第1234回「新型コロナと防災~視覚障がい者の避難」
ゲスト:落語家 桂福点さん

桂)えーわたくし、桂福点と申します。どうぞよろしくお願いをいたします。
上方の方で落語させてもろておりますけれどもですね。
今や世界中が新型コロナウイルスで大変なことなってます。こらもう、世界中ひとりひとり力を合わせて乗り越えて行かんならんと思うんでございますね。
わたくし実はですね、目の方が見えておりませんのでございます。視力は真っ暗け、頭がピカピカという状態でございましてですね、えー。
今日はですね、この視覚障がい者の立場から新型コロナウイルスに関することでちょっと思うことをですね、思い当たることをですね、お話しさせてもらいたいなと思っております。
どうぞ最後までよろしくお願いをいたしたいと思います。

 
千葉)今聞いていただいたのは、桂福点さんの「私を検査に連れてって」という小噺の初めの部分なんですね。この後、深く深くなっていくんですが...
今日は、落語家の桂福点さんをゲストにお迎えしました。福点さん、よろしくお願いします。
 
桂)どうもありがとうございます、よろしくお願いいたします。
いやーうれしいです、ありがとうございます。

 
千葉)こちらこそ本当に来ていただいてありがとうございます。
 
亘)福点さんは、今の小噺にありました通り、視覚障がいがおありなんですね。
 
桂)そうなんです、目が不自由で、毛が不自由でね、これ困ってるんです。
 
亘)(笑)目は少しは見えておられるんですか?
 
桂)全く見えてないんですね。人生もあんまり前が見えてないんですよ、えぇ。
足ラン毛ラーとも言われてるんです。

 
千葉&亘)(笑)
千葉)福点さんにご出演いただくきっかけになったのは、リスナーの方からメールをいただいたからなんです。そのメールをご紹介します。

亘)東大阪市のラジオネーム、70歳の方向音痴さん
『私は視覚障がい者です。避難所へ移動する場合、誰かのガイドがないと行けません。
自分の半径2メートル離れなければいけないとなると、私はどうして移動したらよいのでしょう。
良い方法があれば教えて下さい。』
  
千葉)新型コロナウイルスの感染が心配される中で、視覚障がいの方が災害が起きた時にどういう避難をすればいいのかというご相談なんですが...。
このことについて今すぐに答えの出る話ではないと思うんですが、きょうは桂福点さんと一緒に考えていきたいと思っております。リスナーの皆さんもよろしくお願いします。
 
福点さんは、新型コロナの感染拡大によって、生活面で困られたことはありますか。
 
桂)まずね、私たちはね、ガイドヘルパーさんと出かけたりあるいは単独で出かけたりするんですけど、とにかくガイドヘルパーさんの人数が減ったんですよ。
 
亘)それは、契約というか、そういう風になっているんですか?
 
桂)そうそう。そういう事業所さんと契約を交わすんですけど、その事業所さんにおられるヘルパーさんが、出控えるというかね、ちょっとガイドを控えてはったりされることがあるんですね。
登録されてる方の人数減ったりなんかして。

 
千葉)やっぱりコロナに感染する危険性があるから、外出は、自分自身難しいなっていうヘルパーさんもいらっしゃるわけですね。
 
桂)そうです。ほんで、ご家族に高齢の方おられたり、お子さんおられてるとね、万が一っちゅーことあるやないですか。それで控えはるんでしょうなぁ。
するとね、ひとりで歩いてるとですよ。
道で、今までやったら「手貸しましょか、そこのイケメンの落語家さん、手ぇ貸しましょうか」言うてね。

 
亘)(笑)そんなん言います?
 
桂)言わへん...。この哀しさがね、さらに深くなってきた...。誰も声かけてくれへん...。
 
千葉)いやいや(笑)
ちょっとね本当に、今、笑い交えてますけど、結構深刻な状況になってるんですが...
 
