第1185回「水害に備えて~それぞれの"避難スイッチ"」
ゲスト:京都大学防災研究所 特定准教授、気象予報士 竹之内健介さん

昨年7月の西日本豪雨で甚大な被害を受けた岡山県倉敷市真備町では、亡くなった方の多くが自宅の1階で見つかりました。避難行動に移らないまま浸水が始まり、逃げ遅れたものと考えられます。
台風や豪雨のように、雨が降り出してから災害発生までに一定の時間がある場合、「いつ逃げるのか」という判断が難しくなります。市町村が出す避難勧告や避難指示は目安になりますが、情報が届く前に災害が発生してしまうこともあります。西日本豪雨では逃げ遅れて犠牲になった人がいた一方、消防団が独自判断で避難の呼びかけを行い、間一髪で人々の命が救われた地域もありました。京都大学防災研究所気象・水象災害研究部門の竹之内健介特定准教授は、「何をタイミングに行動を始めるのか。ふだんから、避難開始の判断基準となる"避難スイッチ"を考えておくことが重要」と話します。
 竹之内健介特定准教授をゲストに迎え、過去の水害の事例をあげながら、"避難スイッチ"について考えます。

千葉猛のひとこと
今日のお話での「素振り」という言葉が強く印象に残りました。何事も日ごろからイメージし練習しておかないとうまくいきません。これを機会に自分の住んでいる地域の「避難スイッチ」は何か、ご近所のみなさんと考えてみませんか。私の住んでいる地域では何だろうと、放送が終わってから私も考えています。

第1184回「人はなぜ逃げないのか? その災害心理」
電話:防災科学技術研究所 研究員 島崎 敢さん

先月末から今月初めにかけて、九州南部では記録的な豪雨となり、最大190万人に避難勧告・避難指示が出されました。しかし、実際に避難所に行った人は1%もいませんでした。去年の西日本豪雨でも、避難行動をとらずに自宅の1階で亡くなった人が大勢いました。命の危険が迫るほどの災害を前に、避難に踏み切れないのはなぜでしょうか?
人間にとって、「行動しないと死んでしまうかもしれない」と考えるのは、とても大きなストレスです。そのため、ストレスを緩和しようと、「自分の思い過ごしで、きっと大丈夫」という「正常性バイアス」がはたらきます。さらに、誰かが逃げなければ自分も逃げないという「同調心理」もあり、率先して避難する人がいない場合は逃げるという行動をとらないのです。
災害時の避難では、"空振り"も当然起こります。それでも、命を守るために避難は大切です。ひとりでも多く避難を促すために、どういう情報伝達や訓練が必要なのでしょうか?防災科学技術研究所の研究員で災害心理学が専門の島崎敢さんに電話で聞きます。
 
西村愛のひとこと

命の危険が迫っている時でも、特に日本人は周囲に合わせようと自然とまわりの人の行動を見ている。だからこそ"率先避難者"になる事の大切さを実感しました。ある小学校では焼きそば大会に避難訓練をプラスして参加者が10倍に!というお話も。あなたならどんな避難訓練に参加したいですか?

第1183回「西日本豪雨1年~神戸、岡山の被災地はいま」
電話:真備町・箭田地区まちづくり推進協議会事務局長 守屋美雪さん

死者220人を超える被害となった西日本豪雨から1年が経ちます。昨年7月6日夜に土砂崩れが発生した神戸市灘区篠原台の住宅地では、一部の住宅に土砂が流れ込みました。自宅1階に土砂が流れ込み、全壊判定を受けた70代男性は、息子の家や市営住宅で避難生活をおくっていましたが、昨年末に修繕工事が終わり自宅に戻りました。付近では砂防ダムの建設が今月2日からはじまり3年後を目途に完成予定ですが、「完成までの間は大雨が降るたびに気になる」と不安を口にします。
 大規模な浸水被害で、高齢者を中心に51人が亡くなった岡山県倉敷市真備町では、住民の多くが仮設住宅などで避難生活を続けています。箭田地区まちづくり推進協議会事務局長の守屋美雪さんは、「住民の中には、まだ自宅を再建するかどうか決めかねている人や、帰りたいけど怖くて帰れないという人もいる」と話します。
復興半ばで再び大雨の季節となりました。各地で被害が出る中、1年経った被災地は今、どのような状況なのでしょうか。番組前半では神戸市灘区篠原台について報告し、後半では、真備町の守屋美雪さんに電話をつないでお話を聞きます。

