12月21日(日)
第1524回「阪神・淡路大震災31年【1】~1.17のつどい」
電話:「1.17のつどい」実行委員長 藤本真一さん
阪神・淡路大震災は番組の原点ということで、震災31年のシリーズを始めます。初回は「1.17のつどい」実行委員長の藤本真一さん(41)がゲストです。
地震が発生した1月17日に毎年、神戸の東遊園地で開かれる「1.17のつどい」では、大勢の人が灯籠に手を合わせて犠牲者を悼みます。行政ではなく、市民ボランティアの力で続いている行事で、藤本さんは2016年から実行委員長を務めます。2026年は1月17日が土曜日ということで、例年より多い約6万人の来場を想定しているそうです。
今回は約30人の学生で「1.17リーダーズ」というグループを結成し、つどいの企画・準備を進めています。彼らは能登半島地震の被災地である石川県輪島市町野町で8月に開催された「曽々木大祭」に、キリコ灯篭を担ぐボランティアとして参加したメンバーが中心で、今年9月1日の防災の日には、大阪・関西万博の会場でブースを設置して、来場者に竹灯籠のメッセージを書いてもらうなど、つどいの広報活動も行いました。
サークル活動のように楽しみながら、つどいの準備に取り組む若者たち。震災を知らない世代に何を語り、どのように引き継いでいくのか、藤本さんに話を聞きます。
1.17のつどい
https://117notsudoi.jp/
(番組内容は予告なく変更する場合があります)
12月14日(日)
第1523回「災害時のフレイル予防」
オンライン:東京大学 高齢社会総合研究機構 教授 飯島勝矢さん
災害後、避難所で生活を送る高齢者は筋力や体力が低下しやすくなります。健康な状態と要介護状態の中間のその段階を「フレイル」(=虚弱)といいます。「フレイル」を放置すると、介護が必要になったり、災害関連死につながることもあり、十分な注意が必要です。
高齢者のフレイル問題に詳しい東京大学高齢社会総合研究機構の飯島勝矢教授は、「フレイルは、本人の頑張りで元の健康な状態に戻ることも、予防することもできる」と話します。予防で大切なことは、「栄養・運動・社会参加」の3つです。どれかひとつを単体で行うよりも、『友達とおしゃべりしながら散歩をする』『みんなで美味しい食事をとる』など、総合的に行うのが効果的だそうです。
また、近年は「オーラルフレイル」(=口の機能低下)も問題視されています。食べこぼす、滑舌が悪くなったなど、些細な口の衰えが心身の機能低下につながることもあり、災害時でも口腔ケアが重要です。災害時のフレイル予防について飯島さんに詳しく教えてもらいます。
12月07日(日)
第1522回「片付けながら災害に備える"防災お片付け"」
オンライン:Nice Life代表・防災士・整理収納アドバイザー 熊田明美さん
年末大掃除の季節です。家を片付けながら同時に災害への備えもできるという「防災お片付け」について取り上げます。
防災お片付けとは、「災害の際に安全かどうか?」という視点で、掃除や整理整頓、備蓄品を見直す方法です。例えば、雑貨や小物はラックに入れるだけでなく、地震の揺れで飛び出さないよう蓋をします。机や壁に飾る写真や絵も、しっかりと固定することが必要です。せっかく用意した備蓄用の水も、棚の上部に収納すると倒れた時に破損する可能性があるので、取り出しやすいよう手の届く下の方に収納します。
また、寝室に背の高い家具は置かず、物はドアを塞がない場所に配置します。キッチンも、出しっぱなしの調味料をできるだけ中にしまえば、ケガのリスクを減らすだけでなく、普段の生活を快適に整えることにもつながります。
そんな防災お片付けの実践方法について、防災士で整理収納アドバイザーの資格を持つNice Life代表・熊田明美さんに教えてもらいます。
11月30日(日)
第1521回「避難時の感染症対策」
オンライン:白鷗大学 教育学部 教授 岡田晴恵さん
インフルエンザの感染者が急増しています。空気が乾燥し、気温がぐっと低くなるこの時期は、十分な注意と対策が必要です。もし今、大きな地震が発生したら、多くの人が集まる避難所ではどのような感染症対策が必要なのでしょうか。
感染症に詳しい白鷗大学の岡田晴恵教授は、「冬の避難所でインフルエンザやコロナなどの感染症が広がると流行は避けられない。平時からワクチン接種を含めた対策が必要」と警鐘を鳴らします。避難所に求められる感染症対策はいくつかありますが、大事なのは、1時間に数回、複数の方角の窓を開ける「十分な換気」だと言います。
