第1406回「災害時に役立つクルマの活用法」
オンライン:車中泊専門誌「カーネル」編集長 大橋保之さん

西村)コロナ禍からアウトドアブームが続いていて、キャンプでは車中泊も人気です。最近では、災害時に役立つ車も増えてきているそうです。
きょうは、車中泊専門誌「カーネル」編集長 大橋保之さんに災害時に役立つ車とその活用法を教えてもらいます。
 
大橋)よろしくお願いいたします。
 
西村)災害時に役立つ車にはどんなものがあるのですか。
 
大橋)現在流行っているキャンピングカーのほかに、一般車で注目を集めているのは電気自動車。非常用電源としても使えます。ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車などたくさんの種類があります。電気自動車はサービスエリアなどにも充電スタンドがあります。
 
西村)電気自動者に乗る人は年々増えてきているのですか。
 
大橋)増えてきています。
 
西村)ハイブリッド車とはどのような車ですか。
 
大橋)エンジンとモーターの2つと動力を活用した車です。プラグインハイブリッド車は、外部電源から充電ができるので、電気を自分の車に蓄えることができます。
 
西村)災害で家が停電してしまったときにどのように利用できるのですか。
 
大橋)車にためていた電気を家電などに送ることができます。
 
西村)それは便利ですね。
 
大橋)非常用電源の仕様は車種によります。別途オプションが必要になることもあるので、購入時は確認してください。
 
西村)プラグインハイブリッド車とは、大きな充電器のようなものですか。
 
大橋)そのような使い方ができます。これからますます進化していくと思います。
 
西村)災害時に非常用電源として使える車があればかなり心強いですね。近所の人に携帯電話の充電をしてもらうこともできそうです。
 
大橋)これまでの災害時に、そのように活用された例もあると聞いています。
 
西村)電気自動車を持っていると周りの人のためにもなりますね。欲しいけど高そうです...。
 
大橋)今は補助金制度もあるので、買いやすくなってきていますよ。
 
西村)補助金を上手に使いながら、災害時の備えとして車の買い替えを検討するのも良いですね。いざというときには、車中泊もできます。車中泊のポイントについておしえてください。
 
大橋)キャンプなどのレジャーで行う車中泊と災害時の車中泊は異なります。キャンプの車中泊は楽しむためにさまざまな準備や計画をすることができますが、避難時の車中泊は、準備不足でストレスが大きくなります。災害時の車中泊で一番注意してほしいのがエコノミークラス症候群。熊本地震の時は、エコノミークラス症候群で女性が一人亡くなりました。車の中で一晩寝ただけで発症する人も多いです。
 
西村)エコノミークラス症候群を防ぐために注意することはありますか。
 
大橋)3つポイントがあります。
「膝を曲げて寝ない」
できるだけ体を水平にして、寝返りが打てるところで寝ましょう。熊本地震や新潟地震でエコノミークラス症候群を発症した人の中には、足を曲げて寝ていた人がたくさんいました。エコノミークラス症候群とは、ふくらはぎに血栓ができる病気。足を上げて寝ることが大事です。車中泊だけではなく、避難所や普段寝るときも気をつけてください。
「水分を十分に取る」
血がドロドロにならないように水分を取ってください。避難所生活ではトイレが綺麗ではなかったり、仮設トイレができるまで時間がかかったりします。特に女性は水分を取ることを控えてしまうので、水分を取るようにしましょう。携帯トイレを準備しておくと良いですね。
「運動・マッサージをする」
血流が良くなるように運動やふくらはぎのマッサージをこまめにしてください。毎朝ラジオ体操をしていた避難所もあるようです。圧着ソックスを車に積んでおくのも良いですね。

 
西村)災害時の車中泊避難のために、どんなものを備えておいたら良いのでしょうか。
 
大橋)自宅が全壊や半壊になって家に入れないことがあるので、車にしっかり備えておきましょう。まず自分の車で何人寝られるのかを想定しましょう。我が家は4人家族で、車は1台なので、全員が車で寝ることができません。そこでテントを1台車に積んでいます。僕と長男の男2人はテントで寝て、妻と中学生の娘は車の中で寝られるように準備しています。車なら鍵がかけられるのでプライバシーを守ることができます。そのようにシミュレーションをした上で、備えるアイテムを考えてみましょう。
車に積んでおきたいアイテムには6つのカテゴリーがあります。これは僕が考えた車中泊避難のためのアイテムなので、各家庭・個人に合わせて変えてください。

 
<衛生>携帯トイレ・ウェットティッシュ・トイレットペーパー
あるととても便利です。
<飲食>飲料水・非常食
非常食は水と火を使わないものも入れておきましょう
<睡眠>銀マット・毛布
銀マットは、量販店などで売っている安いものでも構いませんが、必ず厚みがあるものを選んでください。おすすめは8mm以上。100円均一で売っているペラペラものは避けましょう。体の下に敷くときにクッション代わりにならないからです。銀マットは、車の目隠しにも使えて、切ったり貼ったりすることができて便利です。厚みがあると防寒にもなります。毛布やラグも車の目隠しに利用できます。
<生活>衣類・LEDライト
衣類は季節によって準備しておいてください。ライトは電池の準備も忘れずに。電池は保管するときは必ず本体から外しておいてください。
<通信>モバイルバッテリー・充電コード
これらは車に積んでおくというより、適宜充電できるようにいつも持ち歩いているもので結構です。AC電源だけではなく、車のDC電源にも使えるものがあれば便利です。
<補修>テープ・針金・マルチツール
ドライバーやハサミがついているマルチツールがあれば便利です。

 
西村)モバイルバッテリーがあれば、電気自動車なら、車で充電するときに使うことができますよね。
 
大橋)電気自動車なら十分に充電できます。
 
西村)それは心強いですね。最後にリスナーに伝えたいことはありますか。
 
大橋)最近は、車を持っていない人も増えてきていますが、車は緊急時・災害時に役立ちます。車に興味がない人も一度考えてみてほしいですね。ガソリンは、災害に備えて半分になったら常に給油しておくようにしましょう。東日本大震災のときは、なかなかガソリンが入れられないということがありました。
 
西村)ガソリンは、半分になったら給油する。平時から心がけていきたいと思います。
きょうは、災害時に役立つ車や車中泊について、車中泊専門誌「カーネル」編集長 大橋保之さんにお話を伺いました。