第1457回「神戸から能登へ 祭りの支援」
取材報告:西村愛キャスター

能登半島では、巨大な灯篭「キリコ」が町を練り歩く「キリコ祭り」が、夏から秋にかけて各地で行われます。しかし、元日の地震・津波でキリコが破損したり、住民がまだ避難先から戻って来ることができなかったりして、今年の開催を断念した地区が多くあります。
 しかし、能登半島の先端に近く、地震直後は一時孤立するなど被害の大きかった輪島市町野町の曽々木地区は、例年と違った形で祭りを開催することを決めました。神戸から通ってくる学生ボランティアが、「キリコ祭りを手伝いたい」と言ったのがきっかけでした。
8月17日、NPO法人「阪神淡路大震災1.17希望の灯り(HANDS)」の呼びかけで集まった50人のボランティアが、神戸から大型バスで曽々木にやって来ました。番組キャスターの西村愛さんも、ボランティアの若者たちに混じってキリコを担ぎました。
倒壊した家々を照らしながら、巨大なキリコが進みます。祭りに参加するために避難先から戻ってきた住民が、互いの無事を喜び合う光景も見られました。「今年、祭りができるとは思わなかった。阪神・淡路大震災を経験した神戸から能登へ来てくれたことが、大きなエールになった」と、自治会長の刀祢聡さんは話します。祭りに関わる住民たちの思いや、復旧がなかなか進まない町の現状を、西村キャスターがリポートします。

(番組内容は予告なく変更する場合があります)

第1456回「能登半島地震から考える"災害時のトイレ対策"」
オンライン:NPO法人 日本トイレ研究所 代表理事 加藤篤さん

元日に発生した能登半島地震では、断水や停電などによって水洗トイレが使えなくなり、深刻なトイレ不足が起こりました。NPO法人「日本トイレ研究所」の調査によると、仮設トイレの設置日がわかっている能登の10か所の避難所のうち、3日以内に仮設トイレが届いたのは、わずか1か所で、2週間以上かかった所も1か所ありました。
能登半島地震の場合は、被災地が半島で道路が寸断されたことなどにより、仮設トイレの搬入が特に遅れたとみられていますが、過去の災害をみても、仮設トイレの設置にはある程度の時間がかかります。一方で、排せつは我慢することができません。同研究所の被災者アンケートによると、発災の6時間以内におよそ7割の人がトイレに行きたくなったと答えています。場合によっては、水や食事よりも先に"トイレの備え"が必要になるかもしれません。
地震だけでなく、台風などの風水害でも水洗トイレが使えなくなる場合があります。私たちはどのように備えればよいのでしょうか。番組では、日本トイレ研究所の代表理事・加藤篤さんに災害時のトイレ対策について詳しく聞きます。
  
日本トイレ研究所
https://www.toilet.or.jp/news/20240110
  
西村愛のひとこと
避難所のトイレ環境が悪化すると‥
①集団感染のリスクが高まる
②水分を控えエコノミークラス症候群を発症し、災害関連死につながることがある
③集団生活の秩序が乱れる
個人の家の備えも大切!家族4人・1週間であればおよそ140回分の携帯トイレの備蓄が必要。トイレットペーパーや、ランタン型の明かりも忘れないように準備しましょう!

第1455回「ノロノロと迷走した台風10号の特徴と被害」
ゲスト:MBSお天気部 気象予報士 前田智宏さん

台風10号が日本列島を縦断し、九州や四国を中心に広い範囲で暴風雨の被害が出ました。愛知県蒲郡市で住宅が土砂崩れに巻き込まれ3人が死亡するなど、9月1日現在で死者は7人にのぼっています。突風で建物が倒壊したり、ガラスが割れたりして、ケガをした人も129人となっています。
この台風は、スピードが非常に遅く、迷走しました。偏西風が日本列島の北方にあるため、それに乗ることができず、東西を高気圧で挟まれる形になっていたためです。進路を予測しにくい厄介な台風で、交通機関にも大きな影響が出て、多くの人が予定の変更を余儀なくされました。私たちは、天気予報やキキクル(危険度分布)を小まめにチェックし、最新の情報を入手して、備える必要があります。
なぜ台風10号は迷走し、大きな被害をもたらしたのでしょうか。私たちはどんな情報に注意し、どんなタイミングで避難の判断をすべきなのでしょうか。MBSお天気部の気象予報士・前田智宏さんに解説してもらいます。

