第1508回「台風・豪雨から命を守る避難行動」
ゲスト:MBSお天気部 気象予報士 前田智宏さん

9月1日は、「防災の日」です。1923年9月1日に発生した「関東大震災」や、1959年9月に襲来した「伊勢湾台風」をきっかけに制定され、毎年、この日を中心に防災訓練や自然災害への啓発活動が行われています。
毎年9月1日頃は、暦の上では、二百十日(立春の日から数えて210日目)にあたり、古くから台風が襲来しやすい時期とされています。MBSお天気部の気象予報士・前田智宏さんは、「猛暑の影響で日本近海の海水温が高い今、台風が近づくと勢力を落とさずに接近・上陸の恐れがある」と、警鐘を鳴らします。
今月は、各地で「線状降水帯」も発生し、川が氾濫したり、土砂災害も起こっています。「線状降水帯」は半日前から都道府県ごとに発生予測情報が出されるようになりましたが、夜中から早朝にかけて発生することが多く、避難行動が遅れがちです。番組では、前田さんに台風や線状降水帯による豪雨への備え、そして、命を守る避難行動について聞きます。


  
(番組内容は予告なく変更する場合があります)

第1507回「紀伊半島豪雨の教訓を絵本で伝える」
ゲスト:和歌山大学客員教授 後誠介さん

2011年9月、台風12号の影響で大きな被害が出た「紀伊半島豪雨」。和歌山県内では土砂災害が多発し、三重・奈良・和歌山の3県で88人の死者・行方不明者が出ました。雨が降り続くと、土砂が川底に溜まったり、流木が橋に引っかかったりして、川の水は行き場を失い"あっという間"に氾濫してしまいます。
この水害の教訓を子どもたちに伝える絵本「川がパンクしちゃった!もりのがっこうとどうぶつたち」(はる書房)が今年6月に出版されました。絵本では、動物たちが通う森の学校の近くの川が大雨でパンク(氾濫)してしまいます。動物たちの住む集落は浸水被害に遭いましたが、励まし合いながら復興に向かうという物語です。
絵本を企画したのは、地質学を専門としている和歌山大学の後誠介客員教授です。きっかけは、幼稚園で開催した減災学習会でした。真剣に聞いてくれる子どもたちの姿を見たときに、子どもたちの"感性に訴える防災教育"が必要だと感じたそうです。番組では、絵本「川がパンクしちゃった!もりのがっこうとどうぶつたち」の全編朗読と、後さんがこの絵本に込めた思いを聞きます。
   
↓エンディングでご紹介したイベントの詳細はコチラ↓
8月27日(水)~ 31日(日)
大阪・関西万博 能登半島地震 被災地のイベント「石川の日」

https://expo2025-ishikawa.jp/
  
西村愛のひとこと
この夏も各地で豪雨の被害が出ています。水害のことを知らないまま、親と離れた場所で子どもが被災したら‥。親は子どもが心配で、無理をしてでも迎えに行き、危険な状況に遭うかもしれません。この絵本は、かわいい動物たちが、豪雨災害について学術的に伝えるだけでなく、助け合いの心も教えてくれます。大人や外国人の方にも、わかりやすく伝えることができますね!

第1506回「天気予報が消えた日~気象学者の遺言」(再放送)
取材報告:亘佐和子プロデューサー

今年6月に亡くなった気象学者の増田善信さん(101歳)のインタビューを、追悼と反戦の思いをこめて再放送します。
天気予報や気象に関する情報が軍事機密だった時代がありました。元気象庁気象研究所・研究室長の増田善信さんは、当時のことをよく覚えています。1941年12月8日、日本軍の真珠湾攻撃で太平洋戦争が始まった日、増田さんは京都府宮津市の観測所に勤務していました。中央気象台の無線を聞いて天気図を書こうとしたら、いつもとは全く異なる数字の暗号が流れてきました。戦況を有利に運ぶため、この日から気象情報は暗号化され、市民には秘匿されたのです。
天候が変わりやすく海が荒れる冬、地元の漁師にも天気予報を伝えることができませんでした。一方で、増田さんは、特攻出撃する兵士に天気図の説明をして送り出すという辛い仕事もしました。
戦争中、気象情報が伝えられなかったために失われた命がありました。1942年8月の周防灘台風では、台風の位置や進路に関する情報が市民に伝えられず、死者・行方不明者が1100人を超えました。情報が隠され、命が軽んじられた時代でした。「天気予報は平和のシンボル。天気予報がなくなるような時代を再びつくってはならない」という増田さんのメッセージを、あらためて伝えます。

