2026年8月 2日(日)
第1557回「熊本で震度7 現地の状況」
報告:前田春香アナウンサー
電話:永田忠幸さん(熊本県益城町在住)
西村)最大震度7を記録した令和8年熊本地震。地震が起こった当日の夜から被災地に入り取材をした前田春香アナウンサーにスタジオに来てもらいました。
前田)よろしくお願いいたします。
西村)当日はどのように現地入りしたのですか。
前田)当日、地震発生後の2時間後くらいに新大阪から新幹線で博多まで行きました。そこからレンタカーで熊本へ。車で2時間半ぐらいかかりました。
西村)熊本に到着したときの状況についておしえてください。
前田)わたしは被害が大きかった南の方ではなく、熊本市内に近いイオンモール熊本へ取材に行きました。渋滞はありましたが、道路の陥没や停電はありませんでした。イオンモール熊本には報道陣が詰めかけていて、緊急車両による救助活動が行われていました。
西村)爆発現場ではどんなことを感じましたか。
前田)あの辺りは夜になると暗く、全容を見ることはできなかったのですが、常に緊急車両が敷地内に入り、町の人が集まっていて、緊迫感がありました。
西村)かなり大きな施設なんですよね。
前田)東西に長くて熊本では1番大きいショッピングモールです。熊本市民にとっては、1番の遊び場と言えるような身近な場所だそうです。
西村)イオンモールに避難しようとしていた人もいたのではないですか。
前田)周辺住民は、「災害時にはイオンモール熊本に避難するという認識だったので、今回の爆発は衝撃だった」と話していました。
西村)爆発の威力はどのように感じましたか。
前田)地震発生3日後に報道陣の規制線が一時的に外され、正面付近行くことができました。東西に長い施設ですが、爆発があった南側の中央部分だけが破損が激しく、それ以外の場所は、外からはあまり変化がないように感じられました。一部分だけ壁、床、天井が跡形もなく崩れ落ちていて、周辺には、外壁の破片、ねじ曲がったガードレールが落ちていて、電線が切れて道路に散乱していました。
西村)今回の爆発はLPガス漏れが原因と推定されていますが、現地でにおいは感じましたか。
前田)当日の夜に現地に入りましたが、ガスのにおいは全くしませんでした。
西村)周辺の人に話は聞けましたか。
前田)イオンモール熊本から4kmほど離れた自宅にいた人に話を聞きました。窓ガラスが揺れ、扉が勝手に開くなど、現場から離れた場所でも影響があったようです。イオモール熊本の目の前に住んでいる人は、地面からドンと突き上げるような衝撃があり、すぐに外に出たら周りが白い煙に覆われていて、何事か分からないまま少し離れたところに避難したそうです。イオンモール熊本の目の前のお弁当屋さんで買い物をしていた人は、頭上に何か落ちてきたような大きな衝撃があったそうです。
西村)この爆発は地震の1時間20分後。お客さんと従業員の避難が完了した後、なぜ館内に人がいたのでしょうか。
前田)まだ詳しいことは分かっていないのですが、イオンの社長の会見によると、当日は夏休みシーズンということもあり、3000人のお客さん、1300人の従業員がいましたが、地震発生から30分後にマニュアル通りに外へ避難を完了させました。避難完了から約50分後に爆発があり、従業員が複数人施設内にいたという話も。なぜ避難完了後に施設内に従業員がいたのか、詳しいことは分かっていないのですが、会見では、自宅の鍵などを取りに行った従業員もいたとのこと。その辺りはこれから状況がわかってくると思います。
西村)前田さんはほかにも取材に行きましたか。
前田)氷川町の町役場の車中泊をしている人々に取材をしました。
西村)被害が大きかった場所ですね。
前田)最大震度7を観測した場所です。町役場の駐車場が車中泊できる場所として開放されていました。わたしが取材に行った時は、停電と断水が起こっていました。暑さが非常に厳しく、夜でも30度を超えるほど。家にいられない暑さなので、車中泊でエアコンがある環境で避難生活を送っていました。役場の裏には体育館がありますが、エアコンが作動しないので、それぞれの車に避難をしていました。ガソリンの減りが早くなってしまうので、夜中に起きてエンジンを切るため、よく眠れないという声も。周辺のガソリンスタンドでは、ガソリンの制限があるところもありました。すぐにガソリンを入れられる状況ではないため、不安な夜を過ごしているようでした。
西村)前田さんが現地の取材で感じたことは。
前田)それぞれの被災地で状況が違うのですが、南側の八代市や氷川町の被害が大きいと感じました。わたしが取材したイオンモール熊本は、熊本市内に近い嘉島町というところだったのですが、町のみなさんは、日常生活を送っている印象。ただ、コンビニには水やおにぎり、弁当などが欠品状態で入荷予定は未定となっていました。普段当たり前に手に入るものを手に入れることが難しかったです。ガソリンスタンドには渋滞が起き、交通状況も読めない。地域の人々はストレスを感じているようすでした。
西村)前田春香アナウンサーのリポートでした。どうもありがとうございました。
前田)ありがとうございました。
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西村)ここからは、熊本県益城町に住む熊本地震の語り部、永田忠幸さんにお話を聞きます。
永田)よろしくお願いします。
西村)益城町は、熊本県の中央北寄りに位置しています。先週の地震では、震度6強の強い揺れを観測しました。永田さんは地震が起きた7月28日午後4時27分頃どこで何をしていましたか。
永田)語り部ガイドをした直後で、10年前の熊本地震でできた断層の近くにいました。揺れの前に警報が鳴り、車に手をついて身構えていたので、10年前のように立っていられないほどではなかったのですが、横揺れがすごかったです。
西村)揺れの長さ、時間はどれぐらいでしたか。
永田)揺れていた時間は数秒ですが、体感的には長く感じました。
西村)10年前の熊本地震では、益城町で震度7を観測しました。今回は震度6強でしたが、揺れの違いはありましたか。
永田)10年前は体の自由がまったくきかなかったのですが、今回は揺れは酷かったですが、なんとか体の自由はききました。
西村)怪我はなかったですか。
永田)怪我はなかったです。
西村)地震の後、永田さんはどうしましたか。
永田)地震の後は家に帰って状況を確認し、すぐ消防団の活動に移りました。
西村)どんな活動をしたのですか。
永田)当日は、周りの状況が全く分からなかったので、地元の消防団の仲間たちと地域の被害状況を確認し、住民に声をかけて回りました。
西村)益城町の建物の被害はどうでしたか。
永田)建物の被害はそこまで見受けられなかったです。神社の石灯籠が倒れているのは見ました。
西村)みなさん家の外に出ていたのですか。
永田)わたしが回っていたときは外に出ている人はいませんでした。直後はみなさん道路に出て、不安そうに隣近所の人と話しをしていました。わたしは「大丈夫でしたか?」と声かけながら、車の中から話をしました。「手伝ってほしい」と声をかけられることは、今回はなかったです。
西村)現在の電気・水道・ガスの状況についておしえてください。
永田)益城町は、停電・断水している場所が少しあります。
西村)町内でもライフラインの状況が違うのですね。停電・断水している地域のみなさんはどうしているのですか。
永田)今回は2箇所ある避難に避難している人たちが多いと思います。
西村)10年前の熊本地震の時は車中泊をしている人が多かったですが、今回はどうですか。
永田)家屋の被害は少ないのですが、今回も余震が多いので、家の中にいるのが不安で、車の中で過ごしている人が多いです。
西村)余震はどんなようすですか。
永田)家の中にいるとミシミシと音が出る余震が夜中に数回あるので、ビクっとしますが、今のところは平常心を保って過ごせています。
西村)避難している人たちの食事についておしえてください。
永田)カロリーメイトやゼリーなどで過ごしている人も一定数います。
西村)今後は、どのような支援が必要だと思いますか。
永田)10年前との違いは暑さです。昼間の暑さは異常なので、暑さに関しての支援が大事だと思います。
西村)暑い中の活動が続きますが、熱中症に気を付けて過ごしてくださいね。大変な中、どうもありがとうございました。
2026年7月26日(日)
第1556回「べネズエラ地震1か月 現地の状況」
オンライン:国際NGO ジャパン・プラットフォーム 樋口博昭さん
西村)6月24日に南米・ベネズエラで発生した地震から1ヶ月が経過しました。亡くなった人は5000人以上とも報じられています。今はどのような状況になのでしょうか。現地で支援活動に当たったジャパン・プラットフォームの樋口博昭さんに聞きます。
樋口)よろしくお願いいたします。
西村)ジャパン・プラットフォームはどのような団体ですか。
樋口)ジャパン・プラットフォームは、自然災害や紛争など、国内外を問わず支援が必要とする人々に迅速かつ効果的な支援を届けるNGOです。
西村)先月24日、現地時間の夕方6時ごろ、首都カラカスから西に約160km離れた場所でマグニチュード7を超える地震が1分足らずの間に2回も発生しました。亡くなった人は5000人以上、行方不明者は数万人規模に上るとみられています。今も多くの人が避難生活を続けています。樋口さんは、いつ頃からどこへ行きましたか。
樋口)7月1日に日本を出発し、10日までの10日間、ベネズエラに行ってきました。
西村)地震が発生した1週間後ですね。ベネズエラのどのあたりですか。
樋口)今回被害があった首都カラカスに行きました。
西村)カラカスは震源地から東におよそ160km離れた場所ですね。カラカスはどんな街ですか。
樋口)首都なので人口が密集しています。震源地から160km離れた場所ですが局地的に建物が倒壊していました。
西村)地震が起きたのが現地時間の夕方6時頃。夕食時でしょうか。
樋口)夕方6時に地震が起きたので、救助活動が遅れてしまいました。学校の倒壊もあったのですが、夕方6時は児童が既に帰宅していたので被害を免れたことは良かった点です。
西村)夕食時に大きな地震が1分足らずの間に2回も発生。最初がM7.2、その後さらに大きなM7.5の地震が起きました。その時のようすについて、被災者は何か話をしていましたか。
樋口)みなさん口をそろえて言っていたのが、もうとにかくびっくりしたということ。動けなかったと。立て続けに2回のM7の地震が起きて、「何が起きたかわからなかった」と言っていました。
西村)地震に対する備えはあったのでしょうか。
樋口)ほとんどないと思います。ベネズエラでもときどき地震は起こっています。ただ、大きな地震がここしばらくなかった。1967年に大きな地震があり、約300人が亡くなりました。その後も何回かありましたが、甚大な被害は出ておらず、地震に対しての備えはあまりしていない印象です。
西村)日本のように、大きな揺れが起こったときの行動について、あまり教育されていないのですか。
樋口)ないと思います。
西村)建物はどのような状態ですか。
樋口)背の高いビルが倒壊しています。傾いているのが目に見て明らかにわかるビルもあります。
西村)現地の写真を見ていますが、ビルが完全に倒壊しています。がれきだらけになっています。海沿いでしょうか。
樋口)局地的な地震で、被害が多かった海側の建物は、砂の上に建っているので100%倒壊していました。
西村)砂地だから地盤が弱いのですか。
樋口)それもあると思います。
西村)海沿いということはリゾート地でしょうか?
