ゲスト:MBS気象予報士 薬剤師 林保捺美さん
西村)連日、暑い日が続いています。
きょうは、MBS気象予報士で、薬剤師の資格も持つ林保捺美さんに熱中症対策について聞きます。
林)よろしくお願いします。
西村)今年の夏もやっぱり暑いですか。
林)はい。今年の夏も猛暑となりそうです。先日発表された3ヶ月予報によりますと、7・8月の近畿地方の気温は、平年よりも高くなる見通しです。35℃を超える日も多く、熱中症に警戒が必要。今年の6月は、台風や梅雨前線の影響で、雨の日が多かったですよね。過ごしやすいと感じませんでしたか?
西村)半袖ではちょっと寒い日もありましたね。だから今年の夏は涼しいのかな?と思っていたんですけど...。
林)去年は6月末には梅雨明けして猛暑となり、かなり暑い夏でした。今年は、6月が比較的涼しかったので、急に暑くなると熱中症リスクが高まります。今週後半から気温が上がりそうです。最高気温35℃超えの猛暑日のところも出てきそうです。最低気温も25℃を下回らない熱帯夜になりそうです。
西村)寝るときも気をつけないといけないですね。
林)夜間の熱中症にも警戒が必要。暑さに慣れていないのに急に暑くなると、熱中症で搬送される人が多くなります。暑熱順化ができていないと暑さの負担が大きくなるので、暑さに強い体作りをしましょう。入浴、軽い運動をして、今週後半の暑さに気をつけてください。
西村)最高気温40度以上の日に酷暑日という名前がつきました。今年は酷暑日もありそうですか。
林)去年の夏は、日本の歴代最高気温が更新されました。群馬県・伊勢崎市で41.8度、近畿地方でも兵庫県・丹波市貝原で41.2℃を観測しました。全国では30地点ほどが40℃超えに。今年は、去年ほどの猛暑にはなりにくいと見ていますが、35度超えは多くなります。内陸部で局地的に40℃超えになるところは出てきそう。
西村)大阪でも40℃超える日はありそうですか。
林)大阪ではないかもしれませんが、盆地や内陸の地域ではあるかもしれません。
西村)気をつけないといけないですね。林さんは薬剤師の資格をお持ちです。特に熱中症に気をつけて欲しい人はどんな人ですか。
林)まず一番は高齢者です。高齢者は体の水分量が少なく、暑さや喉の渇きを感じにくいです。高齢者は、家でエアコンをつけずに熱中症になる人が多いです。エアコンつけて、水分をしっかりとるように呼びかけてあげましょう。子どもも熱中症になりやすいです。子どもは、体温を調節する機能が未発達。大人と比べて身長が低いので、地面からの照り返しを受け、体温が上がりやすいです。
西村)ベビーカーに乗っている赤ちゃんは暑さが心配です。
林)子どもは、なかなか自分で熱中症の症状を説明できないので、気をつけてください。寝不足の人も要注意。脱水症状になりやすく、熱中症のリスクが高まります。二日酔いの人も気をつけてください。普段、健康に過ごしていても急に熱中症になることがあります。
西村)ビールが美味しい季節になってきたので、ビアガーデンに行く人も多いと思います。
林)アルコールをとるときは、水分もしっかりとるようにしてください。肥満体質の人は、熱を放出しにくいので気をつけください。心臓病や腎臓病などの持病のある人は、水分のバランスが取りにくいので、特に気をつけてほしいです。
西村)病気の兼ね合いで、水分の摂取量が決まっている人もいると思いますが、範囲内で水分を取って、熱中症にならないように気をつけましょう。薬剤師の林さんがおすすめする熱中症対策についても教えてください。
林)一番大切なのは、正しい水分補給の仕方を知ること。水分補給と言えば、スポーツドリンクを飲めば良いと思いますよね。経口補水液とスポーツドリンク、飲み方の違いを知っていますか。
西村)違うのですか!?
