10月01日(日)
第1407回「数多ある防災気象情報、どう伝えれば?」
ゲスト:国士舘大学 防災・救急救助総合研究所 教授 山﨑登さん
台風・豪雨のたびに、注意報や警報、土砂災害警戒情報、線状降水帯情報、警戒レベルなどさまざまな防災気象情報が伝えられます。
振り返ると、広島市の豪雨と土砂災害を受けて2005年に「土砂災害警戒情報」の発表が始まり、2008年には北海道の竜巻被害を受けて「竜巻注意情報」が追加されました。その後も、2013年に「特別警報」、2021年に「顕著な大雨に関する情報」、そして2022年には「線状降水帯情報」と、災害のたびにきめ細かい気象情報が次々とつくられてきました。
しかし情報量ばかりが増え、実際に伝えられるのは、「1時間に100ミリの雨」など数字と専門用語ばかりで、危機感が伝わりにくいという課題もあります。情報を受け取る側は、たくさんある災害情報を、住む地域や環境に合わせて取捨選択しなければなりません。災害情報に頼りすぎず、自分が判断する材料と捉えて、行動に移す必要があります。
私たちは、たくさんある災害情報をどう伝え、どう生かせばよいのでしょうか。NHKで災害や防災の解説を長年務めた国士舘大学 防災・救急救助総合研究所の山﨑登教授に聞きます。
山﨑 登著「災害情報はなぜヒットしないのか 住民の避難を進めるために」
https://www.ff-inc.co.jp/syuppan/bousai/bou_31_2023.html
(番組内容は予告なく変更する場合があります)
09月24日(日)
第1406回「災害時に役立つクルマの活用法」
オンライン:車中泊専門誌「カーネル」編集長 大橋保之さん
コロナ禍から続くアウトドアブーム。夏の暑さも落ちつき、これからは、秋キャンプのベストシーズンに入ります。キャンプをして、クルマの中で寝る「車中泊」も人気です。
最近では、災害時の「非常用電源」として活用できる"災害時に役立つクルマ"も増えてきています。停電しても診察を続けられるように非常用電源として電気自動車を導入したクリニックや、ガソリンスタンドが閉鎖になっても患者さんを送迎できるよう、送迎車を電気自動車にした医療法人もあります。
また、電気自動車でなくても、クルマは災害時に避難所代わりに利用することができます。今回は車中泊専門誌「カーネル」編集長の大橋保之さんに、災害時に役立つクルマや車中避難のポイントについて詳しく教えてもらいます。
カーネルWEBメディア「SOTOBIRA」
https://sotobira.com/
西村愛のひとこと
車中泊グッズの中で、銀マットは万能ですね!◉寝る場所をフラットにすることができる。→エコノミークラス症候群の予防にも◉窓に貼り付けて、目隠しや日差し避けに◉防寒対策に⇒★厚さ8mm以上のものを選ぶのがポイント!カーネルさんの"車中泊ガイドブック"もあるので、旅を楽しみながら、災害時を想定した車中泊をするのもいいですね。
09月17日(日)
第1405回「災害時に必要な子どもの支援とは?」
オンライン:認定NPO法人カタリバ 戸田寛明さん
各地で記録的な豪雨が相次ぐ中、今回は水害の後の子どもたちの支援について取り上げます。大規模な水害では、校舎が浸水被害を受け、長期の休校を余儀なくされます。2020年7月の熊本豪雨では、3つの小中学校が1か月にわたり休校しました。
避難所では、子どもたちは走り回って遊ぶことができません。中学生以上になると、椅子や机などもなく、落ち着いて勉強できないストレスも重なります。一方、保護者も家の復旧作業や生活再建の手続きなどに追われ、子どもと向き合う時間がなくなってしまいます。