樋口)一部リゾート地もあります。しかし、隣のビルがほぼ無傷で建っているというところもあります。
西村)一本道を挟んだ5階建てのマンションがしっかりと建っていますね。
樋口)これが今回の地震の特徴。道一つ挟んだ場所では、無事なビルもありました。かなり局地的な地震だったと言われています。
西村)1~2階部分の柱が倒れて、空洞になっている5階建ての建物は、瓦礫がたくさん散乱して、土台の部分が崩れそうで怖いですね。
樋口)このようなビルがほとんど手つかずのままで撤去作業ができない状況。いつ倒れるかわからないので、放置している状況です。
西村)この写真の場所は地面が砂ではないですね。どんな場所に建っているのでしょうか。
樋口)これは岩の上に建っています。
西村)土台の違いで被害の大きさが変わるのでしょうか。
樋口)ほとんど無傷で残っている民家もあるけど、道を1本挟んだビルはほぼ倒壊しているという状況が多々見受けられました。
西村)行方不明者が数万人規模に上ると見られていますが、捜索活動は行われているのでしょうか。
樋口)世界各国から救助隊が駆けつけて、最初の2~3週間は救助活動を行っていました。倒壊しそうなビル、倒壊しているビルで人命救助をするのが非常に難しかったです。
西村)なぜですか。
樋口)建物が倒壊しそうなので重機が使えないんです。人がいるかどうか確認するのも一つ一つ手作業なので、人命救助が遅れました。
西村)さらに倒壊するかも知れないから重機が使えないのですか。
樋口)はい。倒壊しそうな建物の前を車で通ることは禁止されました。車の振動で建物が倒れるかもしれないからです。
西村)手作業での作業は難しいですし、時間もかかりますよね。
樋口)今後の課題の一つです。重機がそもそも少なく、どこまで瓦礫の撤去を行うのか。重機を使うとご遺体も傷つけてしまう。家族はご遺体を取り戻したい気持ちがもちろんある。重機を使用する判断が難しいです。
西村)捜索活動の中で助かった命はありましたか。
樋口)4歳の子どもが助かったという話を聞きました。72時間までが救助の目安。それ以降は命に危険があります。8日目に助かった児童は瓦礫に下に挟まっていたのですが、お母さんとおばさんが4歳の子どもの上にかばうように被さっていました。その上にコンクリートのがれきが被さっていたのですが、4歳の子どもだけが生き残ったという状況でした。
西村)救助までの時間、どのように命をつないだのですか。
樋口)瓦礫の下に人がいるということはわかっていて、下手に重機を使えないので、人命救助のためにホースのようなものを瓦礫の間に通して、水などを提供していたそうです。
西村)避難状況について、住民はどのような場所でどんな暮らしを送っているのですか。
樋口)仮設住宅がほぼないので、各自小さなキャンプ用のテントを公園や路上に建てて、そこで暮らしています。
西村)現地の気温はどうですか。
樋口)ベネズエラは雨季に差し掛かっていて、雨が降っているときは比較的涼しいのですが、太陽が出ると非常に蒸し暑く、かなり厳しいテント生活という印象です。
西村)日本と比べてどうですか。
樋口)日本は避難所といえば、小学校の体育館をイメージすると思いますが、ベネズエラはそのような避難場所がないので、個人でテントを張ってどうにか生き延びています。
西村)食べ物はどうしているのですか。
樋口)地元の人の助け合いの精神が見られました。頼まなくてもほかの人が食料を持ってきてくれる。食料だけではなく、ミルクや衛生用品など、誰にも頼まれなくても避難者に配るという助け合いの精神が印象に残っています。
西村)みなさんで自分のできることをやって、命をつないでいるのですね。ライフラインの状況は?
樋口)建物が倒壊しているところでも、電気があるところはあります。でも住めないのでテント生活をしています。水道も壊れています。水はペットボトルの水などを支給されたものを飲んでいます。
西村)トイレはどうしていますか。
樋口)トイレも使えません。大きな避難所では、国連などが簡易トイレを設置しています。しかし小さな避難所には行き届いておらず、苦労しているようすでした。
西村)食べ物はどんなものを食べていますか。
樋口)避難者は簡易的なおかしなどを食べていますが、近所の人が手作りの食事を提供している姿もありました。
西村)樋口さんはどんな支援活動をしましたか。
樋口)加盟団体のピースウィンズ・ジャパン、災害人道医療支援会のHuMAがいち早く駆けつけました。次にグッドネーバーズ・ジャパンが駆けつけました。同行して国連の人々に状況を聞き、ほかの現地のNGOにどのような支援が必要なのか情報収集を行いました。
西村)被災者はどんなことが必要と話していましたか。
樋口)命をつなぐための食料、水、医療支援、衛生用品などの生活物資が足りていないとのことです。
西村)足りていないのですね。病気になっている人はいませんか。
樋口)地震で外傷を負った人は多数います。病院が機能しておらず、薬も足りていません。しかしすごいのは、助け合いの精神。食料など地元の人々が自発的に支援しています。それだけではなく、薬が足りないときは、個人が診療所に持寄付することも。助け合いの精神は力強いと感じました。
西村)仮設住宅がまだないという話もありました。今後どのような生活になっていきそうですか。
樋口)厳しい状況がしばらく続くと思います。ベネズエラは、経済的、政治的に混乱があるので、政府が仮設住宅を建てるという余力はないと思います。しばらくテント生活が続くと思います。
西村)まだまだ厳しい状況が続いていきそうですね。樋口さん、どうもありがとうございました。
2026年7月19日(日)
第1555回「赤ちゃん防災」
ゲスト:国際災害レスキューナース 辻直美さん
西村)大阪府茨木市のラジオネーム・備えあれば憂いなしさんから、こんなメッセージをいただきました。「去年10月に孫娘が産まれました。赤ん坊のための備蓄品は何をどれだけ準備しておいたら良いでしょうか」
きょうは、このメッセージにお答えします。ゲストは、国際災害レスキューナースの辻直美さんです。
辻)よろしくお願いいたします。
西村)赤ちゃんの防災は何から始めたら良いですか。
辻)赤ちゃんだけではないのですが、地震が起きたときには揺れで死なないこと、怪我をしないことが大切。そのためにできる対策は「床に物を置きっぱなしにしない」こと。
西村)我が家は今もおもちゃが散らかってそうです...。
辻)おもちゃが散らかっていたり、文房具があちこちに落ちていたりしたら、揺れたとき、踏んで足を怪我したら大変です。一日中片付けるのは無理なので、オススメは「寝る前リセット」。赤ちゃんや子どもがいておもちゃが多い家庭は、100均の蓋付きのボックスを買ってきて、その中に散らばっているおもちゃを全部入れてください。おもちゃだけではなく、テーブルの上に出しっぱなしになっている文房具も全部入れてください。入れたら蓋を閉めて寝ればOK。
西村)箱にポイポイと入れるだけだったら簡単ですね!
辻)10秒かからないです。ちょっと余裕があるなら、出かける前やご飯食べるときにも癖づけると、床に何もない状態ができます。
西村)理想的な状態ですね。
辻)赤ちゃんや子どもの目線と大人の目線は全然違う。危険なものが全く違います。落ちてきそうなものがないかを確認するのに一番いい方法は、スマホで動画を撮ること。子ども目線で動画や写真を撮るとよくわかります。家具や引き出しの固定も確実にやってください。山積みの絵本が落下して死亡した例もあるので、たくさん絵本がある場合は、落ちてこない場所に移動してください。
西村)本棚の上の隙間に押し込んでいます。
辻)中途半端に差し込むのではなく、入れるならギチギチに入れた方が良いです。落ちにくくなるので。子どもと一緒に寝ていると、お母さんお父さんは子どもを守ることができるけど、自分の体に落ちてきて怪我をしてしまったら、子どもを守れなくなります。地震のときの落ちる・倒れる・移動する・飛ぶという動きから守ってください。
西村)引き出しが飛び出て怪我をするということもありますね。
辻)引き出しロックや樹脂性の耐震版で家具を固定してください。突っ張り棒なども使って、家具が自分の方に倒れてこないようにしてください。
西村)大人だったら引き出しが飛び出しきても大丈夫と思うかもしれませんが...。
辻)子どもだったら顔に当たるかもしれません。撮った動画をテレビなどの大きな画面で見るとよくわかりますよ。
西村)自宅で避難生活をする場合、どんな備えが必要ですか。
辻)ライフラインがストップしたことを想定して、水や食料、災害トイレ1週間分を家族の人数分用意してください。赤ちゃんがいる場合は、お湯を使わずに飲める液体ミルクが便利です。缶や紙パックもあるので用意してください。
西村)水はどれぐらい備蓄したら良いですか。
辻)基本的に3L。1Lが生活用水で、2Lが飲食用。赤ちゃんそこまで飲まないけどうまく家族分に回しましょう。余裕があった方良いです。母乳で育てている場合は全然足りません。汗でほとんど出ていってしまうからです。液体ミルクがあると心の余裕になると思います。手持ちの哺乳瓶のアジャスターをつけて飲めるものもあります。環境が変わったり、ストレスがかかったりすると、いつもと同じ量の母乳が出るとは限らないからです。普段とは違うところで飲ませているから赤ちゃんがうまく飲んでくれないこともあり得ます。液体ミルクは常温保存もできるのでぜひ買っておきましょう。
西村)普段から液体ミルクも飲ませておくと備えになりそうですね。
辻)母乳のお母さんの場合は、1.5倍のカロリーが必要。充実した美味しい災害食も用意しておいてください。
西村)オススメはありますか。
辻)カレーがオススメ。ご当地カレーを買っておいたら良いと思います。近江牛とか神戸牛とかちょっと美味しいものを買っておく。災害食は塩分が多いので味が濃く、その分おしっこが出やすくなるので、水は多めに備蓄しておきましょう。オムツも必要。粉ミルク、お尻拭き、瓶詰めやレトルトパウチの離乳食も備蓄しておきましょう。
西村)ラジオネーム・備えあれば憂いなしさんのお孫さんは去年10月に生まれたとのことで、今ちょうど離乳食が始まる時期ですね。
辻)いざというときにレトルトの離乳食を食べられる子にもなるために、普段から手抜きでレトルト食品を使っておきましょう。その味に慣れておけば赤ちゃんにとって災害食もいつもの食事になります。意外と食べてくれますよ。
西村)普段の家庭での食事はもちろん、外出時に持っていくのも良いですね。瓶詰めやレトルトの離乳食もしっかりと備蓄をしておきましょう。
辻)子どもの場合、普段食べているお菓子、ジュースは排除しがち。大人は災害に対して、質素、倹約なんです。耐える、我慢する、最低限のもので...って。
西村)確かにそんなイメージがあります。
辻)エンタメがないと頑張れません。みんなが盛り上がるおかし、ゲーム、ジュース、常備できるパンなどを備蓄して、食べるエンタメを意識してみてください。長期保存できるものも普段から食べて慣れておきましょう。
西村)アクセサリーのおまけが付いたお菓子を娘のために防災袋に入れておこうかな?
辻)良いと思います。気持ちがアガるんだったら良いですよね!
西村)ほかに栄養面を考えて、備蓄しておくと良いものはありますか。
辻)わたしは、フリーズドライのスープや味噌汁を普段から買っています。楽に美味しい味噌汁が飲めるし、きちんと野菜も摂れます。無添加で1年間保存できる紙パックの野菜ジュースも常備しています。1日1本飲めば十分野菜が摂れます。
西村)それを毎日飲みつつ、ローリングストックしているのですね。
辻)いざとなったら温めてスープにもできるし、離乳食にも使えます。普段から食べているもので、災害食に転用できるものを探すのも楽しいですよ。いろいろ探してみてください。災害時に摂取しにくいミネラル、ビタミン、食物繊維が入った食品も探しておいてください。
西村)お気に入りを多めに購入して、ローリングストックをしましょう。家が被災して、避難所に行くときは何を持ち出したら良いですか。
辻)生活に必要なものは全部持っていかなければなりません。避難所は、床と屋根を貸してくれるだけ。避難所に行けば自分のものは全部用意されていると思うかもしれませんが、持っていった防災リュックで3日間を過ごすことになります。72時間分、生活に必要なものを持っていきます。水、食料、災害トイレ、灯り。灯りはヘッドライトやネックライトなど両手が空くものが良いです。場所によっては床に直接寝ないといけないので、トラベルピローも。体が冷えるかもしれないので、圧縮してバスタオルをいれておくのも良い。冬場に必ず使うのは、アルミのレスキューシート。体育館の床は冷たくてそのまま寝ると体温を奪われます。体が濡れている場合は、低体温症になってしまうので、アルミシートを使ってください。
西村)簡易トイレをするときや着替えの際の目隠しにもなりますね。
辻)旗のように振って、SOSするとヘリからはよく見えます。アルミシートは使い勝手が良いです。
西村)コンパクトにできますしね。
辻)5センチ角ぐらい。軽いし、カバンの中にいつも入れておいても邪魔になりません。
西村)どこで買ったら良いですか。
辻)100均に売っています。100均になかったらホームセンターへ。お値段で折り合いがつくものを買って、3回使って実証実験をして決めます。
西村)3回も実証実験をするんですか!?