桂)そうなんです。世間が私イケメンやってことわかってない深刻さがかなりあるんです。
 
亘)それは深刻ですねぇ。
 
千葉)いやいや、イケメンでもあかん(笑)
 
桂)とにかく、声かけてもらう数が減った。えぇ。
 
亘)ヘルパーさんも減るし、街で声をかけてくれる人も減る。

桂)シャレですね。ヘルパーさんも減る、パー。

千葉)(笑)ちょっと進めましょう、話をね。
 
桂)あの店ね、店行ったら2メーターあいてるでしょ、人の間隔が。
後ついていってね、レジ並ぶの難しいんですよ。

 
千葉)そうか、普段は人の気配を感じるからついていけるということなんですね。
 
桂)そうそう。あとは匂いとかでね。クンクンクンとこう...そんなん犬ちゃうけどね。
例えばあの、前にいてるおばさんのサロンパスの匂いあてにして歩いたりですね、するわけですよ。

 
千葉)なるほどなぁ。
 
桂)あとはね、杖をちょっと先を出して、足あてるんです軽く前の方の。
そしたらその距離がとられてますから、ブンブンふったりなんか...しませんけどな。
まぁほんまに難しなる、距離感。

 
千葉)はー、そうか。普段はそうやって、人の気配、人との距離感をとってらっしゃるんですね。
 
桂)そうですねぇ。
 
亘)やっぱりそこは気にして、距離をとろうと福点さんの方もされたということですか。
 
桂)あーこれがねぇ、距離とるんですよ、やっぱり。一生懸命とるんですけど、見えてないっちゅうのは何とも言えんもんでね。
わかってないもんで突入して行ったりすることあるんですね。かえって中に入っていったりなんかしてね。
電車の中でもね、空いてるとこ行きゃいいのに、人のいてるとこちょっと行ったりね。
単独歩行ってのは、そういうのありますよね。

 
亘)普段だったらガイドヘルパーさんがいるんだけれども...ということですね。

桂)ちょっと(依頼するのが)減ってたり、自分も遠慮しますわなぁ。
いいんかなあとかね、利用させてもええのかなとかね、こういう時期に。


亘)そしたら、普段だったら頼もうかなと思うけれども、頼むのをやめようかとか...?
 
桂)そう。通院とかしてる人なんか、特にコロナと関係なく通院しようと思っても病院やしなって悩むんですよ。
 
千葉)今の話に大きく関連してきますけど、小噺のテーマにされた、熱が出たら誰が病院に連れてってくれるのかというのは、このコロナのまん延する状態では本当に大きな問題ですよね。
 
桂)びっくりしますよね、ちょっと熱あるし4日ほど続いてるで、検査、誰かねえ連れてってと、こう頼みにくいですよね。ガイドヘルパーさんにもね、電話する言うても...
いつもね一緒に仲良く行ってもらってるガイドヘルパーさんなんか特に言いにくいですよ。
「俺、ちょっとコロナやねん、一緒に行って」って。「いいわよ」とか「いいよ」とか言うてくれる人、なかなかね...。
道歩いてて、「コロナっぽいんですけど、行ってもらえますか」とか言えないですよね。
あの、これは深刻で、やっぱりヘルパーさん自身の事業所にもね、危険手当も出てないのでね。

 
亘)そうなんですね。
 
桂)やっぱり、各事業所で工夫はしてくれてはりますわ。
ちゃんとこう、ビニールを使うとかね、手袋するとか、厳重にこう感染防止してって...
でもなかなかね、熱があっても連れて行きますよっていう事業所さんもあれば、そうでないところもあるみたいです。

 
千葉)難しいですよね。
ヘルパーさんの健康も守らなきゃいけないし、でも視覚障がい者の方の健康も心配だし、どうしたらいいのかなっていうところで皆さん悩んでいらっしゃる感じだと思うんですが。
福点さんが、ひとつ、病院に連れて行ってもらうという時に、この方法を取ったらいいんじゃないかって考えられた方法があるって聞いたんですが。
 
桂)あーこれあの、新聞紙ね。
 
千葉)新聞紙?
 
桂)えぇ。新聞を丸めてもらって、棒にするんですよ、硬めの。
 
千葉)チャンバラごっこするような?
 
桂)そうそうそう!あれ、2本持ってもらいましてね。
で、前の人が後ろにこう...まさに電車ごっこです。右左持ってもうて。

 
千葉)あ、あれで2人つないで電車ごっこするんですか。
 
桂)そうそうそう。んで、前の人が引っ張っていく。
何でこれがええかっちゅうとですね、紐やと慣れてないと誘導しにくいんですよ。距離が離れるとピンと張って歩きにくい。
(新聞紙だと)芯があるのでちょっとしっかりしてるでしょう。
ほんで、背中の後ろに入りますので、前の人がぶつかるのがよっぽど好きな人やない限りは自分はぶつからんで済むわけですよね。

 
亘)はー、なるほど。
 
桂)手引きを知らない人でも、これやったらちょっと行けると。
 
千葉)そうですね、私がやるとしても電車の先っぽの部分を持ってついて来てくださいねってお願いすれば、ちゃんと距離はとれますしね。
 
桂)そう思うんです。で、焼却できますよね、新聞を。
 
亘)それを聞こうと思っていたんですけど、棒って100円均一とかでも売ってるじゃないですか、例えば朝顔に立てるような棒とかね。そんな物でもいいのかなと思ったんですけど...?
 
