。「安全を確認する」「間違った情報にならないか」「位置情報を使う」こと。番組では、"情報防災訓練"を開発した静岡大学 教育学部准教授の塩田真吾さんに、正しい情報を発信する方法について聞きます。

情報防災訓練の教材(LINEみらい財団のサイト)
https://line-mirai.org/ja/activities/activities-prevention
 
西村愛のひとこと
私がSNSで位置情報を活用するのは、待ち合わせの時や、美味しいお店を紹介する時。災害時の情報発信にも使うことができる!ということを、初めて知りました。災害時はパニックになっていて冷静に判断できないかもしれないので、普段から『あまい』のキーワードを考えて情報発信を!習慣にしたいと思います。

第1363回「防災に女性の視点を」
オンライン:静岡大学教育学部 教授 池田恵子さん

今回は「防災にもっと女性の視点を」というのがテーマです。たとえば避難所では、必要な生理用品や下着が備えられていなかったり、プライバシーのない状態で着替えや授乳をしなければならないなどの問題が指摘されています。また、トイレが男女別ではなく、我慢した結果に体調を崩す例も報告されています。
なぜ災害時には女性の声が反映されにくいのでしょうか?背景には、自治体や地域の防災組織において、男性が役職に就くケースが多いという現実があります。6割以上の自治体で女性の防災担当者がゼロという調査結果もあり、支援を決める過程において女性の意見が生かされていません。
女性は、普段から育児や介護に関わることが多く、女性の声に耳を傾けることは、「弱い立場にある」人たちの意見やニーズを把握することにもつながります。地域防災に携わりたいと考える女性が増える中、女性の視点を取り入れる重要性は分かっていても進まない理由や課題はどこにあるのでしょうか。防災とジェンダーの関係について研究を続ける静岡大学教育学部教授の池田恵子さんに聞きます。
  
西村愛のひとこと
災害時だけでなく、平時から世帯主義だなと感じます。夫の口座に自治体からのお金が振り込まれて自由に使えない、町内会の会合に女性が参加したら『旦那さんは来ないの?』と言われたり。決定権は男性にあるという風潮自体を変えるためにも、防災に参加したい女性をマッチングしてくれる自治体の仕組みがあるといいなと思いました。