第1351回「ボランティアが足りない!」
オンライン:ひょうごボランタリープラザ アドバイザー 高橋守雄さん

西村)全国で災害が相次ぐ今、復旧の助けとなるボランティア不足が叫ばれています。さらにここ数年は新型コロナの蔓延で被災地域以外からの募集も難しくなっています。ボランティア不足の現状と課題について、
きょうは、ひょうごボランタリープラザ アドバイザー 高橋守雄さんにお伺いします。
 
高橋)よろしくお願いいたします。
 
西村)阪神・淡路大震災をきっかけに作られた「ひょうごボランタリープラザ」とは、どのような団体なのですか。
 
高橋)阪神・淡路大震災のとき、兵庫県には全国から216万のボランティアが来てくれました。「ひょうごボランタリープラザ」は、阪神・淡路大震災以降、兵庫県が設置した災害ボランティアグループの支援拠点です。
 
西村)「ひょうごボランタリープラザ」を通して、さまざまな被災地にボランティアを派遣しているのですね。
 
高橋)大規模災害が起きたら「ひょうごボランタリープラザ」のホームページですぐにボランティア募集を開始します。用意したボランティアバスで全国の被災地に行ってもらう仕組みを作っています。
 
西村)関西からバスで被災地に行くことができるのは助かります。
 
高橋)東北へは、片道13時間、北陸道で新潟方面から向かいます。東京まわりで行くと渋滞で時間が読めないので。18時ごろ神戸を出発し、朝8時頃に被災地に到着するスケジュールです。
 
西村)わたしも何度か被災地に足を運んだのですが、車の免許を持っていないので、空港からのアクセス方法が課題でした。バスで向かえるのは良いですね。ここ数年、大きな豪雨災害が増えています。豪雨災害におけるボランティアの仕事や役割とは、どういうものですか。
 
高橋)家屋の泥除け、泥出し、濡れた家具の搬出や周りの溝の掃除など。屋内の片付けが大きな割合を占めています。
 
西村)結構な力仕事になりそう。
 
高橋)日数が経てば、床下にたまった泥が固まってしまうので、できるだけ早く作業を始めることが大事です。

西村)新型コロナが蔓延は、ボランティアの作業をする上で問題となっているのでは。
 
高橋)影響を受けています。でもコロナ禍でも被災地の被害状況は同じ。傍観していても良いのか。過去の経験を活かし、阪神・淡路大震災でお世話になった恩返しの意味で、兵庫県として何ができるかを考えながら、物資や支援金で援助しています。
 
西村)コロナ禍で現地に支援に行くとしたら、どのような流れで作業に入るのですか。
 
高橋)8月にも青森、北陸で豪雨災害がありましたね。災害ボランティアの募集はされましたが、県内や市・町限定でした。他府県からの支援を被災地で防いでいます。そんな中、ワクチン接種済、PCR検査・抗原検査陰性など条件があっても参加したいというたくさんのボランティアが青森、北陸に入っています。一昨年に、佐賀県・武雄市が全国で初めて、ボランティアセンターに抗原検査用のテントを設置。10~15分後に結果が出て、陰性ならボランティアセンターで受付して活動に入るというシステムを作りました。
 
西村)今はボランティアの数は足りているのですか。
 
高橋)全国の市町村のボランティアセンターが毎年ボランティアの登録を計上しています。2011年の東日本大震災のときは、867万の登録があったのですが、最近では630万ほど。少子高齢化やコロナの影響ですごく減少しています。
 
西村)一度登録したら、毎年更新が必要なのですか。
 
高橋)市町村のボランティアセンターに登録したら継続されます。最近では、高齢で登録を解除する人も増えてきました。
 
西村)ボランティアも世代交代が大切なのですね。
 
高橋)わたしも高齢なので、若いボランティアの育成と災害ボランティアの裾野の拡大を目指し、各地で啓発活動や講演活動を行っています。国として、ボランティアを育成・拡大する政策が乏しいので、平時から災害ボランティアの環境整備を整えてほしいと思っています。
 