↓エンディングでご紹介したイベントの詳細はコチラ↓
ハッピーラッシュ♪♪♪vol.33~ 祝!20周年。コラボで能登へつなぐ歌
https://t.livepocket.jp/event?pvtoken=h7IPff6ZQ72IenLtdyIOtlKkYaShrCFzU6999T4Zj2bdj4OTIpb4CnBTprOQye5Y&agent=pc&type=normal&previewtime=2025-04-25%2005%3A07%3A00
 
西村愛のひとこと
毎日、あたりまえのように聞いている"天気予報"命を守るために使われる情報ですが、戦争中は命を奪うためにも使われることがあったんですね。守れたはずの命が守れなかった歴史を、再び繰り返すことがないように。
"天気予報は、平和のシンボル"
増田さんが遺してくださった言葉、想いを、これからも大切に伝えていきたいです。

第1505回「旅行や帰省先での災害に備える」
オンライン:東北大学 災害科学国際研究所 准教授 佐藤翔輔さん

7月30日、ロシア・カムチャツカ半島付近で発生した地震で、北海道から和歌山県の広い範囲に津波警報が出された際は、大勢の観光客が避難する事態となりました。
旅行先や帰省先での災害に備えることをテーマに、東北大学災害科学国際研究所の佐藤翔輔准教授に聞きます。
佐藤さんは、昨年1月1日に発生した能登半島地震について、帰省や旅行中に地震・津波に巻き込まれた人たちに対する調査を行いました。地震発生時に石川・富山・新潟の3県を訪れていた人のうち約1割が、建物の倒壊など甚大な被害に遭い、津波の被害を受けた人もいました。
普段いる場所ではない所で災害が起きると、どんなことに困るのでしょうか。佐藤さんの調査では、「そのときいた建物の安全性が分からなかった」「避難場所が分からなかった」「情報を集めるのに苦労した」という声が多く寄せられました。避難場所をあらかじめ調べていなかった人も多かったということです。
実は、佐藤さん自身も、能登半島地震の際、新潟県の実家に帰省中でした。旅行や帰省のシーズンを前にどんな備えが必要なのか、迎え入れる側の家族や親族はどうすればよいのか、改めて考えます。
  
西村愛のひとこと
実家に帰省したり、旅行に行く時は、移動中のスキマ時間などに、現地のハザードマップを確認し避難について決めておくなど準備が必要。災害が起こった後に調べるとインターネットがつながらないこともあります。受け入れる側も住まいの耐震や備蓄の確保、全員が身を守るスペースの確認をしておく事が大切です。防災について家族で語り合うキッカケにするのもいいですね。

第1504回「和歌山県などに津波警報~そのとき、白浜の旅館では」
電話:紀州・白浜 温泉旅館「むさし」女将 沼田弘美さん

7月30日午前8時25分ごろ、ロシア・カムチャツカ半島付近を震源とするマグニチュード8.7(推定)の地震があり、北海道から和歌山県の太平洋沿岸部に津波警報が発表されました。岩手県の久慈港では1.3mの最大津波を観測、近畿でも和歌山県の白浜町で40cmの津波が観測され、全国で200万人超に避難指示が出されました。
白浜町では海水浴場や海に近い観光地が立ち入り禁止となり、JRやバスなど公共交通機関がストップ、スーパー・コンビニエンスストアなども閉店しました。温泉旅館「むさし」では、宿泊客でない人も受け入れ、館内に滞在してもらいました。海外からの観光客も多く、スマートフォンの翻訳アプリなどを駆使して、状況を説明し対応しました。南海トラフ地震を想定して普段から避難者の受け入れについて考えてきましたが、新たな気づきや課題もあったということです。女将の沼田弘美さんに、当時の状況と観光客への対応について聞きます。
   