NPO法人「カタリバ」は、災害時の子ども支援を行う「sonaeru」というプロジェクトを立ち上げました。学校の剣道場や、被災していない近隣学校の体育館を借りるなどして、日中、子どもたちを無料で預かります。学習状況に応じて教材を用意し、大学生ボランティアによるリモート学習などで補習も行います。"子どもたちの居場所"を用意するとともに、心のケアにもあたるのです。
子どもの心の安定は、保護者の心の安定にもつながります。見過ごされがちな災害時の子どもたちの支援について、認定NPO法人カタリバの戸田寛明さんに聞きます。
認定NPO法人カタリバ
https://www.katariba.or.jp/
西村愛のひとこと
「勉強することで、子どもたちは日常を取り戻せるんです」戸田さんの言葉にハッとしました。 ボランティアの大学生にとっても、防災を"自分ごと"として捉えるキッカケになっているのが、素敵ですね。親も子もそれぞれの居場所があることで前に進むことができる。世界の被災地のスタンダードになるといいな。
09月10日(日)
第1404回「台風シーズン到来~命を守る避難と備え」
オンライン:アウトドア防災ガイド あんどうりすさん
5年前、近畿地方に大きな被害をもたらした台風21号では、記録的な暴風などで14人が死亡、8万棟を超える家屋の被害が発生しました。関西国際空港は高潮によって滑走路が冠水。関空連絡橋には強風で流されたタンカーが衝突し、利用客らが一時、孤立状態になりました。
専門家は「地球温暖化によって強い勢力の台風が日本に上陸する可能性が高くなってきている」と警鐘を鳴らしています。今年のお盆に近畿地方を縦断した台風7号でも、土砂崩れや家屋の浸水、停電などが発生しました。この台風シーズン、私たちはどのように備えればよいのでしょうか。
アウトドア防災ガイドのあんどうりすさんは、「地震と違い、台風は事前に予測ができる災害。正しい情報を得て、早めの避難や備えをすれば命を守ることができる」と話します。番組では、台風時の避難行動と備えについて、あんどうさんに詳しく聞きます。
西村愛のひとこと
台風は事前に備えることができる災害。だからこそ、避難について事前に決めておいたり、物の備えもできます。"お風呂の残り湯を残しておいたら役立つよ"の話は よく聞きますね。でも『トイレに流せないなら何に使うんやろう?』と思っていたので、新たな気づきがたくさん!みなさん、ありがとうございました!
09月03日(日)
第1403回「関東大震災100年~災害時のデマはなぜ起きる?」
オンライン:東北学院大学 教授 郭基煥さん
100年前の関東大震災では、「朝鮮人が井戸に毒を入れた」「武器を持って襲ってくる」などの流言飛語が広がりました。軍や警察など国の治安機関が「厳重に取り締まるように」などあたかも流言が事実であるかのような通知を全国に発信し、警察も注意を呼びかけました。人々は「自警団」をつくって武装。数千人の朝鮮半島出身者や中国人らが殺害されたといわれています。
災害時にデマや流言が広がるのは、決して過去のことではありません。東日本大震災から5年後の2016年、東北学院大学の郭基煥(かく・きふぁん)教授が仙台市の住民を中心に行った聞き取り調査では、約5割の人が「被災地での外国人犯罪のうわさを聞いた」と回答し、そのうち8割が「うわさを信じた」と答えました。こうしたデマを拡散した人には外国人を貶めようという悪意はなく、「気をつけてね」「巻き込まれないでね」という"善意"で拡散していることもわかりました。
