オンライン:Nice Life代表・防災士・整理収納アドバイザー 熊田明美さん
西村)12月に入り、大掃除のシーズンがやってきました。おうちを片付けながら一緒に防災もできる「防災お片付け」というのがあるそうなんです。
きょうは、「防災お片付け」を提唱する熊田明美さんにくわしく教えてもらいます。
熊田)よろしくお願いいたします。
西村)「防災お片付け」は、普通のお片付けとどう違うのでしょうか。
熊田)「防災お片付け」は、3つの視点でお片付けをします。
「家の中が安全かどうか」「災害時に備えた整理整頓」「ローリングストックで備蓄」の3点です。
「家の中が安全かどうか」
怪我をしないように家具家電の転倒防止、落下防止を行います。怪我をしない目線でいろいろなところを見てください。背の高い家具、冷蔵庫、食器棚が大地震のときに倒れてこないか。電子レンジ、オーブントースター、テレビなどが落下しないか。それらを固定します。
「災害時に備えた整理整頓」
家の中に物が散乱しないようにする。避難するとき怪我をしないように床に物を置かない。重いものは下に収納する。物を見直して、防災備蓄品を収納します。
「ローリングストックで備蓄」
普段から食べ慣れている食品や使い慣れている日用消耗品を在庫数を決めて保管、備蓄すること。これは在宅避難のときにも役立ちます。
西村)この3つの視点で「防災お片付け」をすると、どんなことが良くなりますか。
熊田)防災の視点でお片づけをすると、災害への備えになるだけではなく、普段の生活がスムーズ、快適になります。ものが適正量になり、管理しやすくなるからです。
西村)良いことずくめですね。
熊田)そのほかにも、怪我のリスクが減り、家事効率がアップします。在庫数を把握することで、余分なものを買わなくなり節約にもつながります。
西村)大掃除をしていると同じものが2つあるなんてことも。おもちゃが散らばっていると、ブロックを踏んで怪我をすることもあります。怪我のリスクを減らすことが大切ですね。では、お片づけについて場所ごとに教えてください。まずは、玄関のお片付けはどこに気をつけたら良いですか。
熊田)玄関は、外に出るときや帰宅するときに使う出入口であり、避難口。できるだけ物を減らしてすっきりさせることが大切。ポイントは、傘を減らすこと。傘立てが陶器だと割れることもあり、傘が散乱しているとつまずいて危険です。
西村)確かに。うちにも傘がたくさんあります。
熊田)晴雨兼用傘を1人1本で十分。
西村)ついコンビニでビニール傘を買ってしまって、傘が増えてしまいます。この機会に傘を見直そうと思います。靴もなかなか捨てられませんよね...。
熊田)古い靴は怪我のリスクがあります。靴底に溝がない靴を履いていると、雨の日に滑って転んで怪我をすることも。古い靴は見直して処分しましょう。
西村)靴箱を見直しましょう。我が家は子どものサイズアウトした靴がそのまま置いてあります。自分の靴も含めて見直していきたいと思います。廊下はいかがですか。
熊田)廊下は、物を搬入・収納しやすい場所。玄関や廊下に水などを収納すると搬入・収納が楽で見直しも楽。日常的に外出するときに携帯もできて便利です。
西村)熊田さんは備蓄用の水を玄関や廊下に置いているのですか。
熊田)我が家は玄関の靴を減らして、靴箱の一部に防災用品を入れています。
西村)なるほど。靴箱はさっと取り出すことができて良いですね。
熊田)ただし、注意点があります。水は高いところに置かないこと。ペットボトルが落下したときに、ペットボトルが破裂してしまう危険があります。缶の場合、落下して人に当たると危険です。
西村)次に思いつくのがリビング。リビングのお片付けのポイントを教えてください。
熊田)吊るすタイプの照明は素材を確認しましょう。
西村)シャンデリアを飾っている家もありますよね。
熊田)今は、樹脂製の割れないシャンデリアもあります。リビングに紐で吊るすライトはコードクリップを使って紐を短くすると、照明同士が当たって割れるのを防ぐことができます。
西村)ぜひチェックしておこうと思います。リビングには大きなテレビがあります。
熊田)最近のテレビは大型化しています。テレビは地震のときに倒れて割れる・壊れることを想定してください。固定しましょう。おもちゃなどは、棚に入れておけば大丈夫と思っている人も多いですが、災害時は飛び出してくると考えて対策をしましょう。
西村)我が家もおもちゃ箱が引き出しタイプ。ブロックやプラレールなど硬いものがたくさんあるので、飛び出したら大変。どうしたら良いでしょう。
熊田)衝撃を吸収してくれる柔らかい素材の収納グッズにおもちゃや雑貨などを入れて、滑り止めシートなどで対策します。
西村)リビングのソファでも対策できることはありますか。
熊田)ソファには、頭を守れるようにクッションや座布団を多めに置いておきましょう。大地震のときにすぐに頭を守ることができます。家族の人数分を置いておくことをおすすめします。写真や絵画を飾っている場合は、ガラス素材を使ってないかをチェック。ガラスは割れて危険なので、アクリル樹脂など割れない素材に変更しましょう。
西村)キッチンの注意点はありますか。
熊田)キッチンはかなり危険な場所だと思ってください。冷蔵庫が倒れてくるし、食器棚が倒れて、中の食器が割れてしまう危険性もあります。転倒防止グッズなどで対策しましょう。さらに、フライパンや鍋を減らすのもポイント。ガスコンロとかIHコンロに同時に火にかけられるのは2~3口。同じようなサイズのフライパンや鍋は減らしましょう。そこへ出しっぱなしの調味料、瓶の調味料などを入れると瓶が割れるリスクを減らすことができます。
西村)確かにコンロの周りにいろいろ置いてしまいます。棚の中にしまっておくことが大切なんですね。
熊田)物を出しっぱなしにすると飛んできて、下に落ちると割れてしまう。怪我のリスクがあります。
西村)包丁をマグネットで付けたり、お気に入りの鍋を飾ったりする"見せる収納"もありますが、なるべくしまっておいた方が良いですね。
熊田)防災の観点からはしまっておいた方が安全。割れやすいものは飛び出さないようにする。耐震グッズで固定する。扉に耐震ラッチがついているかも確認してください。耐震ラッチは大きな揺れで扉が開かないようにロックする部品のこと。初めから付いている食器棚もありますし、後から付けられるものもあります。
西村)食器棚を買い換えるというときはチェックします。トイレに何か置いておくと良いものはありますか。
熊田)トイレは大地震のときに閉じ込められるリスクがあります。窓のないトイレでは停電対策として、灯を備えておきましょう。そのほかは非常用トイレ。凝固剤と大きめのビニール袋、飲み水も常備しておくと安心。
西村)なぜ飲み水が必要なのですか。
熊田)トイレに長時間閉じ込められたときのためです。夏場だと熱中症などのリスクがあります。トイレは、大地震のとき大きな揺れでドアの枠がゆがんで、ドアが開かなくなることがあります。
西村)年末は、このような防災目線でお片付けするとまた違った大掃除になりそうですね。
熊田)食品庫を掃除するときは、賞味期限が近い備蓄品を食べたり、カセットガスコンロで調理したりすると良いと思います。
西村)これをきっかけに家族で防災コミュニケーションをとりましょう。熊田さんどうもありがとうございました。
