オンライン:株式会社ヘッジホッグ・メドテック 安中朋哉さん
西村)現代病として少しずつ周知されてきている気象病。天気が悪くなるとさまざまな症状が現れてしまうというものです。気象病のひとつである頭痛を予測してくれる 「頭痛ーる」というサイトやアプリがあります。
きょうは、この「頭痛ーる」を運営している株式会社ヘッジホッグ・メドテックのリードデザイナー、安中朋哉さんに話を聞きます。
安中)よろしくお願いいたします。
西村)気象病とはどんなものですか。
安中)気象病は、気圧や気温、温度など天気の変化に伴って起こる体調不良の総称です。代表的なものとしては、頭痛やめまい、だるさ、関節痛、昔のケガや古傷が痛むなどの症状があります。元々持っている頭痛などの症状が気象の変化をきっかけに出やすくなったり、強くなったりします。
西村)なぜ天気の変化で体調が悪くなってしまうのでしょうか。
安中)耳の奥にある内耳が気圧の変化を感じ取ることが要因と考えられています。内耳は平衡感覚に関係している場所。気圧の変化を感じ取ることで、自律神経に影響して、頭痛やめまいなどの症状につながるという説があります。ただ、人によって反応する条件がかなり違います。気圧が下がると調子が悪くなる人もいれば、気圧が上がったときに症状が出やすくなる人もいます。
西村)人それぞれ違うのですね。この気象病はいつから知られるようになったのですか。
安中)気象と体調の関係は以前から知られていましたが、気象病という言葉が一般に広く知られるようになったのはここ十数年くらい。「雨が降ると古傷が痛む」「雨が降る前に頭が痛くなる気がする」という人が多いです。そのような人たちが、「頭痛ーる」やSNSを通してつながって、天気と体調の関係を認識したのだと思います。
西村)気象病は1年の中で何月が特に注意すべきですか。
安中)梅雨や春先や秋から冬にかけての季節のかわり目など、気圧の変化が起きやすいときに気象病になる人が多いです。「頭痛ーる」のアプリでは、頭痛を記録することができます。その記録が梅雨時期になると増えるので、1年を通して気圧との相関がわかってきています。
西村)みなさんが使うことによってどんどんデータが構築されているんですね。先日は千葉でも豪雨災害がありましたね。
安中)台風が来ると急激な気圧変化が起こります。ゲリラ豪雨が発生すると気圧の変化があるので、注意が必要です。
西村)ゲリラ豪雨に体が反応している可能性もあるかもしれないのですね。
安中)気圧の変化に敏感な人の中には、ゲリラ豪雨が来る前にわかる人もいると思います。自分の体調で雨や台風がわかる人もいます。
西村)男女差はあるのでしょうか。
安中)一般的には、女性の方が偏頭痛になりやすい。それは女性ホルモンの変化などいくつかの要因が関係していると考えられています。「頭痛ーる」ユーザーも女性の割合が多いです。
西村)気象の症状の代表といえる頭痛を予測してくれる「頭痛ーる」とは、どんなアプリですか。
安中)「頭痛ーる」は、"気圧による体調不良が起きやすくなる日"を予測するサービスです。天気予報のように気圧の変化に気を付けるべきタイミングをアラートで教えます。通常、やや注意、警戒...と段階に分けて気圧アラートを表示して、体調に気をつけるべき日を予測してくれるんです。
西村)アプリを使ってみましたが、気圧の変化のグラフがわかりやすいですね。場所を移動したらその場所のグラフが出て便利。キャラクターもかわいいですね。
安中)気象病や気圧について、わかりやすく伝えるために親しみやすいキャラクターにしています。体調が優れないときにアプリを開くことが多いと思うので、少しでも癒しになれば。
西村)サービスを始めたのが2013年。開発はいつ頃から始めたのですか。
安中)2012年中旬ぐらいから開発をスタートしました。
西村)開発に至った経緯は?
安中)元々社内の気象予報士が、天気と頭痛の関連について研究していたのが始まりです。天気だけではなく、健康への影響まで含めた海外の「健康気象予報」を参考にしながら、気圧と体調の変化を合わせてみると何か役に立つサービスになるのではないかと。
西村)どんなことがわかりましたか。
安中)気圧の変化による体調への影響について調査しました。僕自身、それまでは、気圧による頭痛の自覚はなかったんです。開発当初、頭痛があった日をカレンダーにチェックすると、気圧が下がったタイミングとぴったり合っていてびっくりしました。寝違えなどが要因だと思っていたのですが、気圧とぴったり合っているなんて...。
西村)そこから社内での実証実験を経て、リリースをしたのが2013年。そこから広がったきっかけは。
安中)公開する前は、受け入れてもらえるのかという不安半分、期待半分でした。しかし、実際に公開してみると早い段階から多くの反響をもらいました。「こんなアプリを待っていた」と反応がありました。特にX(当時のTwitter)などのSNSと相性が良かった。梅雨や台風の時期など気圧が下がると「こういうアプリがあるよ」と口コミで広がっていきました。
西村)アプリのユーザーからはどんな反応がありましたか。
安中)「自分だけじゃなかった」「頭痛持ちの人に教えてあげたい」という反応がありました。頭痛持ちの患者と医者の間でこのアプリが広まりました。いろんな口コミをもらっています。
西村)どのような基準で警戒度を決めているのですか。
安中)これまでユーザーに記録してもらった頭痛データと気象データの蓄積を組み合わせて、頭痛が起こりやすい気象条件を予測。時間ごとの予報では、通常・やや注意・注意・警戒という段階に分けてアラートを出します。時間単位で出す気圧グラフという機能があり、天気予報のように1日ごとの予報も出しています。そちらでは、警戒が続いたときに、「超警戒」という形で、特に注意するべき日の予報を出しています。
西村)わかりやすいですね。自分の記録をつけることで何か見えてくることはありますか。
安中)記録をつけることで、自分はどのような気圧変化に反応しやすいのかが少しずつ見えてくると思います。気圧が下がったときに体調が崩れがちな人、気圧が上がったときに体調崩れがちな人。人によっては気圧が下がる手前で過敏に反応する人、気圧が激しく上下したときに反応する人もいます。
西村)そこまで詳しく自分のタイプがわかるんですね。
安中)「頭痛ーる」で記録を10回つけると、AIがタイプを判別してくれる機能があります。10回記録をつけると、自身の体調と気圧の関係がタイプ別でわかります。
西村)今この放送を聞いて、「わたしも気象病かも?」と思った人は、このアプリをどのように使っていったら良いですか。
安中)まず自分の体調と天気の関係を知るところから始めてください。「なぜ今日はこんなに調子が悪いんだろう」と理由がわからないことがストレスになります。体調が優れないときにアプリを見て、気圧の変化や天気予報を確認しておくと、「明日に備えて少し早めに寝よう」などの対策ができると思います。
西村)「頭痛ーる」を活用することで、薬を飲むタイミングもわかりますか。
安中)早めに予防薬の準備することもできると思います。
西村)事前の備えや行動について考えることが安心につながりますね。安中さん、どうもありがとうございました。
