第1314回「お正月に考える災害時の食事」
ゲスト:プラスワン防災代表 坂本真理さん

西村)2022年最初のテーマは災害時の食事です。
きょうは、一般社団法人「プラスワン防災」代表の坂本真理さんとともにお届けします。
坂本さん、あけましておめでとうございます
 
坂本)あけましておめでとうございます。
 
西村)今年もよろしくお願いします。リスナーのみなさんから「我が家ではこんな備えをしています」「こんな工夫をしています」という、災害時の食事にまつわるメッセージをたくさんいただいています。
 
姫路市 ラジオネーム・みっちゃん さん
「わたしは阪神・淡路大震災のときに東灘区に住んでいました。火を使うことができず、レトルト食品などを食べることができませんでした。そのときの教訓から、ボンベ式の小さいガスコンロを非常食と一緒に備えています。当時、水の配給はありましたが、電気が使えなかったので、カップ麺をそのまま食べたりしていました。火を使うことができたら非常食のバリエーションが広がるし、温かい食事は気持ちもリラックスできると思います」

 
福岡市 ラジオネーム・ピローズ さん
「冷たいお弁当や硬いものが続くとお腹に厳しいと感じます。カセットコンロは重要なアイテムだと思います。お弁当のおかずにも火を入れることができます。カセットコンロをしまい込んでいると、いざというときに使えないこともあるので、我が家では真夏でもときどき鍋料理をして、カセットコンロを使っています」

 
西村)お二人ともカセットコンロにまつわるお話です。
 
坂本)今は、収納が一体型になったものなどおしゃれなカセットコンロも売られていますよね。
 
西村)真夏でも鍋料理を楽しんで、カセットコンロのチェックをしているというのは、すばらしいですね。
 
坂本)冷房を入れた中で食べる鍋料理も良いですね。
 
西村)みっちゃんさんは、阪神・淡路大震災の経験から。確かに火を使うことができたら食事のバリエーションも増えますね。
 
坂本)あたたかいものはほっとしますよね。
 
西村)そうですね。カセットコンロは備えておくべきですが、ガスボンベはどれぐらい用意しておいたら良いのでしょう。
 
坂本)使い方や家族構成、メーカーの違いなどがあるので一概には言えないですが、1日1本を目安にすると備えやすいです。ガスボンベメーカーの「岩谷産業」のホームページに載っていたのですが、1本で連続強火で約1時間持つそうです。冬場だと火力がいるので、1週間分と考えたら9.1本、夏場だと6.3本ということです。ですので、一週間の備えとして、1日1本で7本が目安になると思います。
3本セットで売られていることが多いので、6~7本を目安にしたら良いと思います。

 
西村)スーパーで安いときに買っておくと良いですね。
 
坂本)ガスボンベは、7年ぐらい持ちますが、置きっぱなしにしていると、いつ買ったものかがわからなくなるので、しまい込まずに使うことが重要。「アイラップ」というポリ袋があるのですが、一緒に備蓄しておくとポリ袋クッキングもできて便利ですよ。
 
西村)100円均一でも耐熱で湯煎ができるポリ袋が売っていました。
 
坂本)最近は、クックパッドにもポリ袋クッキングのレシピがあります。
 
西村)日頃の時短料理にも活用できそう。災害時のチェックも兼ねて普段から使おうと思います。
こんなメールもいただきました。
 
ラジオネーム・たまねぎちゃん さん
「我が家には竈があり、ご飯はお釜で炊けます。プロパンガスなので、水があれば調理ができます」
 
ラジオネーム・焼肉定食 さん
「100均の小さいコンロと固形燃料とメスティンを準備しています。コロナ禍で始めた"なんちゃってキャンパー"ですが、キャンプ用品はいざとなると使えそう」

 
ソロキャンプが流行っていますが、キャンプ用品は災害時に役立ちそうですね。メスティンとはアルミ製の飯盒のことで、箱型になっているので、蒸し料理やラーメンなど麺類の料理もできます。
 
