第1193回「台風21号から1年~高潮のリスク」
ゲスト:大阪大学大学院工学研究科 教授 青木伸一さん

全国で大雨や台風の被害が続いています。わたしたちの住む近畿地方では、昨年の9月4日に上陸した台風21号で甚大な被害を受けました。特に市民レベルでの警戒意識が低かったのが「高潮」です。大阪港や神戸港では第二室戸台風を超える過去最高の潮位を記録し、コンテナが海に流出するなど、経済活動にも大きな影響が出ました。
高潮対策の必要性が叫ばれる中、兵庫県が発表した「想定し得る最大規模の高潮による高潮浸水想定区域図」に注目が集まっています。500年~4千年に一度クラスの台風が潮位の最も高いタイミングで上陸し、堤防等が破壊されるなど、最悪のケースが想定され、尼崎市では市域の4分の3が浸水するとされています。
高潮リスクとはどんなものなのか?今後、必要な対策はなにか?海岸工学が専門の大阪大学大学院工学研究科・青木伸一教授をゲストに迎え、お話を聞きます。
 
千葉猛のひとこと
新しい「高潮浸水想定」命を守るためには起こりうる最悪のケースに備える心構えが大切です。台風は地震や津波のように突然襲ってくるものではなく、数日前から予想できます。あらかじめ備えておく「事前防災」が重要だと感じました。何をどう備えるか、普段から「その時」を想像し考えておきましょう。

第1192回「台風21号から1年 大阪市内に吹いた暴風の猛威」
ゲスト:京都大学防災研究所 准教授 竹見哲也さん

去年9月、近畿地方を直撃した台風21号の上陸から1年が経ちました。特に大きな被害をもたらしたのが「暴風」です。気象庁の観測では、大阪市内で秒速47.4mの風が吹いたということですが、京都大学防災研究所の研究チームが、気流解析ソフトで風の様子を三次元で再現した結果、実際には秒速60~70mの暴風が吹いた可能性があることが判明しました。これは、木造住宅が倒壊、鉄骨の建物が変形するレベルです。
暴風が吹き荒れた大きな要因は「建物の高さの違い」です。高い建物が並んでいるところでは、風は乱れません。しかし、高い建物の周りに中層の建物があると、高さの違いが気流を乱れさせ、上空の強い風がビルの間を通って猛烈な突風となるのです。
どんな場所に暴風リスクがあり、私たちはどんなことに気を付けるべきなのでしょうか。去年の台風21号の暴風に関する研究調査を行った京都大学防災研究所の竹見哲也准教授に話を聞きます。

西村愛のひとこと
昨年の台風21号の風のようすを三次元で再現した実験の結果、秒速60m〜70m未満の風が吹いたとのこと。秒速60mを時速に直したら時速216km!新幹線が走り抜けるほどの速さ!!台風のコースで暴風か豪雨か、その後の被害も予想できるというお話も。過去の台風を学び、今後の対策に活かしていきます!

第1191回「防災の日~家の防災対策を見直そう」
ゲスト:「大阪北区ジシン本」の企画・編集・制作に携わった技術士 小島和彦さん

9月1日は防災の日。関東大震災が発生した日であるとともに台風の被害を受けやすい時期でもあることから、広く災害についての認識を深めて備えを進め、被害を軽減するために制定されました。
 今回の番組では、大地震に備えて自宅の防災対策を考えます。阪神・淡路大震災では、死者の約8割が家屋の倒壊や家具の転倒などによる窒息死・圧死でした。昨年の大阪北部地震でも本棚の下敷きになって1人が亡くなりました。家具を固定しておくことは、命を守ることにつながります。大阪市北区役所が発行する災害対策ガイドブック「大阪北区ジシン本」の制作に携わった小島和彦さん(技術士)をゲストに迎え、家具固定のポイントや具体的な方法についてお話を聞きます。

