第1291回「夏の危険~猛暑、落雷から身を守る」
ゲスト:MBSお天気部 気象予報士 前田智宏さん

梅雨明けの直後から厳しい暑さが続いています。気象庁は今年から「熱中症警戒アラート」の本格運用を始めました。気温だけでなく湿度や輻射熱の影響も入れた「暑さ指数」が33以上になると予測されるときに、都道府県単位でアラートが出されます。外出を控える、日傘や帽子などを活用して日差しを避ける、エアコン使用やこまめな水分補給など、熱中症を避けるための対策が必要です。
もうひとつ、最近気になるのが雷です。滋賀県ではランニング中の男性が橋の上で雷に打たれ死亡する事故がありました。雷は高いところに落ちるので、周囲に何もない場所、たとえば田畑やグラウンド、海水浴場などでは、落雷事故の危険が高まります。真っ黒な積乱雲が近づいてきたり、雷鳴が聞こえてきたりしたら、すぐに屋内や車内に避難しましょう。雷注意報なども頻繁にチェックしてください。
猛暑や落雷から身を守るためにはどうすればいいのか、MBSお天気部の気象予報士・前田智宏さんとともに考えます。今年の夏の豪雨や台風の可能性についても聞きます。
 
(番組内容は予告なく変更する場合があります)

第1290回「出なかった避難指示~豪雨の避難をどう判断する」
オンライン:静岡大学防災総合センター 教授 牛山素行さん

静岡県熱海市で今月3日に発生した土石流では、気象庁から「土砂災害警戒情報」は発表されていたものの、市は「避難指示」を出していませんでした。短時間に集中的に降る豪雨と違って、長雨が引き起こした今回の災害では、判断の難しさが浮き彫りになりました。
土砂災害が起きる前には、「山から泥水が流れ出る」「腐った土のにおいがする」といった前兆現象があることが知られています。しかし、静岡大学防災総合センターの牛山素行教授は「"前兆"に頼りすぎるとかえって危険。これらは、"前兆"というよりは"発生"を示す現象で、すでに山のどこかが壊れ始めているサインなので、こうした現象に頼らずに早めの情報活用を」と呼びかけます。熱海の現場でも直前に小規模な土砂崩れが発生し、消防団が避難を呼びかけている最中に土石流が町を襲いました。極端な天候が各地で被害をもたらす中、住民は避難をどう判断すればよいのでしょうか。
自治体の避難情報以外に、ハザードマップや、迫りくる危険の度合いをリアルタイムで確認できる気象庁の危険度分布「キキクル」、民間の防災アプリなど、私たちが直接アクセスできる防災データも増えています。番組では牛山教授とオンラインでつなぎ、豪雨の避難について考えます。

西村愛のひとこと
「"がけから水が湧き出る"などの前兆現象があると、あと数時間後に土砂崩れがあるのかな?」では、ないんですね。牛山さんは、「すでに何らかの災害が起きているサインである可能性が高い。秒単位で土石流が襲ってくることもある!」豪雨の時は雨が止んでいても、川や崖に近づかない。基本に立ち返って確認しておきましょう!

第1289回「熱海で土石流~盛り土はどう影響したか」
取材報告:新川和賀子ディレクター

静岡県熱海市で3日に発生した大規模な土石流は、上流にあった盛り土が災害を甚大化させた可能性が指摘されています。土石流は伊豆山の谷筋で発生しました。被害を受けた地区一帯は土石流警戒区域に指定されていて、リスクが示されていました。周辺では、72時間雨量が7月の観測史上最大を記録し、長雨で土の中に多量の水分がたまっていたと考えられます。ただ、大きく崩れたのがこの一カ所だけだったことから、京都大学防災研究所斜面災害研究センター長の釜井俊孝教授は、「質の悪い盛り土が土石流を引き起こしたのではないか」と指摘しています。
崩壊現場周辺の土地は、開発業者が取得して2007年に盛り土をすることを熱海市に届け出ています。しかし、盛り土の高さが県の条例で定められている15メートルを大幅に超え、土に産業廃棄物が含まれているなどとして県や市が是正指導を行っていました。
宅地ではない盛り土には、厳しい規制が無いのが現状です。釜井教授は、「条例ではなく、より効力のある法律の制定が必要」と話します。
番組では、釜井教授のインタビューを交えて、今回の土石流の背景や盛り土の災害リスクについて考えます。
 
西村愛のひとこと
規制が厳しい住宅地の盛土でも過去の自然災害で崩れているのに、宅地じゃない盛土は規制が甘いというのは、大きな問題だなと思いました。釜井さんが話されたように法律をつくってほしいと思いますが、実現するのは、いつになるかわかりません。ハザードマップや気象庁の危険度分布マップ「キキクル」を確認する、早めの避難など、自分にできることを!