林)経口補水液とスポーツドリンクは、塩分とブドウ糖の濃度が異なります。熱中症で脱水になると、水分と同時に塩分も出てしまうので、塩分の補給が必要。スポーツドリンクは、経口補水液に比べて塩分が少ない代わりに糖分が高くなっているので、運動時などに疲れたときのエネルギー補給として良い飲み物です。一方、熱中症になったときに適しているのは経口補水液。体の中で効率よく水分を吸収するには、糖分と塩分が必要ですが、経口補水液は、それを十分な濃度で兼ね備えています。経口補水液は、スポーツドリンクと比べて、塩分濃度が十分に高く、失われた水分と電解質を補給できるので、熱中症のときは経口補水液をおすすめします。
西村)普段は何を飲んだら良いですか。
林)普段は、水か麦茶で十分。きっちり3食の食事をとることが大切です。食事から水分を補うことができます。しっかり食事をして、2~3時間に1度、水や麦茶を飲んでください。
西村)麦茶はどんなところが良いのですか。
林)麦茶はミネラルが豊富に含まれています。カフェインも入っていないので、利尿作用が少ないです。お茶の中では麦茶がおすすめです。
西村)麦者なら乳幼児や幼いお子さんも飲むことができますね。整理すると、経口補水液は脱水状態になったときに飲む。スポーツドリンクは運動した後に飲む。普段は3食しっかり食べて栄養を取った上で、麦茶がベストということですね。ほかにも林さんがおすすめする熱中症対策はありますか。
林)熱中症警戒アラートが夏によく発表されますよね。これは、熱中症を予防するために発表している情報。熱中症は気温が高ければ起こるわけではありません。気温と合わせて湿度、輻射熱(地面からの照り返しの熱)などを全部合わせた"暑さ指数"をもとに熱中症警戒アラートが発表されています。
西村)気温だけではないのですね。
林)湿度が高い状況では、汗が出にくく体に熱がこもりやすくなり、熱中症が起こりやすい。暑さ指数が33以上になると、熱中症警戒アラートが発表されます。熱中警戒アラートは、府県単位で発表されます。環境省の熱中症予防サイトでも確認できます。前日夜と当日朝に発表されるので、熱中症警戒アラートが発表された日は、いつも以上に熱中症対策を心がけてください。
西村)先ほど高齢者は暑さに気づきにくい、というお話がありました。熱中症警戒アラートを頼りに、しっかりと対策してほしいですね。
林)住んでいる地域の暑さ指数を確認して、熱中症警戒アラートが発表されているかを確認して、行動を変えてください。
西村)天気予報、環境省のサイト、天気のアプリで確認することができます。熱中症警戒アラートが発表された後は、どのように対策をしたら良いですか。
林)発表されたときはためらわずエアコンを使ってください。お昼はもちろん、夜間も使ってください。日中の疲れがたまって、夜に熱中症になることも。数時間後や翌日になることもあるので、部屋を涼しくしてください。こまめな水分・塩分補給を心がけて、体調が悪いときは無理をしない、外出を控えることも必要です。
西村)寝る前にもしっかり水分補給した方が良いですね。
林)寝ている間は、体外にかなり水分が出るので、寝る前に必ずコップ一杯の水を飲むようにしてください。
西村)暑すぎるときは、予定の変更も視野に入れましょう。元気だったとしても熱中症警戒アラートが出たら、なるべく家で過ごした方が良いかももしれないですね。
林)「手のひら冷却」は知っていますか?手のひらや足の裏や頬に「動静脈吻合」という血管があります。
西村)難しい言葉ですね。
林)別名AVA血管といいます。動脈と静脈を結ぶ血管の部位のことで、暑ければ血管が開いて、寒ければ血管が収縮することで、体の深部体温をコントロールします。動静脈吻合は、血流量が多いので、ここを冷やすと大量の冷えた血液が体内に戻って深部体温を効率よく冷やすことができるんです。熱中症のリスクが高まる夏場の屋外では、手を水につけたり、ペットボトルの水を持ったりすることで、効率よく体温を下げることができます。
西村)手のひらを冷やすだけなら簡単で良いですね。
林)でも冷やしすぎには注意が必要。冷やし過ぎると逆に血管が収縮して、血の巡りが悪くなるので、15℃ぐらいの水で冷やしてください。
西村)氷はやめておいた方が良いですか。
林)氷水ではなく、冷たい水が入ったペットボトルなどを運動の合間に握るだけで大丈夫です。熱中症の予防に役立ちますよ。
西村)しっかりと覚えておきましょう。対策をしていても暑すぎて熱中症になってしまうときもあるかもしれません。熱中症の初期症状はどんな症状ですか。
林)段階的におこります。まず初期は、めまい、立ちくらみ、足がつるなど、筋肉がこわばることも。中等度になると吐き気もおこります。
西村)その症状が出たらどうしたら良いですか。
林)初期症状が出たら、涼しいところに移動し、水分・塩分を補給してください。首の両側面、脇の下、足の付け根など太い血管が通っているところを冷やすと体温下がりやすいです。熱中症になったらとにかく冷やすこと。重症になると受け答えができなくなります。意識が朦朧として、まっすぐ歩くことができなくなります。
西村)熱中症で重症の人を見かけたらどうしたら良いですか。
林)喋りかけて意識がなかったら、すぐに救急車を呼んでください。可能な場合は、涼しい場所に移動して、体を冷やしてあげてください。
西村)冷たいペットボトルを握らせて、手のひらを冷やしてあげれば良いですね。
林)水をかけてあおいであげると涼しくなると思います。まず体温を下げることが第一です。救急車を呼んで体を冷やしてください。熱中症は、命に関わる大事な問題。これを機に、熱中症に対して対策をしっかり行ってください。生活習慣を整えることが一番大切。しっかり食事をとる、睡眠時間を確保することを心がけて過ごしてください。
西村)林さん、どうもありがとうございました