大阪北区ジシン本

https://www.city.osaka.lg.jp/kita/page/0000424351.html
 
千葉猛のひとこと
今日のお話を聞いて「家具の固定」を改めて点検しなければなあと思いました。うちはだいぶ以前に固定してはあるのですが、長らく状態を確認していませんでした。大きな家具を固定するには「点」ではなく「面」で止めるのがミソ。有効な防災グッズもあります。西村さんの防災袋も大変参考になりました。

第1190回「台風を知ろう」
電話:横浜国立大学 准教授 筆保弘徳さん

台風10号がお盆休みに西日本を縦断し、大きな爪痕を残しました。毎年 何度も日本列島を襲う台風。そもそも、台風はどのように生まれ、どうやって進路が決まるのでしょうか。知らないことがたくさんあります。
台風の発生場所である北西太平洋は、海面の水温が高く、そのため台風が生まれると言われます。しかし実際には、"渦を巻くための風"がトリガー(引き金)として大きな役割を担っています。
風と風が正面でぶつかって渦を巻くケース、風が交差してこすれるように渦を巻くケースなど、台風は生まれ方によって5つのパターンが存在します。そのパターンにより、台風の強さや速度・寿命など特性が異なるので、生まれつきの特性を把握できれば、いち早く適切に警戒することが可能です。
去年、近畿地方に甚大な被害をもたらした台風21号は、なぜ勢力が強かったのでしょうか。被害はなぜ拡大したのでしょうか。地形などから地域ごとの風の危険度を分析した台風ハザードマップ「台風ソラグラム」を開発した、横浜国立大学准教授の筆保弘徳さんに話を聞きます。
 
 
筆保弘徳さんの開発したプログラム
 
●台風ソラグラム(台風ハザードマップ)
台風がどのコースをたどったら、自分の地域に強風が吹くかがわかる。
https://tenki.mopita.com/sp/typhoon/typhoonNomogram/
※スマートフォンのみ
 
●cmap(シーマップ)
台風接近時にリアルタイムで被害を予測。
https://cmap.dev/#6/38.247/138.032
 
 
西村愛のひとこと
台風の生まれ方、初めて知りました。お母さんが海、お父さんは風。どちらから吹いてきた風か?など、その風によって生まれてきた台風の子は特性が5 パターンあり、その後の進路によっても変わる。人間の子どもみたい!大人の自由研究感覚で勉強して、今後の防災に役立てたいなと思います。

第1189回「夏休み!子ども防災士が出演」
ゲスト:小学6年生の防災士 出水眞輝くん
    防災士 出水季治さん

9歳で防災士試験に合格した小学6年生の出水眞輝くんと、父親でこちらも防災士の出水季治さんを招いて、「子どもの視点で考える防災」をテーマに放送します。
防災士として多くの人の前で発表する父親の姿に憧れ、半年間、毎日2時間の勉強を続けて、3度目の挑戦で防災士試験に合格した眞輝くん。避難先で子どもがストレスをためないよう、非常持ち出し袋に折り紙や将棋・トランプを入れるなど、子どもとしての発想を取り入れた防災を提唱しています。
眞輝くんはさらに、大阪市の区長に防災・減災の取り組みをインタビューして、「防災白書」を作成しています。これまでに8人の区長に取材し、「東住吉区は商店街のガラスのショーケースが割れたら避難経路がふさがれる」「旭区は細い道が多く、避難する人の車で渋滞が起こる可能性が高い」など、災害に対して弱い部分を分析し、発表・提案を続けています。
幼稚園児のころから、「人の命を救う仕事に就きたい」と考え、その第一歩が防災士だと語る眞輝くん。父親の季治さんは、「地域にいちばん長くいるのは子どもであり、彼らが地域防災の主役だ」と言います。子どもの目から地域の災害への備えはどう見えるのか、話を聞きます。
 
千葉猛のひとこと
放送前の打ち合わせではとっても可愛らしい少年だなあという印象だった眞樹くんですが、放送に入ると堂々たる的確な話しぶりと受け答えに感服しました、さすが9歳で防災士資格を取得した専門家です。避難袋の中に将棋を入れて、高齢者と子供をつなぐために使うという視点にはハッとさせられました。