千葉猛のひとこと
西日本豪雨の発生から1年たちましたが、正直、被災地の復興は進んでいないなあと感じました。多くの方がまだ仮設住宅で生活されていて、まだまだボランティアの力も必要とされています。被災された方の心のケアも心配です。そして今年も雨の季節がやって来ました。命を守るために心構えと備えが必要です。

第1182回「リスナーのみなさんの『防災小説』を一挙紹介」

地震が起こったら自分はどう行動するかを想像して綴る800字の「防災小説」を、リスナーのみなさんから募集したところ、たくさんの作品が寄せられました。今回は、6月の火曜日の朝8時40分、小雨が降る中、震度6強を観測する地震が発生したという想定で、書いていただきました。
防災小説は地震学者の大木聖子さん(慶応義塾大学環境情報学部准教授)のアイデアで、災害を他人事ではなく「自分ごと」として想像してもらうのが狙いです。
津波が来ると予想して近所のお年寄りを助け出して逃げる話、電車の中で激しい揺れに襲われ車内が大混乱する話、断水と停電の状況で寝たきりの母親の介護をどうするか悩む話など、作品はバラエティに富んでいて、どの文章も自分と周囲の状況を真剣に考えて書かれたことがよくわかります。そして、文章を書くことで新たな気づきがあり、災害への備えを見直したというリスナーが多かったのも印象的でした。番組では、キャスターが選んだ作品を紹介しながら、地震への備えをあらためて考えます。
 
西村愛のひとこと
それぞれの防災小説を朗読していると、新たな気づきが沢山ありました。災害を他人事ではなく、自分の事として考えて書いてくださったからこそなんだと思います。千葉アナウンサーと私も書いてみました。改めて備えていこうと実感しています。お忙しい中、参加してくださったみなさまありがとうございました!

第1181回「大阪北部地震1年~なくならないブルーシート」
取材報告:新川和賀子ディレクター

今月18日で大阪北部地震から1年が経ちました。5万7千棟の住宅が被害を受け、その内99%が「一部損壊」でした。被害は軽微だったと感じるかもしれません。しかし、1年経った今も被災地には、補修が終わらず屋根にブルーシートがかけられた住宅が残っています。修理が進まない要因はなんでしょうか。
ひとつは、屋根瓦を補修する業者不足です。近年、瓦の需要が減り、職人が少なくなっています。また、去年9月の台風21号で大阪ではさらに被災家屋が増え、ますます業者不足となりました。もうひとつの要因は、経済面です。「一部損壊」は、国の支援金の対象外で、自治体の独自支援も最大20万円に過ぎません。屋根瓦の補修や壁の張り替えなど、工事費用は数百万円かかるケースも多く、住宅の補修をあきらめる人が少なくありません。
専門家らは、「支援の対象枠を広げてはどうか」「一部損壊の定義を見直すべき」といった声をあげています。大阪北部地震から1年後の同日に起きた山形県沖を震源とする地震でも、多くの住宅が屋根瓦に被害を受けていて、被災者の再建を後押しする施策は喫緊の課題です。大阪府高槻市を取材した番組ディレクターが、被災者の声から見えてきた現状と課題を報告します。
 
千葉猛のひとこと
「こういう状態がいつまでも続くと暗い生活になってしまうんでね」という被災者の言葉が耳に残りました。修理が進んでいない住宅の調査は、行政としてすぐに始めるのは難しいのかもしれませんが、せめて家の修理に踏み切れない高齢者のいまの様子を見に行き、お話を聞くことは早急に始めてほしいです。

