第1364回「情報防災訓練~正しい情報を発信するには~ 」
オンライン:静岡大学 教育学部 准教授 塩田真吾さん

西村)災害時の不安や混乱に乗じて誤った情報や不安を煽る、いわゆるデマやフェイクニュース。以前、番組では、SNSに出回る情報の見極め方について伝えました。
きょうは、"正しい情報の発信"の方法について、"情報防災訓練"を開発し、子どもたちへの啓発を行っている静岡大学教育学部 准教授塩田真吾さんに教えてもらいます。
 
塩田)よろしくお願いいたします。
 
西村)以前、塩田さんに教えてもらったのは、情報の見分け方でしたね。
 
塩田)わたしが推奨している情報防災訓練は、「LINEみらい財団」と共同で開発しています。情報の信頼性を見極める「だ・い・ふく」というキーワードを覚えていますか。
 
西村)「だ」は、「誰が言ってるの?」でしたね。
 
塩田)そうです。次の「い」は「いつ言ったの?」です。いつ頃の発信なのかというのも見極めるポイントです。そして「ふく」は、「複数の情報を確かめたの?」です。一つの情報だけではなく、複数の情報を見ることが必要です。
 
西村)だ=「誰が言ってるの?」、い=「いつ言ったの?」、ふく=「複数の情報を確かめたの?」という、キーワード「だ・い・ふく」を教えてもらいました。災害時には、"情報を見極めて発信する"ということも必要ですか。
  
塩田)これからは情報を発信していくということも大切。被害状況、どこでどんな物資が足りないのか等を発信していくことができれば、子どもたちも防災・減災に貢献できると考えています。
 
西村)子どもたちはSNSが得意な世代。戦力になりそうですね。でも教えるのは難しそう。どんなふうに学ぶのですか。
 
塩田)我々は、"情報防災訓練の発信編"という教材を作っています。実際に災害が起きたと想定し、用意されたカードを見ながら、発信して良いかをグループワークで話し合います。
 
西村)1人で考えるのではなく、みんなで話し合うと新たな気づきも増えそうですね。
 
塩田)自分は発信しても良いと思っていても、友達からは「逆に混乱を招く」という意見が出ることも。
 
西村)情報発信の際にも大切なキーワードがあるそうですね。
 
塩田)情報収集の際のキーワードは「だ・い・ふく」でしたが、情報発信の際のキーワードは「あ・ま・い」です。
 
西村)「だ・い・ふく(大福)あ・ま・い(甘い)」覚えやすいですね!
 
塩田)「あ」は、「安全を確認しよう」です。危険なところに行かずに、まずは安全を確認することが大切です。
 
西村)川が氾濫しているところを見に行くのは危ないですよね。
 
塩田)YouTubeで川の氾濫を実況する人がいますが危険です。地震がおさまったからといって、外の状況を撮りに行こうとすると上から物が落ちてくることも。発信する前に安全を確認しましょう。
 
西村)次の「ま」はなんですか。
 
塩田)「間違った情報にならないか」です。発信することで、逆にフェイクニュースや誤った情報を拡散してしまうこともあります。
 
西村)東日本大震災のときもたくさんの情報が回ってきました。実はみんな又聞きで発信していて、間違った情報だったことも。情報が更新されているのに気づかずにリツイートしてしまったこともありました。
 
塩田)新型コロナウイルスでもさまざまな情報が出てきましたよね。
 
西村)トイレットペーパーを早く買っておかないといけないとか。
 
塩田)お湯を飲むとコロナが治るとか。すべて間違った情報です。それを発信すると拡散してしまうことになるので、内容のチェックは大切です。
 
西村)最後の「い」はなんですか。
 
塩田)情報発信する際に、「位置情報を上手に使おう」です。
 
西村)どのように使うのですか。
 
塩田)台風が去ったあとに、道路に木が倒れている様子を見たときに、「どこで・いつ」を報告すると役に立ちますが、そこが抜けてしまうと、見た人が混乱してしまいます。位置情報のGPSをオンにして写真を撮ると位置情報を追加して投稿することができます。
 