桂)まぁ、いざ買いに行くのもね。病院とか、そういう検査するところでもちょっと、これ用意しとけばね。わりとすぐ出来ますし。

亘)そして、終わったら捨てることができるわけですね。
 
桂)できると思います。
まあ、こういう緊急事態の時ですからね。
でも、普段はやっぱりね、ひじを持たしてもらって歩かなきゃ、やっぱあかんのですよ。
「ソーシャル・ディスタンス」っていう距離は、ただ距離をとるというだけじゃなくて、もう障がい者にとっては、このソーシャル・ディスタンスは、すでに心の、人間関係の距離になっちゃってるんですわ。

 
千葉)それはどういうことですか?

桂)ようするに、障がいがあると何て言うのかな、助けてもらわんといかんことが多いじゃないですか。接する、触れ合うことによって助けてもらってコミュニケーションとって生きてるわけですね。
それが生活の重要なことになってるんですよ。
それが奪われるということはね、本当に人間関係を切り離されていくことになるし、お互いコロナという壁を通じて、ちょっと遠慮したりとか、いやーちょっと手引きは嫌やなとか言うような関係になってきたら、距離ができちゃうでしょ。2メートルどころやないんですわ。

 
亘)なるほど。じゃあ、この数か月、非常にたいへんでいらっしゃったんですね。
 
桂)うちの夫婦間は、もう昔からソーシャル・ディスタンスっていう状態ですよ。
 
千葉&亘)(笑)
千葉)でもやっぱり、周りの近いところに人の感触を感じながら生活をしていくというところが、視覚障がいのある方にとって大切なんですね。
 
桂)そうですね。
 
亘)難しいなあ...。
今、「フィジカル・ディスタンス」という言い方をして、「物理的には距離があるけれども心の距離は取らないように」とか言われるんですけど、なかなかそれって難しいですね。
 
桂)無理です。だから、それは健常者の人やから言えるんですよ。
実際、人と触れ合って生きていかなければならない障がい者にとったら、もう完全に距離がとれちゃってるんですね。溝が出来たって感じ。

 
千葉)うーん。かなり深刻な状態だということが分かったんですが、そこで、このコロナがまん延している状況の中で、さらに災害が起きたらということをお話ししなければいけないんですね。
亘)このリスナーさんの心配ごとですよね。
千葉)福点さんご自身は、災害が起きたら、どこに避難しようと思っていますか?
 
桂)これがね、ちょっと気になることなんですけどね。
一応、学校とかありますよね。近所の小学校の避難所ってところに予定してるんですけども。
支援学校の近くの役所で、私、いっぺんハザードマップをね、点字のを見せてくれって言うたんです。

 
亘)ハザードマップって点字があるんですね。
 
桂)「作ってない」と言われました。
ほんで、「ええ?」と。
「どこ行ったらそういう点字のあるんですか?」「いや、考えたことない」って言われたんですよ。

 
亘)私と似たような感じですね、すいません。
  
桂)いや、ほんで、ちょっと待ってと。いや、役所でしょ?しかも防災課ですよ。
阪神・淡路大震災があって、どれだけの年数が経ったのでしょうかと。
その間にはたくさん、東日本もありね、九州もあり、さまざまなことがあって、なんでそういうイメージがね、できないのかと。
「じゃあ、どうやったらそういうようなことやってもらえますか?」と、「実は役所の方にある」と。「来てもうたら出せます」と。
来たらあるとかいう話は聞いてないしね。障がい者の人には伝わってないんですよ。
ほんで、説明もしてくれはったけど、いまいちわからん。
で、点字だけ作ってたらえぇっちゅうもんちゃうんですよ。点字の読めない人もいてるわけですね。

 
亘)視覚障がいの方で点字が読めない...
 
桂)この頃は増えてはるんですよ。
 
亘)そうなんですか。
 
桂)だから、点字は読めない方もいてる、できたらパソコンでという人もいてるんですね、音声のパソコンでとか。で、また、IT機器使えん人もいてるので。
これはね、やっぱり、さまざまな情報媒体から流してもらわなあかんと思うんですよ。
どこそこへ来たら説明しますとか。

 
亘)すみません、初歩的なことなんですけどね。
ハザードマップって色分けしてますよね、危ないとこは何色とか。そういうのって、どうやって色とか表現できるんですか?
 