西村愛のひとこと
台風10号は、台風から離れている場所でも大雨が降り、大きな被害につながりました。油断はできませんね。災害が起こる前に"ハザードマップ"を使って自分のいる場所が、土砂災害警戒区域や浸水想定区域に入っていないか調べておく。ラジオ・テレビ、"キキクル"も使って、リアルタイムの情報をうまく活用しましょう。

第1454回「台風シーズン到来 風水害への備え」
オンライン:静岡大学 防災総合センター 教授 牛山素行さん

今年も台風のシーズンがやってきます。台風は事前に予測ができる自然災害です。ハザードマップやキキクル(危険度分布)などで自分のいる場所が安全かどうかを調べ、避難が必要になりそうなら、避難場所や経路を事前に確認して下さい。ラジオやテレビなどで最新の台風情報を得ることも備えのひとつです。
風水害に詳しい静岡大学防災総合センターの牛山素行教授によると、近年の水害では、人や車が浸水した道路で流されるなど、外を移動している途中に被災する事例が多くなっているそうです。
水の勢いは思っている以上に強く、人や車は簡単に流されてしまいます。「緩い下り坂」は分かりづらく特に危険です。浸水した道路や、流れる川・水には決して近寄らず、離れた場所への避難が必要な場合には、雨や風が強くなる前に行動して下さい。番組では、命を守るための風水害への備えや、避難方法について牛山教授に詳しく聞きます。
 
【エンディングでご紹介した公演情報】
9月8日(日)天満天神繁盛亭
天満の銀座~42丁目~銀瓶・菊地まどか ふたり会 

https://www.hanjotei.jp/wp/wp-content/uploads/2024/09/20240718140958705_0001.jpg
  
西村愛のひとこと
◉ 台風の中心位置ばかりにとらわれずに!
台風から離れている場所でも、大雨に注意。 『キキクル』を活用しよう!
◉土砂災害警戒区域や浸水想定区域にいる場合 『これは危ないかも』と思ったら、 "雨風が強まる前に"早めに避難しましょう!
◉人でも車でも簡単に流されてしまう。 流れる水や浸水している場所には、決して立ち入らない。緩い下り坂にも注意!!

第1453回「夏休み!子ども防災シリーズ【3】
       自由研究にもおすすめの体験型防災学習施設」
取材報告:西村愛キャスター
     子どもリポーター 桃佳さん(小学6年生)

南海トラフ巨大地震などの大災害に備えるための知識や技術を、「体験」を通じて学ぶことができる施設が大阪市阿倍野区にあります。施設の愛称は「あべのタスカル」(大阪市立阿倍野防災センター)。この愛称には、災害発生時に「助かる」人となり、大切な人を「助ける」人になってほしいという願いが込められています。
「あべのタスカル」には、13の防災体験エリアがあります。映像で災害の恐ろしさを体感するシアターや、リアルに再現されたがれきの街を歩きながら余震を体験するエリアなどがあり、ツアー形式で担当者の説明を聞きながら学習できます。入館料は無料で、子どもはもちろん、大人も楽しみながら防災を学べると、連日、多くの人が訪れています。
番組では、西村愛キャスターと、子どもリポーターの桃佳さん(小学6年生)が、夏休みの自由研究にもおすすめの防災施設「あべのタスカル」をたっぷりとリポートします。
 
あべのタスカル 
https://www.abeno-bosai-c.city.osaka.jp/tasukaru/
  
西村愛のひとこと
"経験に勝るものはなし!"この言葉を実感しました。 リアルに再現された"がれきの町"や震度7の揺れの恐ろしさ。体感したからこそ、わかることがありますね。"ハンカチは手を拭くだけじゃなく、火災から命を守るものなんだよと友達に伝えたい"子どもリポーターの桃佳ちゃんの感想は、我が子にも伝えなきゃ。大人だけでも体験できますよ!