なぜ災害時にデマやうわさが出回ってしまうのでしょうか。デマを広めないために私たちはどうすればよいのでしょうか。在日コリアン3世であり、災害時のデマについて研究する郭基煥教授に聞きます。
郭基煥 著
「災害と外国人犯罪流言―関東大震災から東日本大震災」
http://shoraisha.com/main/book/9784879844422.html
西村愛のひとこと
時代を越えて、必ず出る同じデマがあるなんて。郭さんがおっしゃっていた『外国人を犯罪者として語るデマは"人権侵害"だ』という認識を持って、むやみに広めない。相手のことを知らないから、本当だと思ってしまうのかもしれません。まずは挨拶からはじめよう!日頃からのコミュニケーションを大切に過ごしていきたいと思います。
08月27日(日)
第1402回「関東大震災100年 "火災旋風"の脅威」
オンライン:東京理科大学 教授 桑名一徳さん
マグニチュード7.9の揺れが首都圏を襲った「関東大震災」は、発生からまもなく100年を迎えます。死者・行方不明者およそ10万5000人。その9割が火災による犠牲者で、被害を拡大させたのが「火災旋風」だと言われています。
「火災旋風」は炎が回転しながら燃え上がる現象で、「炎の竜巻」とも言われ、風速や地形などの影響で発生するとされています。関東大震災では、現在の東京・墨田区にあった陸軍被服廠跡の空き地に避難した4万人近くが「火災旋風」に巻き込まれるなどして亡くなりました。
今後、首都直下地震や南海トラフ巨大地震でも、条件がそろえば「火災旋風」が発生する恐れがあります。2011年の東日本大震災でも、宮城県気仙沼市で火災旋風とみられる竜巻状の火柱が目撃されました。火災旋風のメカニズムとその対策について、東京理科大学の桑名一徳教授に話を聞きます。
西村愛のひとこと
今から100年前の関東大震災で発生した"火災旋風" 。炎の竜巻が次々に発生し、襲いかかってくる。あまりにも恐ろしくて言葉を失いました。今後の南海トラフ巨大地震でも、木造住宅の密集地で大規模な火災が起きれば、火災旋風が発生する可能性があるとのこと。桑名さんが教えてくださった対策。私たちにも出来ることがありますよ!
08月20日(日)
第1401回「災害時のトイレ対策」
オンライン:チーム・トイレの自由 代表 長谷川高士さん
1995年の阪神・淡路大震災では、断水によって水洗トイレが長期間にわたって使用できなくなり、避難所や公衆トイレは瞬く間に不衛生な状態になりました。その上、バキュームカーも不足し、"トイレパニック"という言葉が生まれました。2016年の熊本地震でも、避難所の屋内トイレが使えず、屋外に設けられた仮設トイレに行列ができるなどの問題が起こりました。
食事は数時間我慢できても、排泄はそうはいきません。また、トイレが不便なためトイレに行く回数を減らしたいと水分を制限すると、脱水や体力の低下などを引き起こし、災害関連死につながることも懸念されます。
災害時のトイレ対策について全国で講演活動などを行っている「チーム・トイレの自由」代表の長谷川高士さんは、水洗トイレが使えなくなることを前提に備えることが必要だと話します。「災害時の排泄物はゴミとして出す」という長谷川さんに、具体的にどうすればよいのかを聞きます。
※災害時のし尿ゴミの受け入れに関しては、各自治体の指示に従ってください。
西村愛のひとこと
長谷川さんに教えてもらった簡易トイレ。 我が家も子どもたちと実践してみました。 便器に二重にしたゴミ袋を被せ、その上におむつを広げて置くだけ!息子は見慣れないトイレの様子にびっくりし、袋を外して用を足そうとしていました。日頃から練習しておくことが大切ですね。しっかり水分を吸い取るので捨てるのも楽でしたよ!