第1180回「大阪北部地震1年~ブロック塀は改善されたのか」
取材報告:千葉猛キャスター

昨年6月18日に発生した大阪北部地震では、高槻市で小学校のブロック塀が倒壊し、登校中の9歳の女の子が犠牲になりました。この学校のブロック塀は高さ3.5メートルで、建築基準法が定める「高さ2.2メートル以下」という基準をはるかに超え、塀を支える「控え壁」もありませんでした。この事故を受けて、高槻市は全ての小中学校と公共施設のブロック塀を撤去することを決めました。
民間のブロック塀はどうでしょうか。ブロック塀の耐震基準は、1978年の宮城県沖地震など、犠牲者が出るたびに見直されてきましたが、新たな基準に合わないからといって、撤去や改修が義務付けられているわけではありません。そのため、現在の耐震基準を満たしていないブロック塀は非常に多く存在します。
大阪北部地震の後、避難路沿道の一定規模以上のブロック塀については、所有者が耐震診断を行うことが義務付けられました。診断や撤去の費用を補助する自治体も増えています。大阪北部地震から1年で、ブロック塀対策は進んだのか、千葉猛キャスターが報告します。

西村愛のひとこと
私達にできることは何か。それを考えて実践することが、まわりの人たちの未来にもつながることを実感しました。今回のリポートでは国土交通省が出しているコンクリートブロック塀のチェックポイントのご紹介もありました。専門家に相談する事も一つの方法。自治体の補助制度があるかの確認も忘れずに!

第1179回「地震を起こす大阪湾の海底活断層」
ゲスト:神戸大学教授 海洋底探査センター・センター長 巽 好幸さん

最大震度6弱を観測した大阪北部地震は、どの断層が動いて大きな揺れになったか断定できず、未知の断層の可能性も指摘されています。大阪湾は今も沈降を続けていて、それに伴う未知の活断層が数多く存在します。大阪湾の底を走る「大阪湾断層帯」は、神戸市沿岸から大阪湾南部まで約40キロ延び、マグニチュード7.5程度の地震を引き起こす可能性が想定されていますが、それ以外の海底活断層の調査は進んでいません。
神戸大学は来年、大阪湾の海底活断層の大規模調査に乗り出します。「反射法地震探査」という方法で、船舶から圧縮空気を海底に撃ち込み、人工的に地震波を発生させて、その跳ね返り方のちがいで地下の構造を調べます。
同大学海洋底探査センター長の巽好幸教授は、一般の人に関心を持ってもらうため、クラウドファンディングでこの調査の資金を募っています。空気圧縮機やボンベのレンタル代など目標額は200万円です。大阪湾の海底活断層とその調査について、巽教授に聞きます。

クラウドファンディングサイト「academist(アカデミスト)」
地震を起こす海底活断層を、大阪湾全域で探査する!
https://academist-cf.com/projects/111?lang=ja

千葉猛のひとこと
陸にあるものは海の底にもあります。大阪湾の活断層が動けば大地震も津波も起きる可能性があるんです。いつ動いて地震が起きるかわからないのですから、活断層の場所を知るための調査は大切です。巽さんのクラウドファンディングにご興味のある方は、ぜひリンクしているホームページをご覧くださいね。

第1178回「土砂災害のリスクを知り、命を守る」
電話:京都大学 教授 小杉 賢一朗さん

6月は梅雨入りの季節、そして土砂災害防止月間です。昨年7月の西日本豪雨では、最も被害が大きかった広島県で土砂災害による死者が87人にのぼりました。
土砂災害は近年、増加傾向にあります。昨年、全国で発生した土砂災害は3,459件で、1982年の集計開始以降、過去最多を記録しました。増加の要因として考えられるのは、雨の降り方の変化です。短時間に局地的に降る猛烈な雨や、降りはじめからの総雨量が1,000ミリを超えるような記録的大雨が各地で降り、土砂災害をもたらしています。山林と住宅地が隣接する地域では砂防ダムの整備が進められていますが、追い付いていないのが現状です。
番組では、各地の土砂災害現場を視察し斜面崩壊の研究をすすめる京都大学の小杉賢一朗教授に電話をつなぎ、近年の土砂災害の傾向や適切な避難のために必要なことを聞きます。

西村愛のひとこと
近年、増加傾向にある土砂災害。小杉さんは『土砂災害は、非常に個別性の強い災害』だと話します。住んでいる場所が土砂災害に対して弱い場所かをチェックする。もし避難するなら、どの道を通ると安全か。避難するタイミングも含めて、『もしもの時を考える』想像力が大切だなと思いました。