また、災害時には「破傷風」にも注意が必要です。破傷風は世界中の土壌にいる破傷風菌の感染によって起こり、重症化した場合の致死率は10~20%とされています。
平時の日本での感染者数は年間100人程度ですが、傷や火傷の傷口などから菌が体内に侵入するため、災害時には特に注意が必要です。実際、東日本大震災の被災地では10例の感染が報告されています。番組では、岡田教授に避難時の感染症対策について詳しく聞きます。
↓エンディングでご紹介した音楽会の詳細はコチラ↓
「加藤貴光折り鶴平和音楽会in夙川」
12月20日(土)16時~ 西宮市立夙川公民館
阪神・淡路大震災で亡くなった加藤貴光さん(神戸大学2年生、広島出身)を追悼する音楽会が、震災30年の今年、亡くなった場所である夙川で初めて開催されます。
チケット申し込みはこちら
http://hiroshima-fukushima.com/news_detail.html?id=6633168c131e450387
11月23日(日)
第1520回「防災目線で考える空き家対策」
オンライン:明治大学 教授 野澤千絵さん
現在、空き家は全国で約900万戸あり、住宅総数の13.8%を占めていますが、その災害リスクは深刻です。空き家は地震で倒壊して近隣の住宅を損壊したり、火災の出火元になったりして、二次被害を引き起こす可能性があります。また、壁が崩れて道路をふさぎ、避難や緊急輸送の妨げになったり、津波や水害で流されて漂流物となる危険性もあります。
さらに災害発生後も、所有者と連絡が取れないために解体できず、復興の妨げになるなど、さまざまなリスクが指摘されています。ただ、所有者が不明だったり、複数の親せきを跨いで大人数が所有者になっていたりして、対策が進まないのが現実です。政府は管理不全の空き家に対し固定資産税を増額するなど、対策を試みていますが、その数は増える一方です。
災害時の二次被害を減らすために、どんな空き家対策が考えられるのでしょうか。住宅問題や都市開発に詳しい明治大学の野澤千絵教授に聞きます。
11月16日(日)
第1519回「震災を語り継ぐ~遺族と小学生の対話」
取材報告:亘 佐和子プロデューサー
米津勝之さん(65歳)は、30年前の阪神・淡路大震災で長男の漢之(くにゆき)君(当時7歳)と長女の深理(みり)ちゃん(5歳)を亡くしました。漢之君は芦屋市立精道小学校の1年生でした。精道小学校では児童8人が亡くなっていて、今も震災を語り継ぐ教育に力を入れています。
先月、米津さんが精道小の5年生と6年生に震災の授業をしました。子どもたちと対話しながら話を進めます。「30年前の1月17日に起こったことについて何を知っていますか」「震災という言葉から何を思い浮かべますか」という問いから始まって、漢之君と深理ちゃんの思い出のエピソードを語り、語り継ぐとはどういうことなのか、少しずつ深い思考に入っていきます。死者の数ではなく、亡くなったひとりひとりを思うことの大切さなど、命について考える内容です。
子どもたちからは、「なぜ語り継ぎの活動をしているのか」「漢之君と深理ちゃんが1日だけ帰ってくるなら何をしたいか」など、たくさんの質問が投げかけられました。米津さんと子どもたちの対話のようすを番組プロデューサーがリポートし、震災を語り継ぐことの意味を考えます。
11月09日(日)
第1518回「視覚障がい者の避難」
電話:石川県珠洲市在住の大口史途歩さん
視覚に障がいがある人は、地震や津波からの避難に際し、どんな困難に遭遇するのでしょうか。
石川県珠洲市に住む大口史途歩(おおくち・しずほ)さん(52歳)は、視野が狭くなる「網膜色素変性症」のため、明暗が少しわかる程度で、人や物はほとんど見えません。昨年の能登半島地震では、母校である近所の小学校に避難しました。小学校の教室は隅々までマットレスが敷き詰められ、廊下にも荷物や道具がびっしり。白杖が使えず、壁伝いに歩こうにも誰かの体を踏んでしまう可能性があり、大口さんは移動さえ出来ませんでした。
何より困ったのはトイレです。トイレに入る場合、レバーや便座の位置を手で触って確認するのですが、避難所のトイレは大勢の人が使うために衛生状況が悪く、何度も他人の便に触れて大腸炎になってしまいました。普段はひとりでできることも家族や周囲の助けがなくてはできない状況で、大口さんは「迷惑をかけたくない」と考え、次第に食事や飲み物を我慢するようになったといいます。