辻)1回目はうまくいきません。でも失敗ではありません。2回目も失敗するかも知れない。でも3回目は自分のやり方でできると思います。その上で、コスパ、心地良さ、使いたいと思うかで決めます。買っただけではダメなんです。
西村)ドキッとしている人が多いのでは?わたしもそうです。
辻)防災グッズを買って終わりの人が多いんです。普段使っていないものは、災害時の絶対使えない。必ず3回使ってください。プチプラ価格ならチャレンジしやすいですよね。1000~2000円なら躊躇するけど100均で買えるものならすぐに買いに行くことができます。
西村)いろいろと入れてしまいそうになります。
辻)わたしは、食料、排泄、睡眠、医療、衛生、情報、エンタメとカテゴリーに分けて備えています。赤ちゃんや子どもは、移動するときに歩いてくれるとは限りません。ベビーカーは道がデコボコなって使えないことが多いです。抱っこ紐は絶対必要。腹帯でも代用できますが、わたしは、スリングがイチオシです。手軽で授乳ケープにもブランケットにもなる。汎用性があるので荷物が一つでも減ると思います。金具を取ったら長い布になるので、いろいろ使えると思います。
西村)ベビーカーがあった方が、ベビーベッド代わりに寝かせられるし...と思うお母さんもいるかも...。
辻)阪神・淡路大震災のときに宝塚に友人が住んでいて、助けに行ったとき、途中まで原付バイクで行ったのですが、すぐパンクして。そこから歩きましたが、道に亀裂が入り、隆起していて、あちらこちらに自転車などが捨ててありました。車も当然使えない。ベビーカーで通ることは難しいと思います。お母さんが落ち着かないと子どもって泣き止まないんです。どれだけ正しい抱っこをしてもお母さんの不安は赤ちゃんに伝わる。そんなときは、深呼吸をすること。深呼吸というと、まず吸うと思っているかもしれませんが、体がガチガチだと空気が入らないから浅い呼吸になる。まずは吐く。必ず吐いてから吸う深呼吸を3回してください。そのときに右手を胸に手を当てて、「大丈夫」と言ってください。
西村)言葉の魔法ですね!
辻)これで落ち着くので普段から旦那にイラッとしたときもこれをやってみて(笑)。子どもが水をこぼしたときも。成功体験を持っておくと、いざというときに深呼吸しただけで落ち着くからやってみてください。
西村)リスナーに伝えたい事はありますか。
辻)本当にいつ何が起こるかわかりません。30年間に数%の確率で地震が起こるということは、30年先に起きそうと思いますが。そんなことはない。今この瞬間に起きるかもしれない。
西村)最近もいろんなところで地震が起こっています。
辻)そんなときに安心して生活できるためには準備が必要。難しいことはしなくていい。100均に行って、蓋付きの箱を買ってきて、中にものを入れるだけでいい。「災害は怖いけど、防災はおもしろい」そう思ってやってみてください!
2026年7月12日(日)
第1554回「実体験を通して防災を学ぶ」
ゲスト:堺市総合防災センター 副所長 古川典央さん
西村)"あなたとあなたの大切な人を守るために"をコンセプトに開館した「堺市総合防災センター」。地震や火災などの災害を実際に体験しながら、防災を学ぶことができる人気の施設です。番組の子どもリポーター、中学生防災士の佐藤愛美さんが「堺市総合防災センター」へ取材に行ってくれました。そのようすをお聞きください。
音声・佐藤)ネットワーク1・17子どもリポーターの佐藤愛美です。中学3年生です。今日は堺市総合防災センターを取材させてもらいます。こんにちは。よろしくお願いします。
音声・古川)こんにちは。堺市総合防災センター副所長の古川です。
音声・佐藤)ここはどんな施設ですか。
音声・古川)2022年にオープンした防災体験型学習施設です。入館料は無料で、どなたでも防災に関する体験学習をしていただけます。消防隊の訓練施設が併設されているほか、大規模災害時には全国からの応援部隊の集結場所や備蓄支援物資の配送拠点にもなります。
音声・佐藤)ここではどんな体験ができるのですか。
音声・古川)地震体験や実際に炎を用いての消火体験、水圧ドアの開放体験、冠水路の歩行体験などさまざまな体験ができます。きょうはいろいろと体験して防災を学んでください。
西村)愛美さんが体験学習を始めようとしたところ、敷地内にサイレンが鳴り響きました。一体何があったのでしょうか。
音声)(サイレンの音)
音声・古川)今、救助出場の指令がかかりました。こちらの防災センターには、救助隊が常に待機していますので、現場出場の指令を受けて今から出場するところです。
音声・ディレクター)目の前で救助隊が出ていくようすを見てどうでしたか。
音声・佐藤)緊迫したムードで、命を救うということの大切さがわかりました。
西村)消防の救助隊が出場するサイレンだったのですね。きょうは愛美さんに説明をしてくれた堺市総合防災センターの副所長、古川典央さんにスタジオに来てもらいました。
古川)よろしくお願いいたします。
西村)総合防災センターの敷地内に消防署があるのですか。
古川)敷地内には災害活動支援棟という建物があり、救助隊が常駐しています。救助出場がかかれば、現場に出場します。防災センターでイベントを開催しているときに出場することもあります。訓練施設も併設されているので、タイミングが合えば実際の訓練のようすも見ることができます。
西村)ぜひ見てみたいです。この日、愛美さんは水害に関する体験学習をしました。そのようすをお聞きください。
音声・佐藤)ここではどんな体験ができるのですか。
音声・古川)こちらでは水害に関する体験ができます。初めに浸水時のドアの開放体験をしてもらいます。その後、冠水路の歩行体験をしてもらいます。
音声・ディレクター)浸水時にドアの開閉をしたことがありますか。
音声・佐藤)ないです。浸水をまず体験したことがないので。はじめてです。
音声・ディレクター)どんな感じだとイメージしますか。
音声・佐藤)水圧がすごいと思うので、ドアは開けられないと思います。
音声・古川)水の中に入るので、胴長という長い長靴のようなものを履いてもらいます。それでは着替えてください。
西村)胸元まであるゴム製の防水ブーツを履いて、準備が整った愛美さん。水害体験は、水を使うので屋外で行います。屋外に設置されたドアの向こうには浸水時を想定して、水深60cmの水が張られています。ここからの説明は、東日本大震災など、実際の被災地で支援活動を行ってきた堺市消防局OBの金銅稔夫さんが担当しました。
音声・金銅)金銅と申します。よろしくお願いします。風水害が起こったときに川が氾濫したり、大雨が降ったりして、扉の外に水が溜まっています。どれぐらいの深さで扉を開けることができるでしょうか。どうしたら一番安全に避難できるでしょうか。水圧ドア体験をしてもらいます。ここにノブがあります。回したまま持って押してください。
音声・佐藤)わかりました。
音声・金銅)水深は60cm。扉には約150kgの圧力がかかっています。肩も使って押してみて。
音声・佐藤)(扉を押す)ううう~!かなり重たいです!
音声・金銅)ちょっと無理かな。ノブを回して少し空いたときに手を間に詰めると、指が潰れてしまうので気をつけてください。絶対ここを離さないで。60cmが無理だったので50cmに下げてみましょう。
音声・佐藤)60cmは膝と腰の間ぐらいの深さでした。重たくて開く気配がなかったです...。
音声・金銅)それでは水深50cmに挑戦してみましょう。
音声・佐藤)ではやっていきます!押します。(扉を押す)う~ん!
音声・金銅)頑張って!
音声・佐藤)かなり重たい!さっきとあまり変わってないです。
音声・金銅)50cmでも圧力は100kgぐらいかかっています。もう少し下げてみましょう。次は40cmです。
音声・佐藤)行きます!せーの!!(扉を押す)
音声・金銅)頑張って!
音声・佐藤)ちょっと揺れてる...。いや、無理ですね...。
音声・金銅)次は30cmいってみましょう!30cmでどのぐらいの圧力がかかってると思う?
音声・佐藤)40kgくらいですか?
音声・金銅)37kgくらいです。では、開けてみましょう。
音声・佐藤)いけるかな!?3・2・1!うわー!開きました!重たいです!よかったです。
音声・金銅)水圧がかかっているときに開けて出ることができても、外は水だらけ。水が溜まる前に早く避難をすることが一番重要です。
音声・佐藤)災害が起こったときは、水だけではなく、石とか木も流れてくると思います。
音声・金銅)大正解!通常の大雨でマンホールが吹き上がった時などは、泥はありませんが、河川氾濫、土砂災害では水の中に石や泥、砂がいっぱいあります。きょうは水深30cmで開いたけれど、10cmでも開かない場合があります。事前に国の情報をしっかり確認して早めの避難をしてください。
西村)愛美さんの声からもかなり重いことが伝わってきました。やっと開いても、そのあとが怖いですね。早めの避難が大切です。さて、続いて愛美さんは冠水した道路の歩行体験に挑戦しました。水深30cmの水を張ったプールに水流を起こし、その中を歩いていきます。
音声・佐藤)このプールではどんな体験ができるのですか。
音声・金銅)ここでは、水が速く流れているところを実際に歩いて、どのぐらいの抵抗があるのかを体験してもらいます。プールの大きさは2m50cm✕3m50cmぐらい。深さは30cm。今は緩めの流れにしています。この傘を杖代わりにして、右手は横の柵を持って、歩いてもらいます。最後に流れを強くしますよ。大丈夫ですか?では体験してみましょう。
音声・佐藤)水は、膝下ぐらいの高さです。入ります!よいしょ!水圧がものすごくて、すごい水圧で足がかなり重たい。傘を左手で持っているんですけど、傘が流されそうなくらい水流がすごい!すごいです!肩のとこから力を入れないと流れていってしまいそう...。今は手すりがあるけど、災害が起こったときは手すりもないので、これはかなり心配です。
音声・金銅)もっと速い流れに変えます。では1回出ましょう。時速6kmぐらい。
音声・佐藤)6kmですか!では入ります。入りました!これは...流されます!左側にペットボトルが流れているんですけど、先ほどよりかなり早いスピードで回っています。足がもう痛いです。
音声・金銅)川が氾濫したらすごい流れになりますよ。それも濁流で石とか泥も一緒に流れてきますよ。では、反対を向いて!今度は後ろから流れがきます!頑張って!
