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〒530-8304 MBSラジオ
「上野誠の万葉歌ごよみ」 |
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【2020年4月18日 放送分】 |
2020年4月18日 |
【巻】…4・677
【歌】…春日山朝ゐる雲の おほほしく知らぬ人にも恋ふるものかも
【訳】…春日山にたなびく雲のように、ぼんやりとまだ知らぬ人にも恋をしてしまう私かも
【解】…春日山の朝にたなびく雲は「おほほし」、つまりぼんやりして先が見えない状態だと表現しつつ、それが、作者の心模様と一緒だと歌っています。これは、大伴家持が付き合っていた女性の一人、中臣女郎(なかとみのいらつめ)が家持に贈った歌5首のうちの1首。彼女は、「どうも自分の中で恋をする気分が高まっていて、まだよく知らない人にも恋をするかも」と、恋心がどう動くか分からないと詠んでいるのです。文字面からすると、「私を放っておくと、他の人の元に行ってしまいますよ」と家持にチクリと言っているという解釈もあれば、出会ったばかりの家持に、「あなたのことを、もっと知りたい」と、恋心をほのめかしているのだという見方もあります。この時の中臣郎女と大伴家持の親密度がどれくらいだったか分かりませんが、この作品の前後の歌から推測すると、後者の解釈が正解だと言えそうです。
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