第1452回「南海トラフ地震臨時情報 『巨大地震注意』とは?」
ゲスト:京都大学防災研究所 教授 西村卓也さん

8日夕方、宮崎県の日向灘を震源とするマグニチュード7.1、最大震度6弱の地震がありました。気象庁は初の「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を発表し、今後1週間は巨大地震に注意するように呼びかけました。
南海トラフ地震は、M8~9クラスの地震が30年以内に70~80%の確率で発生する可能性があるとされています。
その南海トラフ地震に関して発表されるのが臨時情報です。想定震源域周辺でM6.8以上の地震が発生するなどした場合に、気象庁が専門家による評価検討会を開き、「巨大地震警戒」「巨大地震注意」「調査終了」の判断を発表します。今回は「巨大地震注意」で、巨大地震発生の可能性が普段よりも高まっているが、事前の避難などは不要で、家具の固定や避難経路の確認など地震への備えを再確認してほしいということです。
この情報を私たちはどう受け止めればよいのでしょうか。今回の地震は南海トラフ地震とどの程度関連付けて考えるべきなのでしょうか。京都大学防災研究所の西村卓也教授に聞きます。

西村愛のひとこと
巨大地震が発生する確率が上がったと聞くと、怖いなと思いますが、西村さんは「通常の生活を続けてよいです。あまり過敏になりすぎないように。ただし、家具の固定など、備えな注意レベルを少し上げることが大切。」と話します。このお盆休みは親戚宅に行くので、お互いの備えを確認するよい機会にしたいと思います。

第1451回「夏休み!子ども防災シリーズ【2】
       ~小学5年生の「防災士」に聞く
ゲスト:小学生防災士 稲月あかりさん
    祖母 藤井節子さん

小学5年生で「防災士」の資格をもつ香川県高松市の稲月あかりさん(10歳)に話を聞きます。あかりさんは3年前、父親の仕事の関係で香川県から千葉県へ引っ越した際、頻繁に地震に遭遇し、防災に関する授業が多いことにも驚いたそうです。しかし、去年の夏に香川県へ戻ると、災害が少ないせいか、防災意識が低いことに不安を覚えました。それで、防災士の試験を受けようと思い立ったと言います。
防災士の教科書は400ページもあります。習っていない漢字は部首や文脈で推理しながら読み解くなど、勉強はたいへんだったと振り返ります。それでも、週末に猛勉強を重ね、小4で試験に合格しました。
努力の裏には、幼い頃から見てきた防災士の祖母・藤井節子さんの姿がありました。東日本大震災をきっかけに、ボランティアのバスツアーの支援などを続け、現在も地域で防災講座を開いている藤井さん。「子どもが話すと、家族で防災について会話するきっかけになる」と、あかりさんの活動に期待を寄せます。あかりさんと藤井さんに、子ども防災士の活動と可能性について聞きます。
 
西村愛のひとこと
あかりさんは『大きな地震が起こったときに、自分だけでなく周りの人が傷ついた顔を見たくない。私が防災士の勉強をして周りの人に伝えることで、防災意識を高めてもらいたかった』と語ります。大切な想いですね。あかりさんの話を聞いたことをきっかけに子ども防災士が増えて、ご家族、ご近所に防災の輪が広がる未来を感じました。

第1450回「夏休み!子ども防災シリーズ【1】
       ~読書感想文にもおすすめの『防災絵本』」
オンライン:防災絵本専門士 古賀涼子さん

大きな災害を経験していない子どもたちに、その脅威や教訓をどのように伝えていけばよいのでしょうか。番組では以前、災害の伝承や防災への取り組み方などを"創作絵本"にして子どもたちへ伝えるという「人と防災未来センター」のプロジェクトを紹介しました。
地震や台風などの自然災害が多い日本では、実はこれまでも防災に関する絵本がたくさん出版されています。大手出版社が出版したもの、被災地の印刷所や自治体が発行したもの、自費出版など、100冊を超える防災絵本があるそうです。しかし、楽しい物語やワクワクする内容ではないためか、読み継がれている作品が少なく、絶版になってしまったものもあります。
今回は、「防災絵本」をコレクション・研究している防災絵本専門士の古賀涼子さんに、夏休みの読書感想文にもおすすめの防災絵本と、その魅力について教えてもらいます。
 