音声・佐藤)もう歩けません!流れが逆になったら、一気に歩けなくなります。
音声・ディレクター)前から来る流れと後ろから来る流れとはどう違いましたか。
音声・佐藤)後ろからの流れの方が、勢いがすごくて歩けないほどです。
音声・ディレクター)こんな流れの中、避難できると思いますか。
音声・佐藤)できないですね。
音声・金銅)10cmぐらいでも流されてしまいます。こうなる前に早い避難を心がけてください。
音声・ディレクター)水害に関する意識は変わりましたか。
音声・佐藤)災害時は手すりもないし、歩くのも大変。家族みんなで協力して、早め早めの行動をして、避難所へ向かいたいと思いました。
西村)これらの水害体験で子どもたちにどんなことを学んでほしいですか。
古川)台風や豪雨のときは、早めに避難することが大切ということ。全国的にも台風や豪雨による川の氾濫や道路の冠水、住宅の浸水といった水害が発生しています。ここでの体験を通じて、流れている水の怖さや冠水時の歩行の難しさ、浸水したらドアが開かなくなることを体感し、浸水してからでは避難することが難しいこと、早めに避難することの大切さを学んでほしいです。
西村)この水害体験には年齢制限はありますか。
古川)水害体験は、中学生以上で5~20人までで予約を受け付けています。屋外で行うため安全を考慮して、雨天時は中止となります。
西村)水害の体験以外にもさまざまな体験学習ができるんですよね。
古川)大きなモニター映像を見ながら、実際の地震の揺れを体験できます。直下型地震と海溝型地震の揺れを再現しています。
西村)こちらも中学生防災士の愛美さんが体験リポートをしてくれました。そのようすをお聞きください。
音声・金銅)地震の最大級の揺れを体験してもらおうと思います。7分間の間に大きな揺れが2回きます。揺れる前に前のバーをしっかり持って、足は肩幅に開いて、お腹を打たないようにしっかり両手で押さえてください。大丈夫ですか?揺れますよ。
(震度7の揺れ)
音声・佐藤)揺れてきました。大変です!え!言葉が出ません。何が起こったんですか!
(海溝型地震の揺れ)
音声・佐藤)だんだん揺れてきました!これ大変です!前の映像では、家の家具がなにもないです...。助けてください!震度ってどれくらいですか。
音声・金銅)初めの大きな揺れは直下型。堺市にも上町断層が通っていて、その断層がずれると、震度7の揺れがおこります。2回目の揺れは横ゆれが多かったと思います。海溝型地震です。南海トラフが揺れると大阪府全域で、震度6弱の揺れがおこります。その強さを体験してもらいました。どうでしたか?
音声・佐藤)立つことすらできなかったです。今は前に棒があったけど、いざというときはバランスを取ることができないと思う。怖い!
音声・ディレクター)直下型地震と海溝型地震の揺れの大きな違いは?
音声・金銅)直下型は突き上げるようなドーンという揺れが来ます。海溝型は遠い海の中で揺れているので全体がグラグラと揺れます。横揺れが大きいです。海溝型は事前に携帯が鳴ったらわかりますが、直下型は携帯が鳴るより先に揺れが来るときがあるので注意してくさい。
音声・佐藤)改めて、家具の固定をやらなければならないと思いました。
音声・金銅)家具の転倒防止、家の耐震診断などをするきっかけになれば。大きな揺れがあったら、上から物が落ちてこないところでしっかり自分の身を守りましょう。家だったら、柱があるところ、出口に近いところ、上から物が落ちてこないところでしっかり自分の身を守ってください。
西村)直下型と海溝型と2種類の地震を体験できるのですね。わたしも家族でぜひ体験に行きたいです。体験学習には予約は必要ですか。
古川)防災の基本を学ぶ真・体験コースや、幼稚園。保育園児向けのキッズコースなどは、コースに空きがあれば飛び込みでも参加可能です。予約は必須ではないですが、電話で予約すると安心。ほかにも、火災や救出・救助など、災害の種類に応じた体験コースもあります。事前に予約が必要なコースや、年齢や身長によって体験できるコースが異なるので、ホームページでご確認ください。風水害は地震とは異なって発生を予測することができる災害。浸水が予想される地域はハザードマップなどで確認することができます。お住まいの地域を事前に確認して準備しておくことが大切です。堺市総合防災センターでは、ツアー形式の体験により、防災を学ぶことができます。ぜひ一度ご来館いただき、防災を学んで、災害に備えてください。
西村)子どもリポーターの佐藤愛美さん、副所長の古川典央さん、どうもありがとうございました。
2026年7月 5日(日)
第1553回「薬剤師に聞く 熱中症対策」
ゲスト:MBS気象予報士 薬剤師 林保捺美さん
西村)連日、暑い日が続いています。
きょうは、MBS気象予報士で、薬剤師の資格も持つ林保捺美さんに熱中症対策について聞きます。
林)よろしくお願いします。
西村)今年の夏もやっぱり暑いですか。
林)はい。今年の夏も猛暑となりそうです。先日発表された3ヶ月予報によりますと、7・8月の近畿地方の気温は、平年よりも高くなる見通しです。35℃を超える日も多く、熱中症に警戒が必要。今年の6月は、台風や梅雨前線の影響で、雨の日が多かったですよね。過ごしやすいと感じませんでしたか?
西村)半袖ではちょっと寒い日もありましたね。だから今年の夏は涼しいのかな?と思っていたんですけど...。
林)去年は6月末には梅雨明けして猛暑となり、かなり暑い夏でした。今年は、6月が比較的涼しかったので、急に暑くなると熱中症リスクが高まります。今週後半から気温が上がりそうです。最高気温35℃超えの猛暑日のところも出てきそうです。最低気温も25℃を下回らない熱帯夜になりそうです。
西村)寝るときも気をつけないといけないですね。
林)夜間の熱中症にも警戒が必要。暑さに慣れていないのに急に暑くなると、熱中症で搬送される人が多くなります。暑熱順化ができていないと暑さの負担が大きくなるので、暑さに強い体作りをしましょう。入浴、軽い運動をして、今週後半の暑さに気をつけてください。
西村)最高気温40度以上の日に酷暑日という名前がつきました。今年は酷暑日もありそうですか。
林)去年の夏は、日本の歴代最高気温が更新されました。群馬県・伊勢崎市で41.8度、近畿地方でも兵庫県・丹波市貝原で41.2℃を観測しました。全国では30地点ほどが40℃超えに。今年は、去年ほどの猛暑にはなりにくいと見ていますが、35度超えは多くなります。内陸部で局地的に40℃超えになるところは出てきそう。
西村)大阪でも40℃超える日はありそうですか。
林)大阪ではないかもしれませんが、盆地や内陸の地域ではあるかもしれません。
西村)気をつけないといけないですね。林さんは薬剤師の資格をお持ちです。特に熱中症に気をつけて欲しい人はどんな人ですか。
林)まず一番は高齢者です。高齢者は体の水分量が少なく、暑さや喉の渇きを感じにくいです。高齢者は、家でエアコンをつけずに熱中症になる人が多いです。エアコンつけて、水分をしっかりとるように呼びかけてあげましょう。子どもも熱中症になりやすいです。子どもは、体温を調節する機能が未発達。大人と比べて身長が低いので、地面からの照り返しを受け、体温が上がりやすいです。
西村)ベビーカーに乗っている赤ちゃんは暑さが心配です。
林)子どもは、なかなか自分で熱中症の症状を説明できないので、気をつけてください。寝不足の人も要注意。脱水症状になりやすく、熱中症のリスクが高まります。二日酔いの人も気をつけてください。普段、健康に過ごしていても急に熱中症になることがあります。
西村)ビールが美味しい季節になってきたので、ビアガーデンに行く人も多いと思います。
林)アルコールをとるときは、水分もしっかりとるようにしてください。肥満体質の人は、熱を放出しにくいので気をつけください。心臓病や腎臓病などの持病のある人は、水分のバランスが取りにくいので、特に気をつけてほしいです。
西村)病気の兼ね合いで、水分の摂取量が決まっている人もいると思いますが、範囲内で水分を取って、熱中症にならないように気をつけましょう。薬剤師の林さんがおすすめする熱中症対策についても教えてください。
林)一番大切なのは、正しい水分補給の仕方を知ること。水分補給と言えば、スポーツドリンクを飲めば良いと思いますよね。経口補水液とスポーツドリンク、飲み方の違いを知っていますか。
西村)違うのですか!?
林)経口補水液とスポーツドリンクは、塩分とブドウ糖の濃度が異なります。熱中症で脱水になると、水分と同時に塩分も出てしまうので、塩分の補給が必要。スポーツドリンクは、経口補水液に比べて塩分が少ない代わりに糖分が高くなっているので、運動時などに疲れたときのエネルギー補給として良い飲み物です。一方、熱中症になったときに適しているのは経口補水液。体の中で効率よく水分を吸収するには、糖分と塩分が必要ですが、経口補水液は、それを十分な濃度で兼ね備えています。経口補水液は、スポーツドリンクと比べて、塩分濃度が十分に高く、失われた水分と電解質を補給できるので、熱中症のときは経口補水液をおすすめします。
西村)普段は何を飲んだら良いですか。
林)普段は、水か麦茶で十分。きっちり3食の食事をとることが大切です。食事から水分を補うことができます。しっかり食事をして、2~3時間に1度、水や麦茶を飲んでください。
西村)麦茶はどんなところが良いのですか。
林)麦茶はミネラルが豊富に含まれています。カフェインも入っていないので、利尿作用が少ないです。お茶の中では麦茶がおすすめです。
西村)麦者なら乳幼児や幼いお子さんも飲むことができますね。整理すると、経口補水液は脱水状態になったときに飲む。スポーツドリンクは運動した後に飲む。普段は3食しっかり食べて栄養を取った上で、麦茶がベストということですね。ほかにも林さんがおすすめする熱中症対策はありますか。
林)熱中症警戒アラートが夏によく発表されますよね。これは、熱中症を予防するために発表している情報。熱中症は気温が高ければ起こるわけではありません。気温と合わせて湿度、輻射熱(地面からの照り返しの熱)などを全部合わせた"暑さ指数"をもとに熱中症警戒アラートが発表されています。
西村)気温だけではないのですね。
林)湿度が高い状況では、汗が出にくく体に熱がこもりやすくなり、熱中症が起こりやすい。暑さ指数が33以上になると、熱中症警戒アラートが発表されます。熱中警戒アラートは、府県単位で発表されます。環境省の熱中症予防サイトでも確認できます。前日夜と当日朝に発表されるので、熱中症警戒アラートが発表された日は、いつも以上に熱中症対策を心がけてください。
西村)先ほど高齢者は暑さに気づきにくい、というお話がありました。熱中症警戒アラートを頼りに、しっかりと対策してほしいですね。
林)住んでいる地域の暑さ指数を確認して、熱中症警戒アラートが発表されているかを確認して、行動を変えてください。
西村)天気予報、環境省のサイト、天気のアプリで確認することができます。熱中症警戒アラートが発表された後は、どのように対策をしたら良いですか。
林)発表されたときはためらわずエアコンを使ってください。お昼はもちろん、夜間も使ってください。日中の疲れがたまって、夜に熱中症になることも。数時間後や翌日になることもあるので、部屋を涼しくしてください。こまめな水分・塩分補給を心がけて、体調が悪いときは無理をしない、外出を控えることも必要です。
西村)寝る前にもしっかり水分補給した方が良いですね。
林)寝ている間は、体外にかなり水分が出るので、寝る前に必ずコップ一杯の水を飲むようにしてください。
西村)暑すぎるときは、予定の変更も視野に入れましょう。元気だったとしても熱中症警戒アラートが出たら、なるべく家で過ごした方が良いかももしれないですね。
林)「手のひら冷却」は知っていますか?手のひらや足の裏や頬に「動静脈吻合」という血管があります。
西村)難しい言葉ですね。