坂本)最近は、100円均一にも売っていますよね。
 
西村)素敵なアイデアありがとうございます。火を使うときは必ず換気を忘れずに。使い捨てのビニール手袋も便利だと思います。包丁を使わずに切ることもできて、感染症対策にも役立ちます。
 
坂本)ハンバーグを丸めるときとか普段も使えますね。
 
西村)続いては、災害時に何を食べたら良いのかという話題です。
 
堺市 ラジオネーム・レモンスカッシュ さん
「災害時の食事は火を使うことがない缶詰が最適。日ごろから自宅には、魚や鶏肉、フルーツの缶詰などを備蓄しています」

 
坂本)缶詰は、3年ぐらい持つものが多いです。
 
西村)缶詰のお話でもう一つ。
 
ラジオネーム・だるま夕日 さん
「某チェーン店の牛丼が好きなのですが、災害時はなじみがあって、好きなものを食べることが精神的にも良いと思い、缶詰の中にお米も具も入っている牛丼をストックしています」

 
ご飯もお肉も入っている牛丼の缶詰めがあるんですね!このような好きな味を備蓄の中に入れておくのは良いですね。
 
坂本)災害時は、メンタルも下がるし、食欲もなくなる。好きなものを置いておくというのは非常に大切なことです。
 
西村)確かにフルーツはビタミンも摂れるし、デザートが欲しいというときにも良いですね。
 
坂本)甘いものはほっとしますからね。
 
西村)ラジオネーム・いちごみるく さん
「ライフラインが止まったら、缶詰やパン・御飯、果物など温めなくても食べることができるもの、飴などがあれば安心。何より日持ちします」

 
坂本)飴は最強の非常防災用品。コミュニケーションの手段にもなります。「飴ちゃん食べへん?」って言うだけで、コミュニケーションができます。
 
西村)坂本さんは備えの中でおやつは用意していますか。
 
坂本)私は羊羹が大好きです。羊羹は、砂糖、小豆、寒天なのであまりアレルギーのことを考えなくても良い。パンとかは、卵、小麦のアレルギーがある場合が多いので。栄養バランスも大切ですが、メンタルのバランスを整えることは非常に重要だと思います。
 
西村)続いては、登山の経験から提案してくれました。
 
山口県 ラジオネーム・男前になりたい さん
「災害時の食事は、レトルトご飯がオススメです。僕は登山をしているのですが、レトルトご飯は、水かお湯を入れてしばらくしたら、ふっくらご飯が食べられます。種類も五目ご飯や松茸ご飯などが揃っていて、飽きないし何より美味しいです。値段は1袋500円ぐらいと少し高いのですが、僕は値打ちがあると思っています。災害時の食べ物だけでは栄養が偏りそうなので、栄養が補給できるジェルも良いと思います。」

 
ジェルとは何でしょう。
 
坂本)登山している人にはお馴染みの、いわゆるエナジーゼリードリンクです。
 
西村)パウチに入っていて、吸えるタイプのゼリー飲料ですね。種類も豊富ですよね。
 
坂本)プロテインとかマルチビタミン、ミネラルなど...
 
西村)バナナ味、リンゴ味とか子ども用のものもありますよね。
 
坂本)登山のときだけではなく、私は普段から車の中に常備しています。風邪ひいたときに食欲がなくても飲めますし。
 
西村)ちょっと小腹がすいたときにも良いですね。
 
ラジオネーム・人生今は最高 さん
「我が家では、レトルトカレーや缶詰に入ったパン、チョコレートなどを非常食として準備していて、1年に1回、家族で非常食を食べる日を決めています。実際に食べてみると口に合わないものも。逆に普通のパンよりも美味しい缶詰のパンがあることもわかりました。せっかく備えるなら、災害時に食べて、気持ちが明るくなれる食べ物を選びたいし、家族みんなが災害のことを考える機会になればと思い毎年続けています」