視覚障がい者の避難生活には、どんなサポートや配慮が必要なのでしょうか。大口さんの体験から考えます。
11月02日(日)
第1517回「夜の避難訓練」
オンライン:京都大学防災研究所 教授 矢守克也さん
地震はいつ発生するかわかりません。 夜の時間帯に起きたら、昼間と違う状況の中、どのように身を守ればよいのでしょうか。
夜間の場合、真っ暗で周囲が見えず、就寝中であれば、とっさに身を守る態勢も取れません。寝起きでの行動は、注意力や判断力が鈍り、避難が遅れる要因にもつながります。
停電になると、室内でガラスなどが散乱していても気づきにくく、防災リュックを探すのも一苦労。また、屋外に出れば、普段歩いている道であっても、暗闇の中で小さな石につまずいたり、側溝に落ちたりする危険性も高まります。
こうした状況を想定して、夜の場合は両手が空くようにヘッドライトを装着し、高齢者を誘導しながら避難することが望まれます。
夜間の避難訓練を実施している自治体は多くはありませんが、高知県四万十町などで夜間訓練を支援している京都大学防災研究所の矢守克也教授によると、「昼間は参加できないが夜なら参加できる」という住民もいて、夜間に行うメリットもあるそうです。矢守教授に、夜の避難訓練の意義と課題について聞きます。
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「加藤貴光折り鶴平和音楽会in夙川」
12月20日(土)16時~ 西宮市立夙川公民館
阪神・淡路大震災で亡くなった加藤貴光さん(神戸大学2年生、広島出身)を追悼する音楽会が、震災30年の今年、亡くなった場所である夙川で初めて開催されます。
チケット申し込みはこちら
http://hiroshima-fukushima.com/news_detail.html?id=6633168c131e450387
10月26日(日)
第1516回「台風や豪雨時の車避難の注意点」
オンライン:アウトドア防災ガイド あんどうりすさん
台風や豪雨の時には、「濡れない」「荷物を積める」などの理由から、車での避難を選択する人も多くいます。特に、高齢者や小さな子どもがいる場合は、車避難を余儀なくされる場合もあるかもしれません。しかし、道路が冠水している状態での車避難には多くの危険が伴います。
農村部では道路が冠水すると、田畑や用水路と道路の区別がつかなくなり、路外に落ちると、車ごと水没してしまうこともあります。また、都市部では内水氾濫によってマンホールの蓋が外れてそこに脱輪したり、縁石に乗り上げてパンクしてしまったりするリスクもあるそうです。
ドアのあたりまで浸水してしまうと、水圧でドアが開かず、車に閉じ込められる危険があり、これまでの台風・豪雨災害では、車での避難時に亡くなる「車中死」も問題になっています。番組では、アウトドア防災ガイドで車の防災に詳しいあんどうりすさんに、車で避難するときの注意点についてお話を聞きます。
10月19日(日)
第1515回「台風や豪雨時、浸水から車を守る」
オンライン:アウトドア防災ガイド あんどうりすさん
9月中旬、記録的な大雨に見舞われた三重県四日市市。近鉄四日市駅前の地下駐車場には大量の水が流れ込み、地下1階と地下2階に駐車していた274台が浸水しました。この駐車場では、管理者が防水扉の故障を把握しながら、修繕などの対策を講じていなかったことが明らかになっています。
しかし近年は、1時間あたりの降水量が80ミリ以上という猛烈な雨の頻度が増え、排水ができずに地上にあふれる内水氾濫も頻発しています。防水扉があれば必ずしも安心というわけではなさそうです。
雨天時、地下駐車場に駐車しなければならない場合、どのように対策すればいいのでしょうか。アウトドア防災ガイドで車の防災に詳しい あんどうりすさんは、ハザードマップで駐車場が浸水エリアかどうかを確認し、リスクがあれば車を移動させることが必要だと指摘します。そのタイミングや注意点など、台風や豪雨から大切な車を守るための備えをあんどうさんに詳しく聞きます。
西村愛のひとこと
『台風の時には車も避難するのが当たり前』
最近の雨は急速に状況が悪くなるので、早めの避難が大切。"警戒レベル3"だと、まだ間に合う可能性が高いとのことです。地上に駐車していたとしても、ハザードマップを確認。駐車している場所が浸水エリアではないかチェックして、車の避難計画を立てましょう!