第1288回「ハザードマップを見るポイント」
電話:アウトドア防災ガイド あんどうりすさん

梅雨の末期に当たる7月上旬には毎年、豪雨災害が発生しています。番組ではいつも「ハザードマップを確認してください」とリスナーに呼びかけていますが、ハザードマップを見ても、自分は避難したほうがいいのか、いつ避難を始めればいいのか、よくわからないという声も聞きます。情報量が多すぎて、ポイントがつかみにくいのです。
内閣府は「3つの条件が確認できれば、浸水の危険があっても、自宅に留まり安全を確保することが可能」としています。「家屋倒壊等氾濫想定区域に入っていない」「浸水深より居室が高い」「水がひくまで我慢でき、水・食糧などの備えが十分」の3条件です。 
「家屋倒壊等氾濫想定区域」は、家屋の流失・倒壊をもたらすような洪水の氾濫流や河岸浸食が発生するおそれがある区域で、自宅がこの区域内にある場合は、浸水が始まる前に避難しなければなりません。水の流れが速いと、足首ぐらいの深さでも、歩けなくなったり流されたりすることがあります。「令和2年7月豪雨」で氾濫した熊本県の球磨川流域では、「津波のようだった」という証言もあります。
早く避難を始めるには何が必要か、ハザードマップのどんなところを見ればよいのか、アウトドア防災ガイドでハザードマップに詳しいあんどうりすさんに話を聞きます。
 
西村愛のひとこと
家屋倒壊等氾濫想定区域や、浸水継続時間をハザードマップで調べてみると、予想以上にわかりにくい!大阪市北区HPのハザードマップに載っていなかったので、他もいろいろと調べてましたが、わからず。北区役所に連絡して聞くと、丁寧に教えてくださいました。自治体によってハザードマップもさまざま。日頃からチェックしておくことが大切だなと思いました。

第1287回「大阪北部地震3年【2】~ブロック塀対策は進んだのか」
取材報告:新川和賀子ディレクター

最大震度6弱を観測した大阪北部地震の発生から18日で3年を迎えました。高槻市立寿栄小学校では、プールの目隠しとして設置されていたブロック塀が地震の揺れによって長さ40メートルにわたって倒壊し、当時小学4年の女子児童が下敷きになり死亡しました。事故を受けて全国の公共施設でブロック塀の点検や撤去が進められ、高槻市内では高さ80cmを超える小中学校のブロック塀の撤去が99%完了しています。
一方で対策が難しいのが、民家や企業の敷地にある民間のブロック塀です。自治体ではブロック塀の撤去に補助制度を設けるなどして撤去を促していますが、古いブロック塀の所有者は年金で生活する高齢者が多く、工事費用の自己負担が大きいため思うように撤去は進んでいません。
ブロック塀のような工作物は、所有者に責任が問われます。2016年に起きた熊本地震では、ブロック塀の下敷きになって死亡した男性の遺族らが所有者を相手に訴訟を起こしています。また、たとえ負傷者が出なくても塀の倒壊で避難路がふさがれると避難や救助活動に影響します。
地震発生から3年が経ち、ブロック塀対策はどの程度進んだのか、どうすれば対策を加速させることができるのか。取材したディレクターが報告します。
 

ブロック塀の点検のチェックポイント(国土交通省ホームページ)
https://www.mlit.go.jp/common/001239765.pdf
 
西村愛のひとこと
高槻市の補助制度を使ってブロック塀をフェンスに付け替えた女性は、娘さんからの後押しがあったから、思いきって決断したとのこと。やはり、家族の後押しは大きいなと思いました。コロナ禍で、なかなか実家に帰ることもできていませんが、台風に備えて屋根瓦の点検など、私から提案してみようと思います。