 
いろんな缶詰をみんなで食べることも大事ですね。
 
坂本)家族全員が同じものが好きとは限らないですしね。
 
西村)神戸市垂水区 ラジオネーム・寿 さん
「年に2回、1月17日と8月17日、寒いときと暑いときにどんな食事方法がベストかを家族で話し合いつつ、工夫を重ね、メモに残して、改善に繋げています。レトルトカレーは常温で5年間保存できるものがあり、そのまま食べられるので助かります。少しの水で戻したワカメや缶詰のコーン、海苔などを加えて、配給のパンをカレーにつけて食べたり。電気が通れば、パックご飯とカレーを食べます。甘味は蜜豆の缶詰がオススメです。寒天や豆の食物繊維はお通じも良くなりますし、優しい甘さが心を癒してくれます」

 
坂本)チューブに入っていて常温で食べられるカレーもありますよ。
  
西村)それは知らなかったです。少しの水で戻したワカメや缶詰のコーン、海苔などを加えて、パンをカレーにつけて食べるというアイデアも良いですね。
 
坂本)食物繊維やミネラルも摂れる。栄養バランスも考えられていますね。それをメモに残し、1月17日と8月17日と決めて、繰り返しているところが良いですね。
 
西村)寒いときと暑いとき両方。
 
坂本)1月17日は阪神・淡路大震災があった日ですが、防災とボランティアの日ということで、この日に備えを見直す人が多いです。
 
西村)坂本さんは見直しをしている日はありますか。
 
坂本)1月17日が防災とボランティアの日で、毎月17日が「おむすびの日」なんです。毎月17日は、阪神・淡路大震災があったことを思い出し、備えの見直しをするためにおむすびを食べる日にしています。続けることと、みんなで共通の意識を持っておくことが大切です。
 
西村)家族で話し合うというのも大切ですが、離れて暮らしている人もいると思うので、SNSなどで、おにぎりの話をするのも良いかもしれません。
 
西村)さて、最後にこちらのメッセージをご紹介しましょう。
 
堺市 ラジオネーム・ニコニコおやじ さん
「地震に備えて、水のペットボトルや乾パンなどは自宅に数カ所に分けて備蓄しています。もし地震でその備蓄場所に行けなくても、他の備蓄場所があるので安心です」

 
備蓄をいろんな場所に置いておくというのはいかがですか。
 
坂本)リスク分散ですね。すばらしいです。物が倒れて部屋に入れなくなることも十分考えられるし、水浸しになってしまうこともあるかもしれない。
 
西村)窓ガラスが割れて、歩くことができない状況などいろいろ考えられますね。玄関とリビングなど家の中のどこに分けておくのが良いのでしょうか。
 
坂本)備蓄を置ける広さの玄関なら良いですが、ワンルームマンションなら、玄関もリビングも距離が変わらないと思うので、一概には言えない。玄関に置くことによって、真っ暗な中、つまずいて怪我することも考えられます。
 
西村)みなさんの環境に合わせた最適な場所に置くことが大事ですね。車はどうですか。
 
坂本)車は良いと思います。夏場はすごく暑くなるので、溶けやすいものには注意。わたしは、車の中には、水とエナジードリンクやお菓子、ビタミン剤を必ず置いています。防災という観点もありますが、渋滞にはまったときや昼ご飯を食べる時間がないときに移動中に食べられるように用意しています。
 
西村)日頃の暮らしの中で、渋滞のときに食べたいものが非常時の食事としてもベストかもしれないですね。
 
坂本)車の中や家の中で分散して置けます。自分がよく行く実家や友達の家、職場などに分けて置いておくのも良いですよね。いざいうときに食べる秘密のお菓子ボックスとか。
 
西村)ちょっと高いチョコレートなど特別なお菓子を用意しておくのも良いですね。
 
坂本)忘れて照明期限切れたら泣きそう(笑)。
 
西村)そこ大事!だから1月17日と8月17日というふうに、チェックする日を決めておくことが大切です。
  
坂本)食べようと思うその気持ちが大切。チェックする日に、「食べたくないな」と思うものは、自分には合ってないものですから。
 
西村)食べたいと思うものを置いておくことがポイントですね。みなさん、たくさんのメッセージどうもありがとうございました。
きょうのゲストは、一般社団法人「プラスワン防災」代表の坂本真理さんでした。