オンライン:東北大学災害科学国際研究所 教授 今村文彦さん
西村)きょうは、津波工学が専門の東北大学 災害科学国際研究所 教授 今村文彦さんとオンラインでつなぎます。
今村)よろしくお願いたします。
西村)4月20日に三陸沖で発生した地震はどのような地震ですか。
今村)東北の三陸沖で、太平洋プレートが沈み込んでいる境界で起きた地震。この地震によって、強い揺れと津波が発生しました。東日本大震災と同じ「逆断層型」の地震です。
西村)去年も同じタイプの地震がありましたね。
今村)2025年11月9日にほぼ同じ場所で、12月8日に青森県東方沖で同じタイプの地震が発生しています。
西村)三陸沖では、現在、地震活動が活発になっているのでしょうか。
今村)東日本大震災の後に周辺で地震活動が活発になっています。去年の11月、12月の地震の余震も起こっています。
西村)注意が必要ですね。今回の地震のあと、気象庁は「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を発表しています。
今村)これは、東日本大震災の後に設置された情報です。日本海溝、千島海溝沿いの巨大地震、津波が想定されているエリアで、今回のようなマグニチュード7の地震が起きた場合、後発地震への注意喚起をするものです。
西村)この注意情報は去年もでましたか。
今村)2025年12月の青森県東方沖地震で発表されました。今回で2回目になります。
西村)なぜこのような注意情報を発表することになったのですか。
今村)東日本大震災の経験からです。3月11日にマグニチュード9という巨大地震が起きましたが、2日前にマグニチュード7.3の前震がありました。この教訓から、新しい情報システムができました。
西村)このような事例は過去にもありましたか。
今村)3.11のほかにも、択捉島で起きた地震でも前震がありました。この2つの事例があったということで、今回のシステムが動いています。
西村)かなりエネルギーが蓄積されているのですか。
今村)このエリアでは、古文書や歴史データだけではなく、津波の堆積物、発生規模、頻度を調べると400年に1回程度、大地震が発生しています。前回起きたのは17世紀。それから400年以上経っているのでエネルギーが蓄積されているでしょう。今回のような前触れがあったときは、その後の大きな地震、津波に注意が必要です。
西村)今回の地震で、これまで蓄積されてきたエネルギーが解放されたということにはならないのでしょうか。
今村)想定される地震の規模は、マグニチュード9クラス。今回はマグニチュード7.7。1.3の差ですが、エネルギーは数10倍大きいものになるので、まだ一部しか開放されていないということになります。マグニチュード9クラスのエネルギーは30倍以上になります。
西村)どんな地震が想定されているのですか。
今村)千島海溝、日本海溝の北部でマグニチュード9クラスの地震が想定されています。揺れは6強、津波は30mを超えるものも想定されています。東日本大震災とほぼ同じ規模です。
西村)そのような地震がいつ来てもおかしくないということですね。
今村)過去の履歴を見ると、相応のエネルギーがたまっていると思います。
西村)「後発地震注意情報」が発表された地域では、どれぐらいの期間、どんなことに注意すれば良いのですか。
今村)現在、1週間が目処になっています。これは、地震活動によって決めたものではなく、生活の中で注意喚起に耐えられる期間。普段の備えの確認、夜間の避難経路の確認など、レベルを上げた備えをしましょう。
西村)まず、地震の揺れに対してどんな備えをしたら良いでしょうか。
今村)家具などの落下防止、通電火災の防止になる感震ブレーカーの確認。家族の安否確認、避難場所も確認してください。
西村)津波に対しては、どんな備えをしたら良いでしょうか。
今村)津波の危険エリアでは、避難場所、経路の確認をしてください。車で避難をすると渋滞に巻き込まれることがあるので、原則徒歩で行動しましょう。地震はいつ起きるかわかりません。地震活動が活発化しているエリアでは、日頃から備えの確認をしましょう。非常持ち出し品は、季節によって変えることも重要です。
西村)少し暑くなってきたので、暑さ対策グッズも入れておこうと思います。今回の「後発地震注意情報」は、一昨年発表された「南海トラフ地震臨時情報」と似たようなものですか。
今村)はい。今後、リスクの高いエリアにおいて、地震の前触れが起きたら、今回のような注意喚起、早期避難など、今やれることを検討することになります。
西村)早いタイミングでの避難を考えるということですね。南海トラフ巨大地震など広域地震のリスクはありますか。
今村)日本全体で、地震が多い状況が続いています。千島海溝、日本海溝、南海トラフのエリアは、非常に大きな地震のリスクが高くなっています。ぜひ日頃から備えを確認してください。
西村)今村さんどうもありがとうございました。