西村愛のひとこと
自分が地震を体感していないのに、津波から避難をしないといけない。それが、もし、海外の旅行先で起こったら、言葉もわからず、より混乱してしまいそうです。沼田さんが教えてくださった和歌山県の防災アプリは避難先の検索や津波のシミュレーションもできます。旅行先に到着する前に確認しておくと安心ですね。まわりに外国人の方がいたときも冷静に避難の案内ができるように備えておきたいと思います。

第1503回「夏休みに取り組みたい 『ジュニア防災検定』」
オンライン:防災アナウンサー 奥村奈津美さん

夏休みに子どもと大人が一緒に防災について学べる「ジュニア防災検定」を紹介します。
「ジュニア防災検定」は、「防災教育推進協会」が実施する小学生以上の子どもを対象にした検定です。自然災害の特徴や災害への備えなど知識を問う筆記試験に加えて、「防災自由研究」が課されるのがユニークなポイントです。地域の災害リスクを調べたり、登下校ルートの安全性を確認したり、子ども自身がテーマを決めて研究します。多くの子どもが取り組む「家族防災会議レポート」では、家族で避難場所や連絡方法について話し合い、備蓄の確認も行います。こうした取り組みを通じて、保護者の防災意識も高まるそうです。
問題を暗記するだけでなく、テーマを決めて自主的に調べることで、いざというときの判断力や行動力を養うことにもつながります。防災アナウンサーの奥村奈津美さんをゲストに、「ジュニア防災検定」を通して親子で防災を学ぶ意味について聞きます。
   
防災アナウンサー 奥村奈津美さん 公式ホームページ
https://natsumiokumura.com/

西村愛のひとこと
子どもたちの視点、面白いですね。非常用トイレ使いやすさNO.1選手権、大好きな歴史をテーマに"熊本城の防災力"について発表するなど、様々なアイデアに感心しました。夏休みだからこそ、じっくり時間をかけて研究ができるし、家族みんなで防災に取り組むキッカケにもなりますね!

第1502回「ゼッタイに楽しめない茶道体験」
ゲスト:大阪市港区まちづくりセンター 防災アドバイザー 多田裕亮さん

「大阪・関西万博」の開幕からおよそ3か月。連日、多くの外国人が大阪を訪れています。もし、万博開催中に大きな地震が起こったら、地震や津波の怖さを知らない外国人観光客をスムーズに避難誘導できるのでしょうか。
「ゼッタイに楽しめない茶道体験」は、外国人に日本の伝統文化"茶道"と、突然起こる"地震"を同時に体感してもらおうという新しい試みです。参加者は、畳を敷いた起震車でお茶とお菓子を楽しんだ後、そのまま震度7の揺れを体験することになります。
これは大阪市港区が公民連携で取り組む「おもてなし防災」プロジェクトの一環です。「おもてなし防災」では、英語版の避難誘導ポスターや災害啓発ポスターをつくり、SNSで防災情報を発信するなど、外国人観光客に防災意識を持ってもらい、さらに「外国人の避難誘導ができる市民」を増やすことを目指しています。番組では、このプロジェクトに取り組む大阪市港区まちづくりセンターの防災アドバイザー、多田裕亮さんに外国人に向けた防災対策について話を聞きます。
 
おもてなし防災(OMOTENASHI BOSAI)
https://omotenashi-bosai.jp/
 
西村愛のひとこと
『今回体験してみて、地震のイメージが変わった』
体感したからこそ、わかることがある。ご家族やお友達などに、『日本で地震体験をしたよ』と話すことで、周りの方にも地震から身を守ることを考えるキッカケになりますね!私たちも、災害時に外国人のみなさんを避難誘導できるように、防災力をアップしていきましょう!

第1501回「トカラ列島群発地震」
オンライン:京都大学防災研究所 教授 西村卓也さん

鹿児島県のトカラ列島近海で地震が続いています。先月21日以降、今月11日正午までに観測した震度1以上の地震は1800回以上。今月3日には最大震度6弱の揺れを観測しました。この地域ではおととしや2021年にも活発な地震活動がありましたが、今回の地震の回数は過去のケースを大きく上回っています。悪石島や小宝島から多くの住民たちが鹿児島市などに避難しました。
 トカラ列島はもともと火山でできた島々。陸側のユーラシアプレートの下にフィリピン海プレートが沈み込んでいる地域です。また、近海には2本の活断層があります。京都大学防災研究所の西村卓也教授は、地下のマグマの動きが活断層を刺激したことが群発地震の原因ではないかとみています。
気象庁は、「震源が浅く、観測点に近いと震度が大きくなる」として、当面、最大震度6弱程度の地震に注意するよう呼びかけています。群発地震の原因と今後の見通しについて、西村教授に話を聞きます。