西村愛のひとこと
「防災絵本」ときくと、難しい内容だったり、悲しいお話だったりするのかな?と思いましたが、そうではなく、いろんな視点で防災を伝えていてびっくりしました。 発電機のでんちゃんのお話や、うにの生態も知ることができる防災絵本も!!私も、おススメして頂いた防災絵本を読んで読書感想文を書いてみようかな!

第1449回「能登半島地震と原発」
取材報告:亘佐和子プロデューサー

元日の地震で大きな被害を受けた能登半島には、北陸電力志賀原発があります。1号機、2号機ともに運転停止中でしたが、震度5強相当の揺れで変圧器の配管が破損し、核燃料の冷却に必要な外部電源5回線のうち2回線が使えなくなりました。
志賀原発の半径30キロ圏内には約15万人が暮らしていて、放射能漏れなど重大事故が発生した場合は圏外に避難する計画があります。しかし、今回の地震では、避難路11路線のうち7路線が崩落や亀裂で通行不能になりました。孤立した集落も多く、放射線モニタリングポスト18カ所でデータが欠測するなど、避難計画にはさまざまな問題があることがわかりました。
能登半島には志賀原発以外にも、かつて珠洲市の2か所で原発の計画がありました。住民の反対運動で電力会社が建設を断念しましたが、予定地だった高屋地区は今回の震源のすぐそばで、海岸の地盤が約2メートル隆起しました。ここに原発があったらどうなっていたでしょうか。
珠洲市の原発建設予定地だった場所と志賀原発をまわるツアーに、番組プロデューサーが参加しました。ツアーの案内役は長きにわたり原発の問題に取り組んできた元珠洲市議の北野進さん。現地の被災状況に加え、今回の地震で明らかになった避難計画や安全性の問題点について、プロデューサーが報告します。
  
西村愛のひとこと
地殻変動のパワーのすさまじさに、びっくりしました。数十秒の揺れで、4mも隆起するとは! 志賀原発の敷地内も被害があり、避難計画にある避難ルートは、崖崩れで通行できなかったり、孤立した所も。大きな揺れや津波で家が損壊すると、屋内退避もできません。 新たに考え直すべきことがたくさんありますね。

第1448回「防災気象情報をシンプルに!」
ゲスト:京都大学防災研究所 教授 矢守克也さん

河川の氾濫や土砂災害などへの警戒を呼び掛ける「防災気象情報」が見直されることになりました。これまでの「防災気象情報」は名称が複雑で、警戒レベルに統一性がなく"危険がわかりづらい"という声が出ていたためです。
「防災気象情報」は現在、洪水や土砂災害など住民の避難に関わるものだけでも20近くあります。2013年に"特別警報"、2019年には"5段階の警戒レベル"が導入されるなど、大きな災害をきっかけに情報が新設され、乱立気味になっていました。
今回の見直しで、分かりやすい情報提供ができるようになるのでしょうか。番組では、気象庁と国土交通省の有識者検討会の座長を務めた京都大学防災研究所教授の矢守克也さんに、「防災気象情報」がどう変わるのか、また、情報が出た場合に私たちはどんな避難行動をとるべきなのか聞きます。

西村愛のひとこと
子どもから高齢の方、外国人の方にもわかりやすく伝えられるようにするのは、かなり難しい!! 表現や名称が変わっても避難行動は同じです。ハザードマップをチェックして、我が家の場所や家族構成なら、避難レベルいくつの時にどんな行動をしたらいいのか。"わたしの避難スイッチ"を確認しておきましょう!