桂)点字の場合はね、ザラザラをつけるとかね。
 
亘)ここまでのエリアはザラザラしてるとか?
 
桂)そうそう、筋を分けるとか二重線にするとかあるんですけど、ほぼゆっくり読めて理解できる人はいないと思うんです。難しいです、点字の地図を読むっていうのはね。
 
千葉)そうですよね。
 
桂)だからやっぱり、具体的に対面で話をしたり説明してもらうゆうのがないと困るんですよ。
 
亘)そうですね。
千葉)じゃあ、ハザードマップ、たとえば色んなもの作って配るとかいうんじゃなくて、日頃からコミュニケーションとって「ここはこうです」っていう話をして、ちゃんと安全な所に行くということが分かってもらえるような形で意思疎通をしておかないと行政はいけないということですよね。
 
桂)そうです。
で、障がい言うても、そのいろんな障がいがあることを理解しといてもらわんといけないし、重複障がいっていうこともあるわけですよ。
視力障がいと言っても視力プラス発達、視力プラス聴覚とかね。
そういう方も視力障がい者ですからね。えぇ。

 
亘)そうですね。
千葉)やっぱり、ひとりひとりの状況をちゃんと考えて、それに合った情報提供を普段から考えないといけないということですね。
 
桂)そうなんです。
視力障がいってひとつで括れないということですね。
視力障がいプラス落語家、視力障がいプラス禿げ上がりとか、いろいろね。

 
亘)重複なんですね(笑)
 
桂)重複です。
 
亘)福点さんご自身は、学校に避難しようとかいうことを決めてらっしゃるわけですか?
 
桂)そうです。学校が近くにあるんですけども。
それもね、やっぱり難しいのはそこ行ってからですよね。

 
亘)行くまではご家族と一緒に?
 
桂)いやいや、連れて行ってくれるとは思えませんけどね、置き去りかもしれませんよ。
 
亘)そんなことないでしょう。
 
桂)いや、あのね。実質、障がい者の方がひとりで暮らしてる人多いです。
ひとりで動けない方も思いです。

 
亘)そうですよね。
 
桂)どう考えても実質、置き去りになっちゃうことがあるんですよ。
だから、ここどうしたらいいやろって。
よく自宅でね、避難可能やったら自宅にいてくださいとかあるやないですか。自宅も待機できるように考えてくださいって言うけど、それはね、健常者ですわ。
障がい者が自宅でおったら何もできませんからね。

 
千葉)そういえば、熊本地震の時に視覚障がい者の方にお会いしたことがあるんですが、地震がドンと起きて周りの物が崩れたら、途端に身動きが取れなくなるっておっしゃってました。
 
桂)場所が変わっちゃうからなんですよ、物の。目安というか体の感覚で捉えているもの全て変わるんです。
だから地震の後の街はひとりでは絶対歩けない。ここにあった電信柱がないとかね、ここで鳴いていた犬が鳴かないとかね。薬局の匂いがしないとか。

 
千葉)はー!そうか。
亘)そしたらやっぱり、街の中でどこにひとり暮らしの障がい者の方がいらっしゃるかということを事前に知っておいて、誰か助けに行く人がいないといけないということでしょうか。
 
桂)これは大事ですね。
やっぱり障がいのある人は、常に地域の人に「僕ここにいます」「私ここで暮らしてますよ」ってことを伝えることも大事だし、自治体にもちゃんと緊急避難要支援者名簿というのがあるみたいなんですけども、それに自分が登録されているかっていうことも確認して、されてなかったらしてくれと。
じゃあ一体、どういう避難をやってくれんねやということも、しっかり聞くべきですね。
多分、完全に助けると言わないかもしれないですね。緊急事態だから必ずとは言えませんって言葉がくると思うんですよ。でも、それはどうかと思うんですね。
やっぱり何のための名簿かということですよね。
私はね、例えば、ヘルパーステーションだとかガイドヘルパーさんの事業所だとかと行政がタイアップして、地域にどれだけヘルプが必要な障がい者がいるかを把握して、そういう事業所で緊急事態の時はこれだけの人を誰それさんところへという割り振りを前もって作るのがいいと思うんです。

 
亘)なるほど。そういうのをやっているところってあるんですか?
 