林)別名AVA血管といいます。動脈と静脈を結ぶ血管の部位のことで、暑ければ血管が開いて、寒ければ血管が収縮することで、体の深部体温をコントロールします。動静脈吻合は、血流量が多いので、ここを冷やすと大量の冷えた血液が体内に戻って深部体温を効率よく冷やすことができるんです。熱中症のリスクが高まる夏場の屋外では、手を水につけたり、ペットボトルの水を持ったりすることで、効率よく体温を下げることができます。
西村)手のひらを冷やすだけなら簡単で良いですね。
林)でも冷やしすぎには注意が必要。冷やし過ぎると逆に血管が収縮して、血の巡りが悪くなるので、15℃ぐらいの水で冷やしてください。
西村)氷はやめておいた方が良いですか。
林)氷水ではなく、冷たい水が入ったペットボトルなどを運動の合間に握るだけで大丈夫です。熱中症の予防に役立ちますよ。
西村)しっかりと覚えておきましょう。対策をしていても暑すぎて熱中症になってしまうときもあるかもしれません。熱中症の初期症状はどんな症状ですか。
林)段階的におこります。まず初期は、めまい、立ちくらみ、足がつるなど、筋肉がこわばることも。中等度になると吐き気もおこります。
西村)その症状が出たらどうしたら良いですか。
林)初期症状が出たら、涼しいところに移動し、水分・塩分を補給してください。首の両側面、脇の下、足の付け根など太い血管が通っているところを冷やすと体温下がりやすいです。熱中症になったらとにかく冷やすこと。重症になると受け答えができなくなります。意識が朦朧として、まっすぐ歩くことができなくなります。
西村)熱中症で重症の人を見かけたらどうしたら良いですか。
林)喋りかけて意識がなかったら、すぐに救急車を呼んでください。可能な場合は、涼しい場所に移動して、体を冷やしてあげてください。
西村)冷たいペットボトルを握らせて、手のひらを冷やしてあげれば良いですね。
林)水をかけてあおいであげると涼しくなると思います。まず体温を下げることが第一です。救急車を呼んで体を冷やしてください。熱中症は、命に関わる大事な問題。これを機に、熱中症に対して対策をしっかり行ってください。生活習慣を整えることが一番大切。しっかり食事をとる、睡眠時間を確保することを心がけて過ごしてください。
西村)林さん、どうもありがとうございました
2026年6月28日(日)
第1552回「こんなときどうする?」
オンライン:気象予報士・防災士 千種ゆり子さん
西村)先月、「こんなときどうする!?大事典」というタイトルの本が発売されました。
きょうは、この本の自然災害の章を監修した気象予報士で防災士の千種ゆり子さんにお話を聞きます。
千種)よろしくお願いいたします。
西村)「こんなときどうする!?大事典」はどんな内容なんですか。
千種)子どもたちに自然災害や犯罪などの危険を知ってもらい、予防策や対処法をわかりやすく伝える本です。この本では、「水辺の危険」「山の危険」「自然災害の危険」「犯罪の危険」について、それぞれの専門家が解説。危険を回避するための方法を教えています。イラストもたくさん盛り込まれていて、漢字には全てルビが振ってあります。小学生の2人がクイズを解きながら学んでいくスタイルで、楽しみながら読むことができます。
西村)大人も楽しめそうですね。
千種)クイズのところだけ見ても面白いですよ。
西村)千種さんは、この本の「自然災害の危険」を監修したそうですね。
千種)わたしは気象予報士で防災士なので、地震・大雨・雷などいつどこで起こってもおかしくない自然災害について監修しました。いざというときにどう動けばいいのか、子どもの目線で自分や大切な家族の命を守る方法を伝えています。
西村)今の時期に伝えたい自然災害の危険といえば何でしょうか。
千種)これからの時期多くなる台風と雷です。台風は夏の時期に発生することが多く、今年は早めの6月から発生しています。台風や梅雨前線に伴って、雷も発生するので、これから注意が必要です。どちらも対応を間違えると命を落とすかもしれない危険な自然災害。逆に言うと、台風や雷にあったときにどうしたら良いのかを知っていると、命を守ることができます。
西村)それも大切な備えですね。
千種)まず知識を知る、身につけておくことが大切です。よく台風のニュースで風速という言葉を聞きますよね。この数字がどんな危険を表すのかわからない人も多いと思います。熱帯低気圧の中心付近の最大風速が17.2m以上になったものを台風といいます。風速20mでどれぐらいのことが起こると思いますか。
西村)結構、強くて速い風ですよね。
千種)風速20mでは、建物の屋根が飛んで、外壁が壊れる可能性があります。風速30mでは木造家屋が倒壊します。風速40mは家が完全に壊れてしまいます。風速30~40mになると外に出られません。
西村)風速20m以上になると、建物の屋根が飛んでしまうことを知っておくと、子どもたちも「今日は家にいよう」と予定を変更したときに納得してくれそう。
千種)風速20mでも看板が落ちてきたり、飛んできたりする可能性があるので、子どもにとっては危険です。
西村)台風の備えはどうしたら良いですか。
千種)まずは、台風の危険がいつ頃から出てくるのか、情報をチェックします。地震は事前予測が難しいですが、台風は事前に情報が出るので、こまめに情報をチェックすること。台風が近づいてきたときは、風が強くなってから対策をすると遅いので、台風が近づく前に家の周りの飛ばされそうなものは全て中に入れましょう。
西村)水遊びセットやプールを出しっぱなしにしている家もありそうです。
千種)三輪車や自転車はしっかり固定しましょう。
西村)塀の上のシーサーなどの置物も危険ですね。
千種)危ないですね。たまたまそこを通った人が危険な目に遭う可能性があります。不要不急の外出を控えることも大切。台風は風が強いイメージがあるかもしれませんが、雨も強く降る可能性があります。台風の中心から離れたところでも、台風に刺激されて強い雨が降ることもあるので、気象庁のホームページで情報を確認しつつ、レベル4として警戒が呼びかけられたらすぐに避難しましょう。
西村)ここ数日は、まさにこういう状況でしたね。
千種)このような情報が出た地域もあるかもしれません。今年から情報が変わって、レベル4大雨危険警報、レベル4土砂災害危険警報となりました。4という数字を覚えておいてください。停電する可能性もあるので、充電をフルにしておくことも必要。
西村)今年は台風が多いですか。
千種)今年は6月の時点で台風が接近しています。台風はこれからが本番で、10月ぐらいまで多くなるので、「こんなときどうする!?大事典」や気象情報などを見て、台風が来たらどんなふうに動くのかをシミュレーションしておくことが大切。
西村)夏場は雷も多いですよね。
千種)雷は突然鳴り出します。台風がなくても突然鳴り出すことも。子どもと公園で遊んでいるときに、ゴロゴロと雷の音が聞こえてきたらどうするか、この本の中で紹介しています。
西村)クイズもあるんですね。
千種)4択のクイズがあります。①地面に腹ばいになる、②頑丈な建物の中に避難、③木に登る、④軒下に隠れる。この中にひとつだけ正解があります。子ども向けのものなので、大人なら明らかに違うものがわかるかもしれません。正解は②頑丈な建物に避難。
西村)軒下に隠れるのはNGなんですね。
千種)軒下に隠れると、雷の電流が屋根や壁を伝わって、体に飛び移ることがあるので危険です。周りに何もなければそうするしかないかもしれませんが、なるべく早く音が聞こえた時点で、頑丈な建物の中に避難しましょう。鉄筋コンクリートの建物や車の中に避難してください。
西村)①地面に腹ばいになる、③木に登る はなぜダメなのですか。
千種)雷は、高いところに落ちるので、木に登ったら木に落ちてきた雷がそのまま体に伝わるので危険。雷は地面から人の体に伝わります。腹ばいになると地面に伝わる接地面が広くなり、雷が伝わりやすくなるので危険です。
西村)低い体勢になると安全だと思っていました。
千種)低い体勢を取るときのコツがあって「雷しゃがみ」といいます。本ではやり方を解説しています。低くなるのは正解なのですが、地面と自分の体の接地面を少なくすることが大事。足先は揃えて、つま先立ちになります。結構つらい体勢だと思います。
西村)今喋りながらやってみますね!足が不自由な方は難しいかもしれませんが、足が元気な人はややってみてください。しゃがんでみました。もう一度方法を教えてください。
千種)体育座りするイメージでしゃがんでみてください。お尻は地面につけないでください。
西村)うさぎ跳びの姿勢みたいですね。
千種)そうです。その姿勢でかかとを上げてください。
西村)はい。かかとを上げました。結構つらい...。
千種)結構きついですよね。それが一番地面と体の接地面が少ない状態。雷が近くに落ちると鼓膜が危険なので、耳をふさいでください。この姿勢が「雷しゃがみ」といいう姿勢です。本当に雷が近いときは、近くで大きな音がするのでわかると思います。広場の真ん中など周りに何もないときはこの姿勢を取るしかありません。近くに木や電柱があると、そこに落ちてきて、こちらに飛び移ってくる危険があるので、離れてください。周りに何もなければ、しゃがんでいても自分が一番高くなるので、雷が落ちる可能性があります。一番良いのは、建物の中に避難することなのですが、何もなければ木や電柱から5mぐらいは離れましょう。絶対に安全ではないのですが。
西村)「雷しゃがみ」はかなりつらいです。どれぐらいの時間この姿勢でいれば良いのでしょうか。
千種)その姿勢になってしまったら、雷の音が聞こえなくなるまではその状態でいてください。「30-30ルール」というものがあります。雷の光が見えてから、音がゴロゴロと鳴るまで30秒以上あれば安全。最後にゴロゴロと聞こえてから30分以上経っていたら雷雲が遠ざかったということになります。雷が遠ざかって、近くに頑丈な建物があるならすぐそこに移った方が良いです。しかし、一番はそのような状況を作らないことが一番大事。
西村)雨や台風は事前に予測ができるもの。天気が急変する空のサインありますね。
千種)「黒い雲が近づいてくる」「冷たい風が吹いてくる」「雷の音が聞こえる」が、積乱雲が近づくサイン。どれかひとつでもあてはまれば、外の遊びがやめて、家に帰る、頑丈な建物の中に入りましょう。
西村)そのサインを見逃さないようにすること。そもそも天気予報をチェックして、そのような危険がありそうなときは、不要不急の外出をやめて家にいましょう。
千種)雷の危険性は、あまり知られていない部分もあります。わかりやすくまとめているので、ぜひ「こんなときどうする!?大事典」を、手に取ってください。
西村)千種さん、どうもありがとうございました。
2026年6月21日(日)
第1551回「避難スイッチとは?」
オンライン:香川大学 准教授 竹之内健介さん
西村)台風や豪雨などの災害に見舞われた際、避難すべきかどうか、判断に迷うことがあるかもしれません。
きょうは、そんな避難の判断となる基準「避難スイッチ」を提唱する香川大学 准教授 竹之内健介さんにお話を聞きます。
竹之内)よろしくお願いいたします。
西村)「避難スイッチ」とはどんなスイッチですか。
竹之内)今年も大雨が降るシーズンとなり、先日も台風6号が日本にやってきました。みなさんは、避難について考えていますか。避難は大変ですし、いつ避難するか悩んでしまう人も多いと思います。「避難スイッチ」とは、避難のタイミングをあらかじめみんなで決めておくことです。
西村)なぜ必要なんでしょうか。
竹之内)日本では毎年各地で、大雨による災害が起きています。「まさかこんなことになるとは思わなかった」「こんなこと初めてだ」という言葉が多く聞かれます。危険度を理解していても、いざそのような状況になると「本当に危ないのかな」「本当に避難しないといけないのかな」と悩んでしまう人が多いと思います。前もって「避難スイッチ」を決めておくと、逃げ遅れを防ぐことができます。
西村)先日の台風6号で和歌山県に大雨が降り、大きな被害が出ましたね。
竹之内)新しい防災気象情報も始まり、今回の台風は注目されました。思ったより雨が降った地域、意外に大丈夫だった地域があるかと思います。台風は予測はされていても、危険度は毎回変わります。台風が来ることはわかっていたと思いますが、どんなことになるのか、どんな台風なのかを考えたかどうかが、大切なポイントになると思います。