第1286回「大阪北部地震3年【1】~コロナ禍で電車閉じ込めは?」
ゲスト:関西大学社会安全学部教授 安部誠治さん

朝の通勤・通学時間帯に発生し最大震度6弱を記録した大阪北部地震では、あわせて234本の電車が駅間停車しました。20万人以上が車内に閉じ込められ、体調不良を訴える人も続出しました。いま、同じような地震が起これば、新型コロナ感染のリスクもあります。鉄道各社は、どんな対策をしているのでしょうか。
大阪北部地震で最も多くの閉じ込めが発生したのはJRでした。震度5弱以上を計測すると列車は緊急停車し、線路上の安全が確認できるまでは運転を再開できません。153本もの列車が駅間停車したため、各列車からの情報が集まる指令所はパンク状態になり、乗客の避難完了までに約6時間かかりました。
その反省から、JR西日本では乗務員の持つタブレット端末に情報共有アプリを導入し、乗務員が電車の停止位置や負傷者の有無などを入力すれば、指令所がすぐに情報把握できるようにしました。線路外に出るための門扉の位置や歩行困難箇所を記載したマップや乗客の誘導マニュアルを、駅係員や乗務員に配布し、地震訓練も続けています。駅や車両には簡易トイレも装備しました。
乗客の避難や運転再開を急ぐことは大切ですが、安全が軽視されてはなりません。鉄道各社は地震にどう対処すべきか、乗客はどんな心構えが必要か、鉄道安全が専門の安部誠治さん(関西大学社会安全学部教授)に話を聞きます。
 
西村愛のひとこと
鉄道会社各社で改善された面も多くありますが、足の不自由な方が列車を降りた後、どのように避難するのかは、今後の課題との事。電車に乗っている時に「自分が救助のお手伝いをするなら?」と考えるとイメージが広がりました。「私の場合は、このようなフォローをしてほしい」など、皆さんの感想もお待ちしています。

第1285回「石巻の1・17リポーターが登場~ふたつの津波伝承施設がオープン」
電話:宮城県石巻市に住む1・17リポーター 武山友幸さん

今年に入ってから、東北では大きな地震がつづいています。2月13日には宮城・福島両県で最大震度6強を観測する地震が発生し、1人が死亡しました。3月20日、5月1日にも宮城県沖を震源とする地震が発生し、宮城県で最大震度5強を記録しました。相次ぐ地震で、宮城・福島両県の家屋被害は3万棟を超えました。
今回の番組では、地震が続く宮城県石巻市から災害リポーター・武山友幸さんが登場します。全国に約20人いる番組の災害リポーターは、災害が起きた時に電話で現地から即座に状況を伝えてもらう人です。東日本大震災10年を迎えた石巻では、今年、津波の被害を伝える施設「みやぎ東日本大震災津波伝承館」と「MEET門脇」の2つがオープンしました。それぞれ宮城県と民間の運営で、展示にも違いがあります。武山さんと電話をつないで、津波伝承施設の展示内容や相次ぐ地震に感じていることなどを聞きます。

西村愛のひとこと
東日本大震災で甚大な被害を受けた場所に開館した、2つの津波伝承施設。武山さんのお話で、震災前の町の様子が伝わってきました。震災から10年。ご自身の思いを語り、大切な遺品を提供して下さった方々に感謝の想いが溢れました。私も両方の施設に行き、しっかり学んで、明日の防災につなげたいです。

第1284回「コロナ自宅療養者の避難~大阪市の場合」
取材報告:亘 佐和子プロデューサー

国と自治体の災害対策の基本となる「防災基本計画」が改定され、新型コロナの自宅療養者の災害時の避難場所の確保が、各自治体に求められることになりました。感染を広げないよう、一般の避難者とは別の避難先が必要で、自治体ごとに計画が異なります。
記者が大阪市のケースを調べてみました。大阪市では、「自宅にとどまるのが危険な人は、宿泊療養施設に移る」のが基本です。浸水危険区域に住む自宅療養者で、水害時の立ち退き避難を希望する人は、その意向をあらかじめ区役所に伝えておきます。区役所は、警戒レベル3以上が発令されるおそれが生じたときは、その自宅療養者の避難するホテルを決めて伝えます。自宅療養者がホテルまで向かうバスやタクシーは、市が手配する計画です。また、濃厚接触者については、各区に1か所以上、濃厚接触者専用の避難所を確保しています。
しかし、計画通りにできるのか、自宅療養の経験者からは疑問の声が上がっています。大阪府は第4波で医療体制が逼迫し、ピークだった5月中旬には、自宅療養・待機者が1万8000人以上にのぼりました。陽性判明から1週間以上、保健所からの連絡がなかった自宅療養者は、「水害時の避難先など考える余裕はなかった」と話します。コロナと豪雨の複合災害でどんな事態が予想されるのか、記者のリポートで考えます。