西村)熊本の球磨川が氾濫した2020年の豪雨災害では、コロナの影響で県外からのボランティアの募集を停止していました。高橋さんも現地に行っていたのですね。
 
高橋)人吉市などで被害がありましたが、熊本県がお互いの健康維持のために県外ボランティア募集をストップしていました。そんな中でも、何かできないかと3回、人吉市や八代市に行って、市長・村長に会いました。ボランティアの姿はほとんど見ませんでした。でも、被災地の家屋の玄関先には「ボランティア助けて」と張り紙がしてあるんです。それを見て、コロナだからと傍観していて良いのかと思いました。
 
西村)みなさん、コロナ対策をしっかりして現地に入っていたのでしょうか。
 
高橋)PCR検査や抗原検査をしてから入っています。ボランティア活動をするときは、被災者と密にならないように気をつけます。球磨川沿いでは、コロナ禍でも応援に入りたいという全国のボランティアやNPOを受け入れる民間のボランティアセンターが生まれました。熊本県や社協と連携し、情報を共有しながら活動しました。コロナ禍での新しいボランティア活動の形だと思います。
 
西村)ボランティア不足解消への対策は進んでいるのでしょうか。
 
高橋)ボランティアが急に減った理由について、内閣府が調査をしました。40%が「交通費や宿泊費がかさむから行きたくても行けない」という理由。国に「災害ボランティアを助成する仕組みを作ってください」と何度も陳情したのですが、なかなか国は動かなかった。しかし阪神・淡路大震災から25年を機に、兵庫県では、全国で初めて、災害ボランティアに交通費や宿泊費を支援する制度を作りました。若いボランティアを育てるために、ボランティア活動をした大学生への単位付与制度を確立するように文部科学省に働きかけています。
 
西村)国は、なぜお金を出してくれないのかと思います。
 
高橋)阪神・淡路大震災が起きた1995年に初めて法律の中にボランティアという言葉が入りましたが、それ以降27年間、ハ―ド(制度)面がなかなか確立できなかった。災害が多いことが一つの原因でもありますが、普段からボランティアについて真剣に考えてくれる議員や自治体が少ないということです。
 
西村)兵庫県では、ボランティアへの助成制度を全国で初導入したとのこと。財源は?
 
高橋)返礼品なしのふるさと納税です。制度を作ってから3年で約5000万集まりました。高齢で遠くの被災地にボランティア活動に行けない人は、ふるさと納税という形で、若いボランティアに託して、それを元に元気なボランティアが被災地に行くという画期的な制度を2019年に発足させました。
 
西村)その助成金はどのように生かされていくのですか。
 
高橋)5人以上のグループで最大20万円が出ます。交通費、宿泊費などに使われます。長野県の千曲川が氾濫した2019年の台風19号で初適用したのですが、県内を中心に53の団体が制度を活用しました。ほとんど20万円以内すみます。レンタカーやマイカーで長野まで入って、安いホテルか旅館を押さえれば活動できます。適用は大規模災害に限定していますが、最近は災害が多いので、今後は適用件数も増えると思います。
 
西村)PCR検査の費用にも適用されますか?
 
高橋)はい。ボランティアのみなさんにPCR検査をして、陰性の場合に行ってもらいます。
 
西村)この制度は、今のところ兵庫県だけなのですか。
 
高橋)長野県も似たような制度を作ってくれました。岩手・宮城・福島・熊本など遠方にボランティアに行きたくても、交通費、宿泊費がかさむからなかなか行けない。そんな場所こそ早く制度を作るべきです。そのような啓発活動をしています。
 
西村)なかなかお金がない自治体もあると思います。自治体で頑張るのはもちろんなのですが、国で、ボランティアの交通費を出す基金を作るなど動いてもらえたらと思いますね。
 
高橋)関西は、南海トラフ巨大地震が想定されていますよね。和歌山・大阪・兵庫・高知・徳島...被災するとボランティア活動ができない。他地域からボランティアが入るときに、兵庫県に行けば支援してもらえるとなれば、ボランティアが兵庫県に集中してしまいます。
 
西村)他の地域にボランティアが来ないのは困りますね...。
 
高橋)だから他地域でもそのような制度を作って、平均的にボランティアが来れるようにしてほしいと思います。
 
西村)平時に早く対策を進めることが大切。わたしたちも情報を集めていきたいと思います。「ひょうごボランタリープラザ」ホームページにもいろんな情報が載っています。ぜひご覧ください。
きょうは、ひょうごボランタリープラザ アドバイザー 高橋守雄さんにお話を伺いました。