桂)やってないんちゃうかなぁ...。
やるように吉村さんに言うとくっていうのどうやろ。知事ね。

 
亘)これね、メールくださった視覚障がいの方はね、自分は多分、コロナの時に災害が起きると避難所には行けないんじゃないかっていうことを書いておられて、壊れかけた家に残るか、庭にテントを設営して過ごすか、そういうのが無難なように思いますって書いておられるんですけどね。これ、避難所に行かれた方がいいんじゃないでしょうか、どう思われますか?
 
桂)実際に福島の時もそういう方おられたしね。
それはなんでかと言うと、避難所が暮らしにくいからなんですよ。

 
亘)避難所に行かないのは。
 
桂)行ってトイレがわからないから家に帰ったという人もいてはるんです。
食事を取りに行くということも難しい。それから、紙で貼りだしてある情報がわからない。聴覚障がいの方やったら、連絡がまわってたけど聴こえないとかね。
そういう、障がいが重くなればなるほど難しいことが起きてくるんです。
だからなんですよ。

 
千葉)例えばね、視覚障がい者の方の立場からして、避難しやすく生活しやすい避難所っていうのは、どんな形のところなんですかね。
 
桂)これはもう、今から準備せないかんと思うんですけども、やっぱり避難所にいろいろなヘルプができる専門家の方が配置されていること。それから、移動の保障がちゃんとできるような専門家と、できる限りのバリアフリーを考える、いうことですね。
で、障がい者の方が行きやすい、たとえば支援学校を使うとか、老人保健施設を使うとか。病院とか。そういったところでも最初から障がいのある人が来ても大丈夫ですよっていうのを、いくつかつくっとくことが大事やと思います。

 
亘)今ね、福祉避難所というのが一応ありますけど、あれって二次避難所なんですよね。一回、近くのどこか避難所から移る場所であって...。
 
桂)もう、直で行けるように、障がいがあるということならば行けるという形にしておかないと。一回行って次の所へ移るまでに安全の保障あるんですか。
 
千葉)そうですよねぇ。
 
桂)やっぱりそこらへんはちょっとね、考えるべき問題。
 
千葉)やっぱり事前の段階できちんと人を確保するということと、それから、生活に必要な器具だとかそういった物もきちんと揃っている場所に、いつでも来ていいよという形にしておくことが必要と。
 
桂)そうですね。そして、そこのスタッフがしっかりいろいろな対応ができるいうこと、それともう地域の福祉事業所とのタイアップですね。もっと言うならば、行政の人はもっぺん、障がい者ってどんな暮らししてるのか、見直してほしいですね。
そういうことしといてくれないといかんと思うんです。
それと、コロナの場合は特になんですけど、避難っていうよりもね。
熱があったりして検査受けに行くとき、電車とかタクシー使えないじゃないですか。
これもちょっと考えといてもらいたいんですけど、じゃあ僕ら何で行ったらええねんということなんですね。近くにあるところやったら、まぁ歩いて行けるでしょう。遠かったら、健常者の方は自転車で行くんですよ。僕ら行けない。
ガイドヘルパーさんは今、車で運転して送れないんですけど、こういう時は車でも乗って行ってガイドヘルパーさんにお願いできるとかそういうことも考えてもらいたいですね。

 
亘)あ、ガイドヘルパーさんは車を運転してお手伝いするというのはないんですか。
 
桂)ないんですよ。視覚障がいの場合はね。
 
亘)それは、なんでですか?
 
桂)わからんのですよ。
まして、こういう公の交通機関が使えないってなったら、そういうことを許可していただかないと、絶対いけないと思いますね。

 
亘)そうですね。
なんかコロナだけではなく、多分、阪神・淡路大震災の頃から言われ続けているような課題が、ずっと残っているような気がします。
千葉)そうですね。もう、日ごろの生活からいろいろ問題が多いですね。
 
桂)解決せんまま、きてるんだと思うんですよ。
「弱い人」っていう言葉は嫌いだし、「弱者」ってあんまり好きじゃないんですけど、障がいのある人とか暮らしがたいへんな人の立場で安全対策を考えれば、障がいのない人はそれでいけると思いません?

 
千葉)いけます、はい。
 
桂)逆なんですね、発想が。
今回もそう思いました。障がい者への対応があまりにないので、障がい者は横へ置いといてっていう感じがしましたね。

 
千葉)でも今、福点さんがおっしゃったことっていうのは、将来なんとかなればという話じゃなくて、今すぐなんとかしなければいけない話ですよね。
 
桂)今ちょうど、コロナとコロナの谷間やと思うんですよ。
この谷間の間にやらないとえらいことになると思います。