西村)和歌山県で雨風を受けた人はもちろん、遠く離れた場所に住んでいたとしても、自分だったらどのタイミングで避難するのかを想像して知ることはとても大切ですね。避難指示が出ても避難しない人は多いのでしょうか。
竹之内)避難率数%という場合もあります。10~20%が多いです。特定の地域に対して出された避難指示では、避難率80~90%になるときもありますが、どこで災害が起きるかわからない状況だと避難率は低いですね。
西村)避難の判断となる「避難スイッチ」はどのように決めれば良いのでしょうか。
竹之内)大きく3つのポイントがあります。1つ目は、周りの様子や環境の変化。例えば、「普段見ている川が見たこともないような水量になっている」「裏山からいつもと違う音がする」などいつもと様子が違う場合は、避難を考える上で重要なタイミングになると思います。2つ目は周りの人からの呼びかけです。「近所の人が避難を始めている」「消防団やコミュニティの人々に声をかけられた」という状況は、重要な「避難スイッチ」になります。3つ目は行政からの避難指示を活用すること。土砂災害に関しては、山の様子がいつもと違う場合は、かなり危ない状況。土砂災害に備えている地域では、山から流れてくる水量、濁り具合を参考にしながら、みんなで声を掛け合って避難をしている地域もあります。
西村)みんなで声を掛け合うことは大切ですね。川を見に行きたくなる人もいるかもしれません。
竹之内)最近では、さまざまな技術を使った情報があります。川には、水位計がつけられていますし、カメラも性能が良くなっていて、夜間でも昼間のように見えるカメラがたくさん設置されています。川は見にいかずに、そのような情報を利用しましょう。最近ではスマホのアプリサービスなどを使って情報共有をしている地域もあります。
西村)近所の住民や消防団から声をかけられて逃げて、命が救われた例もありますか。
竹之内)先ほどの3つのポイントは、避難に成功した地域の人々を調査した結果です。この3つが、「避難スイッチ」として非常に重要。3つのポイントをうまくいかしながら、避難に成功している事例はたくさんあります。
西村)それはどこの地域ですか。
竹之内)メディアの報道では、被害があったところが着目されますが、いろんな方法でうまく避難できている事例も全国にあります。周りの環境の変化、周りからの呼び掛け、避難情報をうまく活用して避難していることがわかっています。西村さんならどの情報を一番参考にしますか。
西村)わたしは2です。ご近所さんや消防団の人に言われたら「逃げなきゃ!」と思います。
竹之内)周りの人から言われると、一緒に避難しようと思いますよね。一方、都市部では、周りの人と交流がない人も多く、周りからの呼びかけを「避難スイッチ」にすることが難しいかもしれません。そういう場合は、公的な情報を活用して、避難ルートを話し合っておきましょう。都市部は、ビルに囲まれているため、近くの川について知らないことも多い。自分の周りにどんな川があるのか、どんな危険があるのかを確認しておきましょう。それぞれの地域、コミュニティによって、自分なら何を「避難スイッチ」にすると一番いいのかを考えておいてください。
西村)どんな「避難スイッチ」がありますか。
竹之内)アナログですが川の石です。「ある石が隠れたらみんなで声かけをする」というルール作りをしてる地域もあります。みんなが知っているものを目印にするのは重要なポイントです。最近ではさまざまな観測技術が活用されています。川の浸水センサーが起動したら、「避難スイッチ」として避難を開始する地域もあります。
西村)地域ごとに取り組みの差があるのですね。
竹之内)一番重要なのは、外からの情報だけに頼るのではなく、自分たちの地域、家族では何を「避難スイッチ」とするのかをしっかりと考えることが大切です。ハザードマップで自分の住んでいる場所、地域の危険度、避難先を確認しておくことが一番重要です。
西村)避難する必要のある人は、散歩をしながら、周りを見つつ、避難場所まで歩いてみるのもいですね。
竹之内)非常に良いと思います。子どもと散歩して、川の様子を見ながら、「この川は大雨のとき、どんなふうになるのかな」と災害時をイメージしておくことも「避難スイッチ」の参考になると思います。
西村)我が家は小さい子どもがいたり、母が車椅子に乗っていたりするので、雨の中避難することを迷って、避難が夜中になってしまいそう。夜中に避難指示が出た場合、避難を始めても良いのでしょうか。
竹之内)避難指示が出るということは、行政から避難が求められている状況。かなり危険な状況なので、家庭でどうするかをしっかり考えておく必要があります。夜危ないのか、昼危ないのか。避難や準備に時間がかかる家庭もあると思います。状況に合わせで「避難スイッチ」も少し変えていくことが必要。最近では「明日までの警報等の見通し」といって、台風が来ているときに、どの時間に避難指示が出るのかをあらかじめ伝えてくれる新情報もあります。新たな防災気象情報だけではなく、そのような新しい情報もたくさんあるので、それらを活用してください。夜危なくなりそうだったら、早めに避難するなど、公的な情報をうまく活用して、3つのポイントをうまく組み合わせて考えてください。
西村)「明日までの警報等の見通し」はどこを見たらわかるのでしょうか。
竹之内)気象庁のホームページにあります。住んでいる地域の注意報や警報のページに書かれているので、ぜひ確認してみてください。
西村)気象庁のホームページを活用して、自治体からの情報も受け取って、「避難スイッチ」をみんなで決めていきましょう。竹之内さんどうもありがとうございました。
竹之内)これからの大雨シーズンなので、きょうは、家族で「避難スイッチ」について考えていただければと思います。
2026年6月14日(日)
第1550回「防災落語で災害に備える」
ゲスト:防災落語家 ゴスペル亭パウロさん
西村)きょうは、防災にまつわる知識を落語にして伝え続けている、アマチュア落語家のゴスペル亭パウロさんにスタジオにお越しいただきました。
パウロ)よろしくお願いいたします。
西村)ゴスペル亭パウロという高座名で、本名は小笠原浩一さんなんですね。なぜこの名前にしたのですか。
パウロ)わたしはクリスチャンです。聖書の中の話を落語にする"福音落語"をする落語家に露の五郎兵衛さんや福音亭パスタさんがいます。福音を英語に直すとゴスペル。パウロというのは、聖書の中で大活躍する人の名前。その人のような人生を歩みたくてつけた名前です。よく外国人と間違えられます。ただの和歌山の"おいやん"です(笑)。
西村)落語をはじめたきっかけは。
パウロ)キリスト教会ではよくクリスマスに劇をします。しかし、教会が移転することになって、劇をやるには狭くなってしまって。台本がいいので、それを落語にしたらどうかと、桂枝曾丸先生に教えていただいて始めました。
西村)なぜ、落語で防災を伝えようと思ったのですか。
パウロ)仕事はコープの職員だったので、災害対応もしていました。紀伊半島の大水害が起きたときに、物流センターでトラックに缶詰を1.5t積み込んで、被災地に運んだんです。現地の状況を見て、落語と防災を合体させた防災落語をやろうとイメージしました。南海トラフ巨大地震が起きるといわれていますが、何をどう準備したら良いのかわかりにくいですよね。落語で聞いて納得したら行動に移ります。行動に移してもらいたいので防災落語を作っています。
西村)その思いを桂枝曾丸師匠に伝えたのですか。
パウロ)「どうせやるんだったら、わたしが防災士の資格を取ったように、防災士の勉強をして、資格を取ってからやんなはれ」と言われました。
西村)桂枝曾丸さんも防災士の資格をとっていて、防災落語をしているのですね。全国で防災落語を披露しているパウロさんの落語をぜひ聞いてみたいです。よろしければ、今この場で一席お願いします。
パウロ)ぜひ!ありがとうございます。
西村)ゴスペル亭パウロさん、よろしくお願いいたします。
――大阪の茶屋町にございます小学校。3年生でありながら児童会の会長、そろばん検定3級、英語検定3級、書道検定3級、日本で一番早くに防災士の資格を取ったという定吉くん。定吉くんとお母さんとのやり取りからお話が始まります。
おかあちゃん、ただいま。
定ちゃん、おかえり。きょうはえらいあんた、学校終わるの早かったやないの。どないしたん?
きょうは、避難訓練やって早く帰ってきた。
あーそう。おかあちゃんもこの間、毎日放送のべっぴんさんの西村愛さんの番組でちょいと頭に入ったんやけど。あんたも日本で一番早く防災士の資格を取ったここら辺ではちょっと有名な子や。おかあちゃん、和歌山出身やから、ときどき和歌山弁出るんやけど。いろいろおかあちゃんも教えてもらいたいわ。
ほなおかあちゃんいくで、これな世界地図や。ここが日本。世界の総面積の0.25%しかないんやって。
ちょっと待って。0.25%ちっちゃいな。
せやけど、日本近海で起こるマグニチュード6以上の地震は、世界の約2割。2割は、日本近海で起こってんねんて。
ちょっと待って。なんでそんなんなってんの?
日本は4つのプレートの上にある。地球規模で、関西弁で言うと、"デポチン"や。4つのプレートの上にあるだけやないんやで。このプレートっていうのは海溝型や。駿河湾の方から九州の方までずっと海溝になってんねん。これを「南海トラフ」っていうんやけどな。この大陸からのプレート、フィリピン海のプレートが毎年沈み込んでいってんねん。これが100~150年経つと、ストレスがいっぱいになって、パーンと跳ね上がる。そしたら上が海やから、これが津波になる。これが「海溝型の地震」ちゅうこっちゃ。
それがいつ起こんの?
100~150年に一回起こる。前は昭和19年と21年に起こった「昭和南海大地震」や。その前は、濱口梧陵さんで有名な「安政の南海大地震」や。昭和21年ゆうたら、だいぶ前やろ?せやから、「地震が来る確率が上がってきてるから備えましょう」という時代に入ってる。
おかあちゃんも聞いたことあるんやけどな。地震の種類は2種類あるって。
そうそう。断層がずれる方もあんねん。阪神・淡路大震災や能登半島地震では、断層がずれた。能登では、後で調べたらまだわかってなかった2つの活断層があったって。日本には、活断層が2000個あるんやけど、まだわかってない活断層もあんねん。おかあちゃん、わかりやすく言うで。僕の顔見てや。
みるみる。
僕の顔が大阪や。
面白いことになってきたやないか。どういうこっちゃ?
右の眉毛の方から左の眉毛の方まで横にやると...これは有馬高槻断層や。
なるほど!
左の眉毛の上から耳の下までずっと行くやろ。これは生駒断層や。
なるほど!
反対側の大阪湾の方に行くやろ。これが上町断層や。大阪市内ずーといってる。顎の下の方行くやろ。これは中央構造線帯断層帯。
ちょっと待ってえな、定ちゃん。大阪は断層に囲まれてるっちゅうことか?
そういうこっちゃ。
だんだんおかあちゃん危機感わいてきたで。それ以外にも、北海道や九州には活火山もあるし。線状降水帯もあるし、台風もあるし、おかあちゃん何からどうしたらいいかわからんわ...。
ほな、おかあちゃん、今大きな地震が来たらどないする?
頭を机の下に隠す!
おかあちゃん、南海トラフ巨大地震やったら、大阪でも震度6弱。和歌山は震度7や。おかあちゃんのことや。「あーあー」言うてる間にモノがいっぱい降ってくる。
どないしたらええん?
タンスをL字型のやつで固定すんねん。釘打ってな。タンスはちょっと傾けて下に敷いとく。それから、テレビや冷蔵庫や洗濯機も後ろからチェーンで固定する。水屋には飛散防止シートを貼っとくんや。こういうふうなことをして、大きな地震が来たときに大きな被害にならんようにやっとこ。
なるほどな。家の中の総点検や。あんたのおばあちゃんは大きな地震が来たら「トイレに逃げろ」って言うたで。
梁がいっぱいあるからな。せやけど、おかあちゃん、出入口はいくつある?
