第1402回「関東大震災100年 "火災旋風"の脅威」
オンライン:東京理科大学 教授 桑名一徳さん

マグニチュード7.9の揺れが首都圏を襲った「関東大震災」は、発生からまもなく100年を迎えます。死者・行方不明者およそ10万5000人。その9割が火災による犠牲者で、被害を拡大させたのが「火災旋風」だと言われています。
「火災旋風」は炎が回転しながら燃え上がる現象で、「炎の竜巻」とも言われ、風速や地形などの影響で発生するとされています。関東大震災では、現在の東京・墨田区にあった陸軍被服廠跡の空き地に避難した4万人近くが「火災旋風」に巻き込まれるなどして亡くなりました。
 今後、首都直下地震や南海トラフ巨大地震でも、条件がそろえば「火災旋風」が発生する恐れがあります。2011年の東日本大震災でも、宮城県気仙沼市で火災旋風とみられる竜巻状の火柱が目撃されました。火災旋風のメカニズムとその対策について、東京理科大学の桑名一徳教授に話を聞きます。
 
西村愛のひとこと
今から100年前の関東大震災で発生した"火災旋風" 。炎の竜巻が次々に発生し、襲いかかってくる。あまりにも恐ろしくて言葉を失いました。今後の南海トラフ巨大地震でも、木造住宅の密集地で大規模な火災が起きれば、火災旋風が発生する可能性があるとのこと。桑名さんが教えてくださった対策。私たちにも出来ることがありますよ!

第1401回「災害時のトイレ対策」
オンライン:チーム・トイレの自由 代表 長谷川高士さん

1995年の阪神・淡路大震災では、断水によって水洗トイレが長期間にわたって使用できなくなり、避難所や公衆トイレは瞬く間に不衛生な状態になりました。その上、バキュームカーも不足し、"トイレパニック"という言葉が生まれました。2016年の熊本地震でも、避難所の屋内トイレが使えず、屋外に設けられた仮設トイレに行列ができるなどの問題が起こりました。
食事は数時間我慢できても、排泄はそうはいきません。また、トイレが不便なためトイレに行く回数を減らしたいと水分を制限すると、脱水や体力の低下などを引き起こし、災害関連死につながることも懸念されます。
災害時のトイレ対策について全国で講演活動などを行っている「チーム・トイレの自由」代表の長谷川高士さんは、水洗トイレが使えなくなることを前提に備えることが必要だと話します。「災害時の排泄物はゴミとして出す」という長谷川さんに、具体的にどうすればよいのかを聞きます。
 
※災害時のし尿ゴミの受け入れに関しては、各自治体の指示に従ってください。
  
西村愛のひとこと
長谷川さんに教えてもらった簡易トイレ。 我が家も子どもたちと実践してみました。 便器に二重にしたゴミ袋を被せ、その上におむつを広げて置くだけ!息子は見慣れないトイレの様子にびっくりし、袋を外して用を足そうとしていました。日頃から練習しておくことが大切ですね。しっかり水分を吸い取るので捨てるのも楽でしたよ!

第1400回「ノロノロ迷走台風への備え」
オンライン:三重大学 教授 立花義裕さん

九州・沖縄地方の広い範囲に大きな被害をもたらした台風6号。大型で非常に強く、ゆっくりと進んだこの台風は、いったん沖縄本島から西へ離れた後、進路を東よりに変え、Uターンして再び沖縄に接近。その後、九州・奄美地方を暴風域に巻き込みながら北上する特異なルートをたどりました。
なぜ、このようにノロノロと迷走する台風が発生したのでしょうか。異常気象を研究している三重大学の立花義裕教授は「今回の台風は異常だった」と指摘し、その主な要因は「偏西風の蛇行」と「海面温度の高さ」だと話します。地球温暖化によって、このような異常な台風は、今後もまたやってくる可能性があるそうです。
わたしたちは、このような異常な台風がもたらす災害や異常気象に、どう備えればよいのでしょうか。立花教授に詳しく聞きます。
 
西村愛のひとこと
私が子どもの頃に比べて、年々台風の被害が大きくなっているのは何故なんだろう?今回の台風6号はノロノロ迷走台風。大雨が長く続き、風の威力も増して被害が拡大しています。その原因は地球温暖化なんですね。さらに大きくなっていく台風被害を少しでも食い止められるよう、私たちが出来ることを実践していきませんか?

第1399回「都市型の洪水~『内水氾濫』のリスクと対策」
オンライン:秋田大学 准教授 渡邉一也さん

先月中旬に秋田県を襲った豪雨。秋田市では市全体の4分の1の住宅が浸水被害を受けました。被害が拡大した背景には、河川の氾濫に加え、降った雨が下水道などの排水施設で処理できずに地上にあふれる「内水氾濫」が起きていたことが指摘されています。
秋田市は低平地で勾配が少なく、もともと水がたまりやすい地形です。そこに長時間にわたり雨が降り続けました。市街地ではコンクリートやアスファルトなどの舗装が多く、雨水が排水できずにたまり続け、マンホールや水路からあふれ出したのです。
こうした低平地でアスファルトが水を吸い込まない環境で発生する内水氾濫は、全国どこでも起こりえる"都市型の洪水形態"です。特に地下鉄や地下街が発達しているターミナルでは、止水板などで地下に行く水を止める必要があり、余計に地上に水があふれがちです。京阪神の都市部は、内水氾濫の危険性が高いといえます。
内水氾濫について、自治体や私たちはどんな対策ができるのでしょうか。秋田市の被災現場を実際に調査した秋田大学の渡邉一也准教授(河川工学)に聞きます。
 
西村愛のひとこと
住民の方の声で『強い雨ではなかったから、まさかこんな事になるとは』。弱い雨でも降り続くと大きな被害につながりますね。内水氾濫は秋田市だけでなく、どこの都市でも起こり得るとのこと。お住まいの自治体のHPに"内水氾濫ハザードマップ"を公開されているかチェックして、備えをすすめていきましょう。