08月13日(日)
第1400回「ノロノロ迷走台風への備え」
オンライン:三重大学 教授 立花義裕さん
九州・沖縄地方の広い範囲に大きな被害をもたらした台風6号。大型で非常に強く、ゆっくりと進んだこの台風は、いったん沖縄本島から西へ離れた後、進路を東よりに変え、Uターンして再び沖縄に接近。その後、九州・奄美地方を暴風域に巻き込みながら北上する特異なルートをたどりました。
なぜ、このようにノロノロと迷走する台風が発生したのでしょうか。異常気象を研究している三重大学の立花義裕教授は「今回の台風は異常だった」と指摘し、その主な要因は「偏西風の蛇行」と「海面温度の高さ」だと話します。地球温暖化によって、このような異常な台風は、今後もまたやってくる可能性があるそうです。
わたしたちは、このような異常な台風がもたらす災害や異常気象に、どう備えればよいのでしょうか。立花教授に詳しく聞きます。
西村愛のひとこと
私が子どもの頃に比べて、年々台風の被害が大きくなっているのは何故なんだろう?今回の台風6号はノロノロ迷走台風。大雨が長く続き、風の威力も増して被害が拡大しています。その原因は地球温暖化なんですね。さらに大きくなっていく台風被害を少しでも食い止められるよう、私たちが出来ることを実践していきませんか?
08月06日(日)
第1399回「都市型の洪水~『内水氾濫』のリスクと対策」
オンライン:秋田大学 准教授 渡邉一也さん
先月中旬に秋田県を襲った豪雨。秋田市では市全体の4分の1の住宅が浸水被害を受けました。被害が拡大した背景には、河川の氾濫に加え、降った雨が下水道などの排水施設で処理できずに地上にあふれる「内水氾濫」が起きていたことが指摘されています。
秋田市は低平地で勾配が少なく、もともと水がたまりやすい地形です。そこに長時間にわたり雨が降り続けました。市街地ではコンクリートやアスファルトなどの舗装が多く、雨水が排水できずにたまり続け、マンホールや水路からあふれ出したのです。
こうした低平地でアスファルトが水を吸い込まない環境で発生する内水氾濫は、全国どこでも起こりえる"都市型の洪水形態"です。特に地下鉄や地下街が発達しているターミナルでは、止水板などで地下に行く水を止める必要があり、余計に地上に水があふれがちです。京阪神の都市部は、内水氾濫の危険性が高いといえます。
内水氾濫について、自治体や私たちはどんな対策ができるのでしょうか。秋田市の被災現場を実際に調査した秋田大学の渡邉一也准教授(河川工学)に聞きます。
西村愛のひとこと
住民の方の声で『強い雨ではなかったから、まさかこんな事になるとは』。弱い雨でも降り続くと大きな被害につながりますね。内水氾濫は秋田市だけでなく、どこの都市でも起こり得るとのこと。お住まいの自治体のHPに"内水氾濫ハザードマップ"を公開されているかチェックして、備えをすすめていきましょう。
07月30日(日)
第1398回「災害時の熱中症対策」
オンライン:帝京大学医学部付属病院 高度救命救急センター長 三宅康史さん
本格的な夏がやってきました。最高気温が35度を超える猛暑日が続き、熱中症で病院に搬送される人も増えてきています。この暑さの中で、地震や豪雨などの災害が起こったら、私たちはどのように暑さから身を守ればよいのでしょうか。
「災害時は平時よりも熱中症になる危険性が高まる」と、帝京大学医学部付属病院高度救命救急センター長の三宅康史さんは警鐘を鳴らしています。災害時は、水や電気などの供給が制限される上に、避難所などの慣れない環境下に置かれます。被災した場合は、普段行わない復旧作業など重労働をすることも考えられます。熱中症を引き起こす3大要因「環境」「からだ」「行動」の全ての面で危険性が高まるのです。
水分補給や衣服、体を冷やすグッズなど、災害時の熱中症対策について、三宅康史さんに詳しく聞きます。
西村愛のひとこと
災害時は断水や停電になり、トイレの回数を減らすために水を飲むことを我慢する方も‥。水や非常用トイレを多めに準備する。身体を冷やすグッズや塩分が摂れるタブレットの備蓄も忘れずに!!日頃使っているものが災害時にも大活躍します。熱中症対策と併せて、エコノミークラス症候群の予防→適度な運動をする事も大切ですね。