1個。
家が傾いたら?
出れへん!どないしたらええ?
用たしてるときにガーッと揺れてきたら足でドアをポンっと蹴って。隙間ができるから、そっから逃げて。
お風呂入ってる時だったら、どないしたらええ?お母ちゃんハダカ...。
お風呂入ってる時に揺れたら、ドア蹴って湯船に入って、洗面器を頭にかぶって。首と頭を守ったら人間は生きていくことができる!
なるほど。あべのハルカスでエレベーター乗ってるときに揺れたら、どないしたらええ?
全ての階の番号を押して、止まったところから非常階段で降りて!
大阪やったら地下街がいっぱいあるやん。地震がきたらどないしたら...。
そんなときは大変や。停電なるからな。「火が出たぞ!地震や」って言うたら、みんながいっぺんに出入口に行くから、おかあちゃん、すぐに壁にパタってくっついて。煙きたらアカンから低い姿勢で、ハンカチで口を押さえて、一定間隔ごとに地上に上がるところがあるから、そこから上がって。
わかった。その場所その場所で最善を尽くすっちゅうことやな。
そういうこっちゃ。
――このようにして、雨の日も風の日も避難訓練を続けていきました。
おかあちゃん、ちょっと避難袋のチェックもしようか。どこにあんの?
この間、おしっこするとき降りてきて、足にあたって痛くて。タンスの角の奥の奥の奥の奥の奥に...。
そんなん、すぐ出せるかいな。
これや。どっこいしょ。重た!
何はいってんの。米びつ?
米いるやろ?
小袋に入れて?こっちも重たいな。おかあちゃん、何入ってんのこれ。
水2L×6本。長期保存水5年のやつ。
重いからおかしいな...思たわ。
これは必要。これは一丁目一番地や。乾パンな!
おかあちゃん、これえらい古いで。汚いで。賞味期限が昭和37年5月!64年前?
それおかあちゃんの結婚式の引き出物。
(笑)こういうのは、ところてん方式で食べていこう。そうやっていこう。
――そうやって避難訓練をして、備えていくことになりました。いざというときに、このような備えが必要でございます。今ちょっとだけお話させていただきましたが、またフルバージョン、どこかで聞いていただきたいと思います。
おかあちゃん、地震の話、とっても自信になったわ。
パウロ)ありがとうございました。短縮バージョンでした。
西村)思わず書き留めたくなる防災知識がたくさんありました。ありがとうございます。今の演目はどんな演目ですか。
パウロ)「今、南海地震きたらどないしょ?」です。
西村)ラジオでも表情が伝わったと思います。お顔にせんすをあてて、断層の説明をしてくれました。お風呂に入っているときに地震がきたら、洗面器で首と頭を守るということも。ローリングストックのことを"ところてん方式"と表現していたところがすごくわかりやすい!方言も使っていて、マクラでは、"茶屋町"を入れてくれて、わたしのことを"べっぴんさん"と言っていただいて...うれしい!ありがとうございます。落語の内容はどのように考えているんですか。
パウロ)南三陸町最大の避難所「平成の森」の連合会長さんからアドバイスをもらいました。
西村)東日本大震災の被災地に行ったのですね。
パウロ)自分たちが経験したことを南海トラフ巨大地震が来る関西の皆さんに落語で伝えて欲しいと。
西村)防災落語を聞いたお客さんはどんな反応でしたか。
パウロ)停電になったときに「懐中電灯あってよかったよ」と言われました。懐中電灯にスーパーの袋をかぶせたら光が広がります。やっぱり光は大事。真っ暗はつらい。ちょっとした明かりでも心がほっこりするものです。
西村)ほかにはどんな演目があるんですか。
パウロ)いくつかあります。「避難所でなるべくストレスのかからない過ごし方落語」。和歌山弁で"おいやん"(おっちゃん)同志はあまり良くない。「子どものときからお前嫌いや」と言ったり。女の人がいることが大事。女の人が「お父さんちょっとお茶飲んで話しましょう」って言ったら、ふわっとした雰囲気になる。女の人が大切です。男目線だけではあかん。着替える場所、トイレのことを考えるにしても女性が活躍できる避難所が大事です。
西村)おばちゃんがものを言える避難所が大事なんですね!それも被災地で聞いた話なんですか。
パウロ)はい。あとは「ペット防災落語」もやっていました。同行避難と同伴避難の違いわかりますか。同行避難は避難所まで犬猫を連れて行ける。同伴避難はペットと避難所で一緒に過ごすことはできない。避難所の運営によるんです。
西村)なぜ防災落語をずっと続けているのですか。
パウロ)初めてお会いする人ばかりですが、落語が終わったら、わたしの顔を見て、握手して「役に立ったよ」「ためになったよ」「久しぶりに笑ったよ」と言ってくれます。岡山の真備に行ったとき「あなたが来るからピンクの服を着てきたよ」という女性がいました。あれはうれしい。被災地では、亡くなった人がいるから、みんな毎日黒い服を着ています。落語を聞いて、心を明るく、笑ってほしいと思って活動しています。
西村)リスナーのみなさんに伝えたいことはありますか。
パウロ)備えがあれば心に余裕ができます。心に余裕ができたら行動できると思います。みなさん、非常食、避難経路などについては備えていると思うんですが、わたしが一番用意してもらいたいものはふたつ。ひとつはホイッスル。「助けて!」と叫ぶのは、限界が来ます。足をいろんなものに挟まれていたり、近くまで炎が来ていたりしたら大変。そんなとき、笛ならいつまでも吹くことができます。救助犬も耳がいいから助けに来てくれます。もうひとつはトイレ。被災地のトイレはラジオでは言えないような状況になります。仮設トイレが来るまで3~4日かかる。しかもすぐ満タンになります。年配の人は、トイレを我慢して飲み物を飲まなくなると体に良くない。
西村)南海トラフ巨大地震なら、もっと被害が大きいかもしれないからトイレが来るのも時間かかりますもんね。
パウロ)カバンの中には、あめちゃんと一緒に「非常用トイレ」を入れるようにしてください。
西村)ゴスペル亭パウロさん、どうもありがとうございました。
2026年6月 7日(日)
第1549回「『防災気象情報』各レベルの避難行動」
オンライン:備え・防災アドバイザー/ソナエルワークス代表 高荷智也さん
西村)先週、台風6号が上陸し、新たな防災気象情報が本格的に運用されました。和歌山県では5段階の警戒レベルで最も高い「レベル5 氾濫特別警報」が出ました。それぞれの警戒レベルでどんな避難行動をとれば良いのか。備え・防災アドバイザーで、ソナエルワークス代表の高荷智也さんに聞きます。
高荷)よろしくお願いいたします。
西村)なぜ、新たな防災気象情報が作られたのですか。
高荷)分かりにくかった情報をわかりやすくするためです。これまでは、それぞれの危険を促すカテゴリーごとにどのぐらい危ないのかが良くわからなかった。言葉が整理されていなかったり、該当する情報があったりなかったり。同じ特別警報でもレベル4相当のものもあれば、レベル5相当のものもありました。それを全て整理して、数字で横に並べてわかりやすくしたのが今回の改正です。
西村)どのように改正されたのですか。
高荷)気象庁から注意報や警報が発表されるときは、警戒レベルを表す数字が一緒に発表されるようになりました。具体的には、「レベル2注意報」、「レベル3警報」、新設された「レベル4危険警報」。そして一番危ないのは、「レベル5特別警報」。数字と言葉が全て1対1で横に並んだところが特徴です。
西村)災害の種類も伝えられるようになりましたね。
高荷)今回は4種類の体系別に分けられるようになりました。川の氾濫を知らせる河川氾濫情報、大雨に対する警戒を促す大雨情報、土砂災害の情報、海からの浸水に注意する高潮の情報です。河川氾濫・大雨・土砂災害・高潮の4種類の言葉にレベルをつけて発表されるようになったので、見た目は非常にわかりやすくなりました。
西村)新しい防災気象情報が先週の台風6号で本格的に運用されましたね。
高荷)気象庁からいろいろな情報がレベル付きで発表されました。確かにわかりやすくなったと思います。今までは、表を良く見なければ、どのぐらい危ないのかが判断できなかった。今回は「レベル4大雨危険警報」などと言葉を聞くだけで、危険な状況を理解できるようになりました。より実践的になったと思います。
西村)それぞれのレベルで具体的にどんな行動すれば良いのか教えてください。まず、「レベル1早期注意情報(白)」、「レベル2注意報(黄)」については、何か行動を起こした方が良いですか。
高荷)レベル1、レベル2は、わたしたち個人が警戒をする必要はありません。会社や学校の防災担当、防災に関わる人が確認する段階。わたしたちは、日頃から防災意識を高く持っておけば、あわてることはありません。
西村)家族で確認しておくことはありますか。
高荷)水害シーズンの前に、住んでいる町のハザードマップを見ておきましょう。自宅にとどまると危ない状況になったら、どこに逃げれば良いのか。避難する必要があるのか。ハザードマップの確認は平時に行ってください。実際に逃げるときには避難所に持っていく防災リュックの中身も点検しておきましょう。
西村)「レベル3警報(赤)」が出たらどのように行動したら良いですか。
高荷)ここからは、わたしたちの行動に関わってきます。「レベル3警報(赤)」「レベル4危険警報(紫)」「レベル5特別警報(黒)」は実際に避難をする段階です。「レベル3警報(赤)」が出たら、高齢者、赤ちゃんがいる家族、妊婦、車椅子に乗っている人、怪我をしている人など、避難に時間がかかる人で、命に危険が生じる可能性がある場所に住んでいる人は、早めに避難を始める。この警戒レベルに紐づく情報は、気象庁の新たな防災気象情報に加えて、もう1種類の情報があるんです。それは、みなさんがお住まいの自治体、市町村から発表される避難情報。これは、わたしたちに具体的に避難行動を促すための情報として発表されるものです。「レベル3警報(赤)」の場合は、「高齢者等避難」という名称の情報が市町村から発表されます。今回、気象庁の情報改編にあたって、理解してほしいことがあります。気象庁から発表される情報はあくまでも自然現象に関する評価ということ。大雨・高潮・土砂災害などの危険度を知らせるのが気象庁から発表される注意報や警報。それを受けて、避難の呼びかけをするのは、気象庁ではなく自治体です。気象庁から出てくる情報はあくまでも参考にして、自分が逃げるかどうかの判断は自治体から発表される避難情報を確認してください。「レベル3警報(赤)」の場合は、自治体から「高齢者等避難」が出たら早めに行動を始める、と覚えておいてください。2種類の発表元があることを知っておいてほしいです。
西村)自治体の情報も必ずチェックしておきましょう。このレベル3のときは車避難でも良いですか。
高荷)「高齢者等避難」の状況では、それほど雨風が強くなっていない可能性があるので、車やタクシーを使うなど、一番移動しやすい方法で避難をすれば大丈夫です。自治体等によっては、まだそれほど雨が強くなくても、雨風のピークが夜中になる場合、日が沈む前に早めに情報を出して、避難を促す場合もあります。
西村)「レベル4危険警報(紫)」が出たらどのように行動したら良いですか。
高荷)気象庁からは、「レベル4危険警報(紫)」という名称で発表されますが、実際に気にしてほしいのは、自治体から発表される「避難指示」という言葉。「避難指示」が出たら、「その場にとどまり続けると命に危険が生じる人は全員逃げて」という意味です。洪水で3m沈む、土砂災害の直撃を受ける場所に住んでいる人、一戸建てやマンションの低層階に住んでいる人は、その場にとどまると命に危険が生じるので「避難指示」が出たら逃げてください。一方、ハザードマップで色がついていても、マンションの高層階に住んでいて、自宅にとどまっていれば命に危険が生じない場合は、無理に避難所に逃げる必要はありません。その場にとどまることができるなら、「避難指示」が出ても自宅にとどまってください。ただ、停電・断水が起こる可能性はあるので、備蓄品の準備は必ず行っておきましょう。