第1177回「寺を避難所に」
ゲスト:大阪大学大学院教授 稲場 圭信さん

今週は、寺や神社など宗教施設の避難所活用について考えます。寺社は昔から高台など比較的安全な場所にあり、板張りの体育館などとちがって「広い畳敷き」で、高齢者や障害者が生活する際の負担も少なくなります。また、法事など大勢が集まることを想定しているため、座布団・急須も数多くあり、炊事場も設置されていて、避難所としての機能を兼ね備えています。
東日本大震災をきっかけに活用するケースが増え、2014年の調査では、303自治体が2401の宗教施設と協力体制を構築。関西でも、災害時に1200人を受け入れる協定を自治体と結び、毛布・寝袋・米・簡易トイレなどの備蓄を進めている寺もあります。
南海トラフ巨大地震の避難者数は最大950万人と予測され、「避難所不足」が深刻化する可能性が懸念されています。
公共施設の数には限りがあり、新たに認定できる施設は少ないのが現状です。コンビニエンスストアより多いといわれる寺院を、避難所としてどう活用すればいいのでしょうか。宗教施設の防災活用について研究を続ける大阪大学の稲場圭信教授に話を聞きます。
 
千葉猛のひとこと
お寺や神社、教会といった宗教関連施設は、コンビニの数よりもずっと多いことにまずびっくりしました。これだけ多くの場所が避難所になれば本当に心強いです。改めて宗教関連施設の災害発生時の動きは重要だと思いました。阪神淡路大震災発生時の神戸長田のカトリック鷹取教会の活動を思い出します。

第1176回「災害インバスケット」
ゲスト:インバスケット研究所 社長 鳥原隆志さん

「インバスケット」は、未決裁の書類が入った「未処理箱」の意味で、制限された時間内に、主人公の立場になりきり、客からのクレームや部下からの相談など職場で起こるさまざまな案件を処理していくビジネスシミュレーションゲームです。この教材の開発・提供をてがける会社「インバスケット研究所」(堺市)が、防災研究者の指導のもと、南海トラフ地震発生時のメーカー企業を舞台にした「災害インバスケット」をリリースしました。
大津波警報が出る中、「従業員が行方不明」「近くの工場の火災が延焼中」「家族を探しに家に戻りたいという従業員を帰してよいか」など、被災した工場の責任者や部下から次々と送られてくるメールを、30分間でどう処理していくか、管理職としての判断力と危機管理能力が問われます。
南海トラフ地震に備え、企業のBCP(事業継続計画)が今、大きな課題になっています。被害を最小限にとどめ、事業を継続または早期に復旧させることが重要です。「災害インバスケット」は何を目指すのか、災害時に必要とされる能力は何か、インバスケット研究所の鳥原隆志社長に聞きます。

インバスケット研究所
https://www.inbasket.co.jp/

西村愛のひとこと
災害時は予想もしないことが次々と起きてしまいます。誰もが慌ててしまう中で、冷静に決断するのはたいへん難しいことだと実感しました。鳥原さんは『災害はいつ起きるかわからない。日ごろから、情報網の整備が大切』と話します。企業や家庭、町内会、さまざまな立場で考え、日ごろから訓練していきたいですね。

☆★防災小説 募集★☆
番組では、みなさんからの「防災小説」を募集します
 
<防災小説を書く上での約束事>
*自分を主人公にする
*地震が発生したときに自分がどう行動するか、何を感じるか、周りはどんな状況になるかなどを約800字(原稿用紙2枚程度)にまとめる
*必ず希望を持った終わり方にする
 
<今回の防災小説の想定>
*2019年6月の火曜日 あさ8時40分に発生
*あなたのいる場所で震度6強を観測
あなたは、その時、どこにいてどんな行動をとるでしょうか
 
<応募先>
封書:〒530-8304 MBSラジオ「ネットワーク1・17」防災小説 係
Eメール: 117@mbs1179.com
 
<〆切>
2019年6月14日(金)必着
  

いくつかの作品を、番組の中でご紹介します
番組で選ばれた方には、キャスターが選んだ素敵なものをプレゼントします
たくさんのご応募お待ちしています