西村愛のひとこと
今回のトカラ列島の地震は、過去の群発地震と比べて、最大級の地震。マグマの活動が地震の原因の一つとして考えられるそうです。どうなると、群発地震がおさまるのでしょうか?
⇨「マグマが冷え固まってマグマの移動がおさまると地震を起こすことはなくなる」とのこと!住民の皆さんが島に帰れる日が早く来ますように。

第1500回「番組1500回~災害時に頼れるラジオとなるために~」
ゲスト:元番組プロデューサー 毎日放送報道情報局 大牟田智佐子さん

1995年の阪神・淡路大震災をきっかけにスタートしたMBSラジオ「ネットワーク1・17」は、今回が1500回目の放送です。災害報道と防災に特化した番組が30年にわたって続いているのは、全国的にみても例のないことです。番組が始まったのは、1995年4月15日、阪神・淡路大震災が起きた3か月後です。当初は、スタッフやパーソナリティーの全員が被災者で、「被災者による被災者のための番組」としてスタートしました。
1998年から12年間、番組のプロデューサーだった毎日放送報道情報局の大牟田智佐子さん(兵庫県立大学大学院 減災復興政策研究科 客員研究員)は、著書「大災害とラジオ」で、被災者に寄り添った災害時の放送を"共感放送"と名付けました。テレビと違って映像がないラジオは、トーク(対話形式)で番組が進行します。パーソナリティーとスタッフ、リスナーとの距離が近く、あたたかいコミュニティが築かれます。大牟田さんは、「"共感"にもとづき、災害時に被災者に直接語りかけることのできるラジオの意義は大きい」と話します。
今年は日本でラジオ放送が開始されて100年の節目です。これから先も、災害時に頼りになるラジオでありたい。1500回目の放送では、大災害とラジオに関する研究を続けてきた大牟田さんに、災害時のラジオの役割と可能性について聞きます。
  
西村愛のひとこと
番組が始まった頃は、夕暮れ時の生放送。被災した方は、夕焼けを見ながらどんなお気持ちで番組を聞いてくださったんだろうと想像していました。被災した方々からは、『いつもの声をきくことができてほっとした』という声が。これからも、"災害時にもほっとできる、頼りになる番組"を目指して、番組を創っていきます!

第1499回「大雨への備え~ハザードマップの見方」
オンライン:備え・防災アドバイザー ソナエルワークス代表 高荷智也さん

本格的な大雨シーズンを迎えたので、今回はハザードマップの見方について、備え・防災アドバイザーで「ソナエルワークス」代表の高荷智也さんに聞きます。
どんなマップを見ればいいのかというときに、高荷さんが薦めるのは、国土交通省の「重ねるハザードマップ」です。日本全国の情報を網羅しているので、自宅だけでなく、職場や学校がある自治体など、複数の市町村にわたる情報を検索できます。さらに、「洪水」と「土砂災害」、「土砂災害」と「津波」など、複数の災害情報を重ねて表示することも可能です。
まずチェックすべきなのは、自分の住んでいる地域が土砂災害や洪水の被害を受ける可能性があるかどうかです。高潮や河川の氾濫で浸水するとしても、どれくらいの深さまで浸水するのかを確認し、自宅の「床の高さ」と比べて、避難の必要があるかを判断します。
大切なのは、災害時に自宅から離れる"立ち退き避難"が必要なのか、自宅にとどまるべきかをまず確認することです。 高荷さんにハザードマップを見るポイントについて教えてもらいます。
   
西村愛のひとこと
自治体のハザードマップは避難所の情報が載っています。紙のハザードマップは、災害時に停電している時でもすぐ確認ができますね。国土交通省の「重ねるハザードマップ」は、スマホやパソコンで日本全国の災害リスクを確認できます。高荷さんは出張で現地に着いたら必ず"重ねるハザードマップ"を確認しているそうです。それぞれの利点がありますね。うまく活用して備えましょう!