第1188回「ゲリラ豪雨と都市水害」
電話:京都大学 教授 戸田圭一さん

近年、気候変動やヒートアイランド現象の影響で都市部を中心に局地的に非常に激しい雨が降ります。短時間に降る集中豪雨は、時に、小さな都市河川の氾濫や、下水で処理しきれずに逃げ場を失った水が道路にあふれる内水氾濫を引き起こします。氾濫水は道路を川のように流れ、さらに地下空間にまで流れ込こむことがあります。
1999年6月29日に起きた福岡水害では、短時間豪雨により福岡市内を流れる御笠川が溢れ、地盤の低いJR博多駅の地下街が甚大な浸水被害に遭いました。また、ビルの地階にある店舗で逃げ遅れた従業員が水死するという痛ましい事故も起きました。
都市部では発達した道路網やアンダーパス、地下空間などで予期せぬ水害が発生します。限られた面積で起きるため、被害をもたらすまでの時間もあっという間です。都市水害に詳しい京都大学の戸田圭一教授は、「氾濫が起きないようなハード対策が基本だが、都市水害の危険箇所を知っておくことも必要」と話します。番組では、戸田教授と電話をつなぎ、都市水害の危険性と対策について聞きます。
 
西村愛のひとこと
突然の豪雨。地下街では安心してしまいがち。こんなにも恐ろしいことになるのかとびっくりしました。大雨が降ってパニックになることもありますが、立ち止まってその先を考えるのも大切。避難の必要がない場所なら車で迎えに行く方が危ないかもしれません。用水路や側溝の蓋、日頃のチェックも必要ですね。

第1187回「気になるテーマ~熱中症と異常震域」
ゲスト:MBS気象情報部 吉村真希さん(気象予報士)
電話:京都大学防災研究所・地震予知研究センター 教授 橋本学さん

今とても気になる2つのテーマを取り上げます。まずは、熱中症です。梅雨明けから急に暑くなり、熱中症で病院に搬送される人が急増しています。大阪の「ひらかたパーク」では、着ぐるみを着てショーの練習をしていた28歳の男性が死亡しました。熱中症にならないために、どんなことに気をつければいいのか、MBS気象情報部の気象予報士・吉村真希さんに聞きます。
番組後半では、先月28日未明に起きた三重県沖を震源とする地震について取り上げます。震源の深さは約420キロ、地震の規模はM6.5と推定されています。震源が非常に深い「深発地震」と呼ばれるものです。震源地から遠く離れた宮城県丸森町で震度4、関東の広い範囲でも震度3を観測しましたが、震源に近い三重県内では体に感じる地震は観測されませんでした。「異常震域」という現象が起こったとみられます。なぜ震源から離れた場所で大きく揺れたのか?南海トラフ地震と関連はないのか?京都大学防災研究所長・橋本学さんに聞きます。

千葉猛のひとこと
熱中症は命にかかわります。人間だけでなく昨年、我が家の犬が熱中症になり死にかけました。どうぞペットにも気を付けてあげてくださいね。また「異常震域」で起きた地震は、珍しいものではない「正常」なものだったということがわかりホッとしています。私たちの地球ではいろんなことが起きるものですね。

第1186回「子連れ防災」
電話:NPO法人「ママプラグ」理事 冨川 万美さん

小さい子どもがいる家庭では、災害への備えにも、実際の避難にも、特有の苦労があります。そんな中、被災経験のあるママやパパの声をベースに、必要な防災対策をまとめた本「子連れ防災BOOK 1223人の被災ママパパと作りました」が発売されました。必要な防災グッズはもちろん、災害に強い家族になるための方法や、遊びながら防災力を身につける方法などを、イラストを交えて伝えています。
子どもを保育園に預けている場合など、災害発生時に必ずしも親が子どもを助けられる状況であるとは限りません。何より求められるのは、子ども自身に自分を守る力を身につけてもらうことです。最近の子どもは、外遊びの機会が減り、危険を察知する能力がかつてより乏しいといわれます。近所を歩きながら、「危険な所を3つ見つけてみて」など、ゲーム仕立てで危険を認識させることから始める必要があります。夏休みの自由研究に「我が家の防災」を調べてみるのも良いかも知れません。
幼い子どもを災害から守るには何が大切なのか。本を手掛けたNPO法人「ママプラグ」の理事を務める冨川万美さんに、話を聞きます。
 