西村愛のひとこと
どんな時でも、自分や家族の命は自分で守るしかない!
自宅は在宅避難ができる区域かな?コロナ自宅療養者が別の場所に避難するなら、大阪市の場合は自治体や保健所に「自宅は浸水区域だから別の場所に避難する必要がある」ということを自分から伝えないといけないんですね。私の町はどんな対策があるんだろう。調べてみませんか?

第1283回「コロナ自宅療養者の避難」
電話:日本赤十字北海道看護大学 教授 災害対策教育センター長 
   根本昌宏さん

政府の中央防災会議が防災基本計画を改定し、新型コロナの自宅療養者の避難先を検討するよう各自治体に要請することを新たに盛り込みました。各自治体は平常時から、浸水危険エリアなどに居住している自宅療養者を把握し、事前に決めた避難先を本人や家族に伝えなければなりません。避難先の例としては、病院や療養者専用のホテル、避難所になる学校の空き教室などが想定されています。
自宅療養者の数は全国で3万人を超えています。医療体制が逼迫している大阪では保健所の手がまわらず、感染者の病状の聞き取りもなかなか進まない現状があります。危険エリアの自宅療養者を常に把握し、適切な避難場所を確保することは現実的に可能なのでしょうか。また、濃厚接触者や体調不良の人は、コロナに感染しているかどうか不明な状態ですが、一般の避難所に行ってもいいのでしょうか。だれが感染していてもおかしくない状況で、避難所でのクラスター発生が懸念されます。避難所の感染防止対策に詳しい日本赤十字北海道看護大学・災害対策教育センター長の根本昌宏教授に話を聞きます。
 
西村愛のひとこと
コロナ禍の今、豪雨災害が起こったら...。不安だらけ!だからこそ準備が大切。どこから"地元の正しい情報"を得ることができるのか?自宅は在宅避難ができる地域?避難するなら何を持っていく?PCR検査で陰性でも"感染しているかもしれない"という意識で行動することも忘れないようにしましょう!

第1282回「子どもたちに伝える津波避難のルール」
電話:弁護士、防災士 永野海さん

災害が発生するような状況でも「自分は大丈夫だろう」と避難せずに命が危険にさらされる事態があとを絶ちません。一方で、子どもが「避難しよう」と親や大人を説得して命が助かった例もあります。東日本大震災で大津波が襲った岩手県釜石市では、ふだんから防災を学んでいた中学生たちが「率先避難者」となって高台に逃げたことが地域の人たちの避難に結びつきました。
日弁連災害復興支援委員会副委員長で防災士でもある永野海弁護士は、東日本大震災の被災地に生活再建支援で訪れる中、津波で我が子を亡くした遺族や語り部と交流してきました。南海トラフ巨大地震での被害が懸念される静岡に暮らす永野弁護士は、被災地で得たことを伝えて子どもたちの命を必ず守りたいと、防災本「みんなの津波避難22のルール 3つのSで生き残れ!」を出版しました。実際の津波避難の事案を例に挙げながら、コミカルな漫画とともに子どもたちにもわかりやすく津波から命を守る方法が示されています。
番組では永野弁護士と電話をつなぎ、被災地で聞いた津波の教訓や、避難のルールについて聞きます。

西村愛のひとこと
永野さんの著書には「めざせ避難マスター」という"避難シミュレーションゲーム"も掲載されています。今はコロナ禍でおうち時間が長いので嬉しいですね。楽しみながら防災を学ぶ。子どもたちの避難スイッチを、私たち大人が冷静に受け止めるためにも、防災の知識と想像力が大切だなと感じました。