西村)「我が家は大丈夫だろう」と思っていたら、実は危険な場所で、大雨の中避難しないといけなくなったら大変ですね。
高荷)大雨で道路が冠水している、崖が崩れ始めているなどの状況で逃げるのは本当に危ないです。命に危険が生じます。極力足元が沈む前に逃げて、早めに避難を完了してください。とはいえ、どうしても避難が遅れて、危ない状況の中、歩いて逃げなければいけない場合もあり得ます。そんなときは、装備品をきちんと身につけて逃げる準備をしてください。
西村)どんなものを準備しておくと良いですか。
高荷)足元が不安定な状況で避難をするときは、できるだけ両手を空けましょう。雨具は傘ではなく、両手が自由になるレインコート上下を身につける。両手が荷物でふさがってしまうと安全行動を取れなくなるので、リュックを背負って両手を自由にしましょう。どうしても夜中に逃げなければならない場合、懐中電灯を手に持つのではなく、ヘッドライト、ネックライトを使用して両手を自由にするのがポイント。開いた両手は、できれば片方の手に長い棒を持ってください。傘や杖、登山やスキー用のストック、カメラの一脚とか何でもいいので棒状のものを足元に突き出しながら歩いてください。マンホールの蓋が外れて穴が開いてないか、側溝がないか、道路と用水路の境界に注意してください。片方の手に棒を持って足元を確認しながら歩かなければ、穴に落ちて命を落とすことがあります。体が濡れたまま体を乾すことができなければ、夏でも凍死してしまう恐れがあります。袋に入れた着替えやタオルをたくさん持っておきましょう。
西村)もう一つ一番上の「レベル5特別警報(黒)」は、災害が発生している状態です。この情報が出たらどのように行動したら良いですか。
高荷)気象庁からは「レベル5特別警報(黒)」が出ます。自治体からは「緊急安全確保」という名前の情報が出ます。「緊急安全確保」の中には、「避難」という言葉が入っていません。文字通り、緊急に安全を確保する段階。どこかで災害が起こっている状態なので、迂闊に避難を始めると、命を落としてしまうかもしれません。家の中で一番高い場所、ベランダや屋根などによじ登る、レジャー用の浮き輪を膨らませて掴まる、明るい色の服を着る、ライトを振るなどして救助を待つ段階。「自分がいる場所で、最大限命を守る行動をとる」これがレベル5です。自治体から「緊急安全確保」が出たら、その場で情報収集をしながら、どのような行動をとれば命を守れるか、救助を待つことができるかを考える段階です。必ず「避難指示」が出たタイミングで避難をしておきましょう。
西村)改めてリスナーのみなさんに伝えたいことはありますか。
高荷)いきなりやってくる地震とは違い、水害は数日前、数時間前から情報が出続けます。逃げれば必ず命を守ることができます。近年起こっている水害の被害のほとんどは、ハザードマップ通りに起こっています。ハザードマップを見て危険な場所に住んでいる場合には、逃げろと言われたら逃げること。これで命を守ることができます。ためらわずに避難をしてほしいと思います。
西村)高荷さん、どうもありがとうございました。
2026年5月31日(日)
第1548回「今年の暑さと新しい防災気象情報」
ゲスト:MBS気象予報士 前田智宏さん
西村)気象庁は、最高気温が40℃以上の日の名称を「酷暑日(こくしょび)と新たに決定しました。また、先週から「新しい防災気象情報」の運用も始まりました。
きょうは、今年の暑さの傾向と、避難行動の判断材料となる「防災気象情報」について、MBS気象予報士 前田智宏さんに聞きます。
前田)よろしくお願いいたします。
西村)新たに「酷暑日」という呼び名が決定しました。なぜこの名前が必要になったのですか。
前田)近年、暑さが尋常ではないですよね。40度以上の著しい高温が毎年のように観測されています。去年は兵庫県・貝原、丹波市、京都府・福知山市でも40℃を上回り、「猛暑日」(35度以上)という基準では足りなくなってきたので、今回新たに「酷暑日」という新名称が決まりました。
西村)「猛暑日」という名称はいつ頃からあるのですか。
前田)「猛暑日」は2007年に予報用語として決まりました。気候変動や都市化の影響で、35度以上の高温を表現する言葉が必要になったんです。その年の新語・流行語のトップテンにも入りました。それから20年足らずで、さらに上のランクの言葉を作らないといけなくなりました。
西村)どんどん暑さが加速しているのですね。今回、どのように「酷暑日」という名前が決まったのですか。
前田)名称募集のアンケートが行われました。みなさんの意見を広く集めようということで、13の案の中から「酷暑日」が選ばれました。ほかには「激暑日」「超猛暑日」「サウナ日」といった案もありました。
西村)サウナ日...!蒸し暑いですものね。
前田)「自宅待機日」という行動と結びつけた名称もありました。結果的に専門家の意見も踏まえて総合的に判断した結果、「酷暑日」という名前に決まりました。
西村)一般公募をすることで普段の会話にも出てきやすくなりますね。
前田)みなさんの暑さに対する警戒を一つ高めるきっかけになれば。まとめると、
最高気温25℃以上=夏日(なつび)
最高気温30℃以上=真夏日(まなつび)
最高気温35℃以上=猛暑日(もうしょび)
最高気温40℃以上=酷暑日(こくしょび)
です。また、最低気温が25℃以上=熱帯夜と呼ばれます。最低気温が30℃以上の日も増えてきているので、"スーパー熱帯夜"という言葉も必要になるかも。
西村)やはり今年の夏も暑いのですか...。
前田)猛暑になりそうです。今年はエルニーニョ現象が発生する見通しもあります。エルニーニョ現象が起きると、一般的に日本は冷夏になりやすいのですが、今年は、エルニーニョ現象が起きても猛暑になりそうです。
西村)それはなぜですか。
前田)地球温暖化が進んでいるので、ベースの気温自体が高くなっているからです。エルニーニョ現象だけではなく、海水温の影響も受けるので、エルニーニョ=冷夏という公式は当てはまりません。気象庁も6~8月の気温は、全国的に平年より高くなると発表しています。
西村)早め早めの暑さ対策が必要ですね。
前田)前倒しで暑さが来ています。兵庫県・豊岡で、史上初めて5月に35℃以上の猛暑日が観測されました。
西村)熱中症の患者も増えていますか。
前田)搬送者数は増えてきています。ジメジメ、ムシムシした暑さになると熱中症のリスクも高まります。水分補給や休憩をしっかり取る、エアコンを取り入れる等を意識してください。
西村)先週から「新しい防災気象情報」の運用が始まりました。何がどう変わったのですか。
前田)これまでわかりにくかった「防災気象情報」が整理されました。これまでの「警報」「注意報」に加え、近年、気象災害が激しくなり、予測技術が向上したことにより、「特別警報」「土砂災害警戒情報」など、さまざまな情報が追加されました。名称が入り乱れ、「複雑でわかりにくい」という声があったので、今回災害ごとに名称を整理したんです。
西村)災害ごとに分けたのですね。どんなふうに分かれているのでしょうか。
前田)大雨・河川氾濫・土砂災害・高潮の4種類の災害ごとに分けられ、注意報・警報・特別警報の3種類に危険警報が加わりました。警報の前に"レベル"という形で数字が必ずつきます。レベル2=注意報、レベル3=警報、レベル4=危険警報、レベル5=特別警報という形に。今までレベル4に当たる情報が複雑でしたが、それを危険警報として一律で設けることになりました。
西村)なぜこの4種類の情報に整理されたのですか。
前田)この4つの災害は、避難行動が伴うもの。いつ、誰が、どのように避難をするかが危険度ごとに変わります。例えば、土砂災害が起こりやすい地域に住んでいる人は、早い段階で避難しなければならない...など。暴風雨、大雪の災害は、誰もが基本的に不要不急の外出を避けることになるのでわかりやすいのですが、この4つの災害は、人によって、住んでいる場所によって行動が変わるので、今回整理されました。
西村)自分はどうするべきかがわかりやすくなったのですね。
前田)レベルの数字があることで、直感的に危険度を判断できるようになりました。
西村)子どもや外国人観光客にも伝えやすくなりそう。
前田)数字がつくことによって、長い名称を覚えなくても済みます。レベル4=土砂災害危険警報という長い名称もありますが、レベル4と聞けば、危険が迫っていることがわかる。わたしたちが伝えるときも、これまでは「大雨警報が発表されました」と伝えていたところを、「レベル3の大雨警報が発表されました」と伝えるようになります。危険度イメージしてもらいやすくなると思います。
西村)レベルの数字と、わたしたちが取るべき行動を教えてください。
前田)レベル3=危険な場所から、高齢者など避難に時間がかかる人は避難を始めてください。レベル4=危険な場所から全員避難。みなさん、このレベル4をしっかりと覚えて意識しておいてください。レベル5になると、既に災害が発生している状況なので、レベル5の情報が出てから避難すると手遅れになってしまうこともあります。レベル4が出たら、「危険な場所からは避難する」と覚えておいてください。
西村)レベル5=既に災害が発生している。もう手遅れになっているということなんですね。
前田)レベル5は、危険が迫っているので、どこかに移動して避難すると危険な状況。今いる場所でとにかく命を守る最善の行動をとらなければなりません。必ずレベル4の時点で行動を起こすことを意識してください。
西村)表には色もついていますね。
前田)レベル3=赤色、レベル4=紫色、レベル5=黒色。色も一緒に結びつけてイメージしてください。
西村)レベル3(赤色)の高齢者とは、妊婦、障がいのある人、怪我をしている人、幼い子どもと暮らしている人、ペットと一緒に過ごしている人も含まれますね。
前田)はい。家族でどの段階で行動をとるかを話し合っておくと良いですね。
西村)自分の家族だけではなく、近所に一人暮らしの高齢者がいる場合は、レベル3で声をかけに行きたいと思います。避難に時間がかかる人たちは、レベル3(赤色)で避難する。レベル4(紫色)で危険な場所から全員避難、そしてレベル5(黒色)は目の前に危険が迫っている状態なので、外に出ると危険。家の中で垂直避難をしましょう。手遅れになる前に必ずレベル4(紫色)の時点で、危険な場所から全員避難しましょう。ほかに覚えておくと良いこと、事前にやっておくと良いことはありますか。
前田)自分はどのレベルで行動するのか、自分の中に基準を持っておく。住んでいる場所、職場、学校の危険度を、あらかじめハザードマップで確認しておきましょう。
西村)ハザードマップの確認の仕方がわからない、今手元にハザードマップがない、という人はどうしたら良いでしょうか。
前田)インターネットでも確認することができます。「重ねるハザードマップ」というウェブサイトでは、それぞれのリスクごとに"重ねて"危険な場所を確認できますので、うまく活用してください。同時に、線状降水帯に関する情報も新しくなりました。これまでは半日前に線状降水帯発生の発生を伝えていましたが、今回、直前の予測も出されるようになりました。これも大きな進化。線状降水帯が発生する2~3時間前に発表されます。線状降水帯に関する予測技術も高まってきているので、情報をうまく活用して、これからの大雨台風シーズンを乗り切ってください。
西村)最近では、河川のライブカメラもあります。大雨のときに川を見に行くことは、もうしなくて良いですね。
前田)そのようなツールをうまく活用するのも大事なことですね。
西村)前田さん、どうもありがとうございました。