オンライン:気象予報士・防災士 千種ゆり子さん
西村)先月、「こんなときどうする!?大事典」というタイトルの本が発売されました。
きょうは、この本の自然災害の章を監修した気象予報士で防災士の千種ゆり子さんにお話を聞きます。
千種)よろしくお願いいたします。
西村)「こんなときどうする!?大事典」はどんな内容なんですか。
千種)子どもたちに自然災害や犯罪などの危険を知ってもらい、予防策や対処法をわかりやすく伝える本です。この本では、「水辺の危険」「山の危険」「自然災害の危険」「犯罪の危険」について、それぞれの専門家が解説。危険を回避するための方法を教えています。イラストもたくさん盛り込まれていて、漢字には全てルビが振ってあります。小学生の2人がクイズを解きながら学んでいくスタイルで、楽しみながら読むことができます。
西村)大人も楽しめそうですね。
千種)クイズのところだけ見ても面白いですよ。
西村)千種さんは、この本の「自然災害の危険」を監修したそうですね。
千種)わたしは気象予報士で防災士なので、地震・大雨・雷などいつどこで起こってもおかしくない自然災害について監修しました。いざというときにどう動けばいいのか、子どもの目線で自分や大切な家族の命を守る方法を伝えています。
西村)今の時期に伝えたい自然災害の危険といえば何でしょうか。
千種)これからの時期多くなる台風と雷です。台風は夏の時期に発生することが多く、今年は早めの6月から発生しています。台風や梅雨前線に伴って、雷も発生するので、これから注意が必要です。どちらも対応を間違えると命を落とすかもしれない危険な自然災害。逆に言うと、台風や雷にあったときにどうしたら良いのかを知っていると、命を守ることができます。
西村)それも大切な備えですね。
千種)まず知識を知る、身につけておくことが大切です。よく台風のニュースで風速という言葉を聞きますよね。この数字がどんな危険を表すのかわからない人も多いと思います。熱帯低気圧の中心付近の最大風速が17.2m以上になったものを台風といいます。風速20mでどれぐらいのことが起こると思いますか。
西村)結構、強くて速い風ですよね。
千種)風速20mでは、建物の屋根が飛んで、外壁が壊れる可能性があります。風速30mでは木造家屋が倒壊します。風速40mは家が完全に壊れてしまいます。風速30~40mになると外に出られません。
西村)風速20m以上になると、建物の屋根が飛んでしまうことを知っておくと、子どもたちも「今日は家にいよう」と予定を変更したときに納得してくれそう。
千種)風速20mでも看板が落ちてきたり、飛んできたりする可能性があるので、子どもにとっては危険です。
西村)台風の備えはどうしたら良いですか。
千種)まずは、台風の危険がいつ頃から出てくるのか、情報をチェックします。地震は事前予測が難しいですが、台風は事前に情報が出るので、こまめに情報をチェックすること。台風が近づいてきたときは、風が強くなってから対策をすると遅いので、台風が近づく前に家の周りの飛ばされそうなものは全て中に入れましょう。
西村)水遊びセットやプールを出しっぱなしにしている家もありそうです。
千種)三輪車や自転車はしっかり固定しましょう。
西村)塀の上のシーサーなどの置物も危険ですね。
千種)危ないですね。たまたまそこを通った人が危険な目に遭う可能性があります。不要不急の外出を控えることも大切。台風は風が強いイメージがあるかもしれませんが、雨も強く降る可能性があります。台風の中心から離れたところでも、台風に刺激されて強い雨が降ることもあるので、気象庁のホームページで情報を確認しつつ、レベル4として警戒が呼びかけられたらすぐに避難しましょう。
西村)ここ数日は、まさにこういう状況でしたね。
千種)このような情報が出た地域もあるかもしれません。今年から情報が変わって、レベル4大雨危険警報、レベル4土砂災害危険警報となりました。4という数字を覚えておいてください。停電する可能性もあるので、充電をフルにしておくことも必要。
西村)今年は台風が多いですか。