西村)確かに「大阪・北区で木が倒れています」だけではわからないですよね。
 
塩田)位置情報を使うと自分の家の場所がわかってしまう心配もあるので、位置情報は上手に使うことが必要です。
 
西村)通常は位置情報をオフにしておいて、必要な情報を発信するときにオンにする、というような工夫が必要ですね。
 
塩田)位置情報は、マップにも表示されるのでわかりやすいです。
 
西村)あ=「安全を確認しよう」、ま=「間違った情報にならないか」、い=「位置情報を上手に使おう」という、情報発信の際のキーワード「あ・ま・い」を教えてもらいました。間違った情報ならないかを見極めるときは、前回教えてもらった「だ・い・ふく」の「誰が言ってるの?」「いつ言ったの?」「複数の情報を確かめたの?」をチェックすることが大切ですね。
 
塩田)「だ・い・ふく」を基本に情報収集して、「あ・ま・い」を意識して発信することが、災害時の情報収集・発信で大切になります。
 
西村)今手元には、実際に塩田さんが子どもたちと情報発信を学ぶときに使っているグループワークのカードがあります。「考えてみよう」ということで一枚の写真があります。
 
塩田)道路に木が倒れている写真ですね。どのように発信したら良いと思いますか。西村さん、ぜひやってみてください。
 
西村)このカードには、「16時ごろ、田山西のコンビニ前の状況です。このような被害状況をどのように伝えますか?」と書かれています。公園にある1本の木が根っこから倒れています。道路を半分以上塞いでいるので車が通れない状況。人が通るのも危ないですね。木がまだ倒れきっていないので、いつ倒れてくるかわからないし。早くみんなに伝えなければと思います。これをSNSでどう発信するか...。
 
塩田)どんなふうに発信すると効果的でしょうか。
 
西村)まずは安全を確認します。近づくと危ないので、少し離れた場所から撮影します。そして、間違った情報にならないようにきちんと日付・時間も書きましょう。
「12月11日(日)16時頃、田山西のコンビニ前に大きな木が倒れています。道路を塞いでいるから危ないです。通らない方が良いです」
いざとなると言葉が出てこないものですね...。どうですか?この文章で伝わりますか。
 
塩田)伝わるとは思いますが、位置情報を加えてわかりやすくしたほうが良いですね。安全を確認した上で、間違った情報にならないように日付や現在の状況を書いて、位置情報も加えるとわかりやすいと思います。
 
西村)ほかに何かできることはありますか。
 
塩田)自治体がハッシュタグで災害の状況を収集していたら「#田山市災害」というようにタグをつけておくとわかりやすいです。
 
西村)クリックすると同じハッシュタグが付いた情報が一覧になって出てきますよね。わたしもよくその方法で情報を見ています。
 
塩田)災害時は情報を集めることが多いので、ハッシュタグをうまく活用すると良いと思います。
 
西村)ほかに何か気をつけることはありますか。
 
塩田)情報更新が大切です。現在、木が倒れている道でも、2~3時間後には通れるようになっているかもしれない。状況が変わったら、復旧したという情報に更新することもとても大切です。
 
西村)情報の更新は忘れがちですが大事ですね。フェイクニュースにつながってしまうかもしれません。情報を発信したら更新することも忘れないようにしましょう。情報防災訓練は、何歳ぐらいの子どもたちに必要な訓練なのですか。
 
塩田)この教材は、中学生以上をターゲットにして作っていますが、SNSの利用状況によっては、小学校高学年や大人にも必要な訓練だと思います。子どもから大人まで一緒にできます。
 
西村)どこかで見ることはできるのでしょうか。
 
塩田)LINEみらい財団のインターネットサイトの情報防災訓練・情報防災教育のページから無料でダウンロードできます。誰でも自由に使うことできるので、家庭や地域でぜひ使ってください。
 
西村)無料でダウンロードできるのはありがたいですね。実際に参加した人からはどんな感想がありましたか。
 
塩田)情報収集するだけではなく、発信することが防災・減災に役立ちます。位置情報を発信することが心配という人も。情報の見分け方やフェイクニュースに加担しないようにすることが大切という声もありました。
 
西村)改めて情報発信の大事なキーワード、「安全を確認しよう」「間違った情報にならないか」「位置情報を上手に使おう」を頭において情報発信したいと思います。
きょうは、静岡大学教育学部 准教授 塩田真吾さんにお話しを伺いました。