西村愛のひとこと
被災した時にパニックにならないよう、日頃からのシミュレーションが大切だなと実感しました。この本を読むとさまざまなシーンを想像することができます。"防災ピクニック"や"防災キャンプ"は、写真をアルバムに残せば想い出にもなるし、後世に伝えることもできますね。楽しみながら家族で防災を!

第1185回「水害に備えて~それぞれの"避難スイッチ"」
ゲスト:京都大学防災研究所 特定准教授、気象予報士 竹之内健介さん

昨年7月の西日本豪雨で甚大な被害を受けた岡山県倉敷市真備町では、亡くなった方の多くが自宅の1階で見つかりました。避難行動に移らないまま浸水が始まり、逃げ遅れたものと考えられます。
台風や豪雨のように、雨が降り出してから災害発生までに一定の時間がある場合、「いつ逃げるのか」という判断が難しくなります。市町村が出す避難勧告や避難指示は目安になりますが、情報が届く前に災害が発生してしまうこともあります。西日本豪雨では逃げ遅れて犠牲になった人がいた一方、消防団が独自判断で避難の呼びかけを行い、間一髪で人々の命が救われた地域もありました。京都大学防災研究所気象・水象災害研究部門の竹之内健介特定准教授は、「何をタイミングに行動を始めるのか。ふだんから、避難開始の判断基準となる"避難スイッチ"を考えておくことが重要」と話します。
 竹之内健介特定准教授をゲストに迎え、過去の水害の事例をあげながら、"避難スイッチ"について考えます。

千葉猛のひとこと
今日のお話での「素振り」という言葉が強く印象に残りました。何事も日ごろからイメージし練習しておかないとうまくいきません。これを機会に自分の住んでいる地域の「避難スイッチ」は何か、ご近所のみなさんと考えてみませんか。私の住んでいる地域では何だろうと、放送が終わってから私も考えています。

第1184回「人はなぜ逃げないのか? その災害心理」
電話:防災科学技術研究所 研究員 島崎 敢さん

先月末から今月初めにかけて、九州南部では記録的な豪雨となり、最大190万人に避難勧告・避難指示が出されました。しかし、実際に避難所に行った人は1%もいませんでした。去年の西日本豪雨でも、避難行動をとらずに自宅の1階で亡くなった人が大勢いました。命の危険が迫るほどの災害を前に、避難に踏み切れないのはなぜでしょうか?
人間にとって、「行動しないと死んでしまうかもしれない」と考えるのは、とても大きなストレスです。そのため、ストレスを緩和しようと、「自分の思い過ごしで、きっと大丈夫」という「正常性バイアス」がはたらきます。さらに、誰かが逃げなければ自分も逃げないという「同調心理」もあり、率先して避難する人がいない場合は逃げるという行動をとらないのです。
災害時の避難では、"空振り"も当然起こります。それでも、命を守るために避難は大切です。ひとりでも多く避難を促すために、どういう情報伝達や訓練が必要なのでしょうか?防災科学技術研究所の研究員で災害心理学が専門の島崎敢さんに電話で聞きます。
 
西村愛のひとこと

命の危険が迫っている時でも、特に日本人は周囲に合わせようと自然とまわりの人の行動を見ている。だからこそ"率先避難者"になる事の大切さを実感しました。ある小学校では焼きそば大会に避難訓練をプラスして参加者が10倍に!というお話も。あなたならどんな避難訓練に参加したいですか?