千種)今年は6月の時点で台風が接近しています。台風はこれからが本番で、10月ぐらいまで多くなるので、「こんなときどうする!?大事典」や気象情報などを見て、台風が来たらどんなふうに動くのかをシミュレーションしておくことが大切。
西村)夏場は雷も多いですよね。
千種)雷は突然鳴り出します。台風がなくても突然鳴り出すことも。子どもと公園で遊んでいるときに、ゴロゴロと雷の音が聞こえてきたらどうするか、この本の中で紹介しています。
西村)クイズもあるんですね。
千種)4択のクイズがあります。①地面に腹ばいになる、②頑丈な建物の中に避難、③木に登る、④軒下に隠れる。この中にひとつだけ正解があります。子ども向けのものなので、大人なら明らかに違うものがわかるかもしれません。正解は②頑丈な建物に避難。
西村)軒下に隠れるのはNGなんですね。
千種)軒下に隠れると、雷の電流が屋根や壁を伝わって、体に飛び移ることがあるので危険です。周りに何もなければそうするしかないかもしれませんが、なるべく早く音が聞こえた時点で、頑丈な建物の中に避難しましょう。鉄筋コンクリートの建物や車の中に避難してください。
西村)①地面に腹ばいになる、③木に登る はなぜダメなのですか。
千種)雷は、高いところに落ちるので、木に登ったら木に落ちてきた雷がそのまま体に伝わるので危険。雷は地面から人の体に伝わります。腹ばいになると地面に伝わる接地面が広くなり、雷が伝わりやすくなるので危険です。
西村)低い体勢になると安全だと思っていました。
千種)低い体勢を取るときのコツがあって「雷しゃがみ」といいます。本ではやり方を解説しています。低くなるのは正解なのですが、地面と自分の体の接地面を少なくすることが大事。足先は揃えて、つま先立ちになります。結構つらい体勢だと思います。
西村)今喋りながらやってみますね!足が不自由な方は難しいかもしれませんが、足が元気な人はややってみてください。しゃがんでみました。もう一度方法を教えてください。
千種)体育座りするイメージでしゃがんでみてください。お尻は地面につけないでください。
西村)うさぎ跳びの姿勢みたいですね。
千種)そうです。その姿勢でかかとを上げてください。
西村)はい。かかとを上げました。結構つらい...。
千種)結構きついですよね。それが一番地面と体の接地面が少ない状態。雷が近くに落ちると鼓膜が危険なので、耳をふさいでください。この姿勢が「雷しゃがみ」といいう姿勢です。本当に雷が近いときは、近くで大きな音がするのでわかると思います。広場の真ん中など周りに何もないときはこの姿勢を取るしかありません。近くに木や電柱があると、そこに落ちてきて、こちらに飛び移ってくる危険があるので、離れてください。周りに何もなければ、しゃがんでいても自分が一番高くなるので、雷が落ちる可能性があります。一番良いのは、建物の中に避難することなのですが、何もなければ木や電柱から5mぐらいは離れましょう。絶対に安全ではないのですが。
西村)「雷しゃがみ」はかなりつらいです。どれぐらいの時間この姿勢でいれば良いのでしょうか。
千種)その姿勢になってしまったら、雷の音が聞こえなくなるまではその状態でいてください。「30-30ルール」というものがあります。雷の光が見えてから、音がゴロゴロと鳴るまで30秒以上あれば安全。最後にゴロゴロと聞こえてから30分以上経っていたら雷雲が遠ざかったということになります。雷が遠ざかって、近くに頑丈な建物があるならすぐそこに移った方が良いです。しかし、一番はそのような状況を作らないことが一番大事。
西村)雨や台風は事前に予測ができるもの。天気が急変する空のサインありますね。
千種)「黒い雲が近づいてくる」「冷たい風が吹いてくる」「雷の音が聞こえる」が、積乱雲が近づくサイン。どれかひとつでもあてはまれば、外の遊びがやめて、家に帰る、頑丈な建物の中に入りましょう。
西村)そのサインを見逃さないようにすること。そもそも天気予報をチェックして、そのような危険がありそうなときは、不要不急の外出をやめて家にいましょう。
千種)雷の危険性は、あまり知られていない部分もあります。わかりやすくまとめているので、ぜひ「こんなときどうする!?大事典」を、手に取ってください。
西村)千種さん、どうもありがとうございました。
