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〒530-8304 MBSラジオ
「上野誠の万葉歌ごよみ」 |
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【2020年3月7日 放送分】 |
2020年3月7日 |
【巻】…3・405
【歌】…春日野に粟蒔けりせば 鹿(しし)待ちに継ぎて行かましを 社(やしろ)し留むる
【訳】…春日野に粟を蒔いていたならば鹿がやって来る。鹿を待つように、あなたを待ちたいのだが、お社があるから、そんなことは出来ませんね
【解】…春日野は、行楽地であると同時に神様を祀る神聖な地域でもあり、いくつかお社が建てられていました。今回の歌では、そういった前提をもとに、男女が恋の歌を交わしています。作者の佐伯宿禰赤麻呂は、ある女性に熱心な口説き歌を贈りました。それに応えた女性の歌が404番。要旨は、「もし、春日野に神様のお社がなかったら、春日野に粟をまいていたでしょうが、お社があるのでまけませんよ」。粟は「会う」にかけた言葉ですので、「あなたとは会えませんよ」と返事しているのです。つまり、赤麻呂はふられているのですね。それでも赤麻呂は引き下がらず、今回の405番の歌を贈りました。「春日野に粟をまいたならば、それを食べにイノシシやシカがやって来る。そのイノシシやシカを待ち伏せするように、あなたを待ってデートしたいが、お社があるから粟をまけないので、会えないのですね」これに対し、女性はまた次の歌でお断りしているのですが、本当に気がないのなら返歌しないとも考えられます。もしかすると、この一連のやりとりは、二人が恋の鞘当てを楽しんでいたのかもしれません。
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